■"ゾンビ"メインテーマ / Goblin (Cinevox / キングレコード)
我が国では殊更1979年春に公開されたホラー映画「ゾンビ / Zombie / Dawn Of The Dead」で知られる映画監督のジョージ・ロメロが天国へ召されました。
故人はアメリカ人ながら、ハリウッドよりは最初にヨーロッパで認められ、特にイタリアの映画プロデューサーにしてホラー映画の鬼才でもあったダリオ・アルジェント監督との邂逅が大きく、前述「ゾンビ / Zombie / Dawn Of The Dead」の制作にも絶大な支援を受けていると言っても、実は製作費は百万ドルちょいという低予算でスタートしながら、結果的に世界中でヒットしたのは、やはりジョージ・ロメロの天才性を証明したものと思います。
と同時に、死者が蘇り、怪物となって人間を襲い、襲われた者が蘇った死者と同様の怪物に変化するという設定が、ゾンビと呼ばれる怪物の基本的特質となって、以降同系の映画演劇の世界で多種多様に用いられた一事を鑑みても、故人の影響力は計り知れないものと思います。
もちろん、所謂ゾンビという概念はジョージ・ロメロの発明ではなく、一説によればアフリカ起源の呪術的存在と云われているらしく、映画の世界でも既に1930年代から登場しているキャラクターなんですが、それを拡大解釈したSF的発想を盛り込んで故人が1968年に自主製作(?)した最初の劇場公開映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド / Night of the Living Dead 」では、堂々と後のゾンビの本質を提示し、それは人食いや共食い、あまりにも救いの無いラスト等々、完全にモラルを欠いた展開や描写があるもんですから、リアルタイムでは興行的に大失敗しつつも、それゆえにカルトな評価は高く、今ではホラー映画の古典にして聖典のひとつになっているのですから、時の流れは偉大です。
そしてダリオ・アルジェントがジョージ・ロメロを認めたのも、おそらくはこの作品があったからと思いますが、いかがなものでしょう。
実際、サイケおやじは大ヒット映画「ゾンビ / Zombie / Dawn Of The Dead」を観て後、件の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド / Night of the Living Dead 」を鑑賞したんですが、その密度や意志の強さ(?)は、勝るとも劣らないどころか、個人的には後者の方が好きなほどです。
しかし、それでも「ゾンビ / Zombie / Dawn Of The Dead」が傑作と思うのは、映像に付随した音楽やSE、つまりサウンドトラック音源の素晴らしい効果に魅せられているのも大きなポイントで、それを担当していたのがゴブリンと名乗るイタリアのプレグレバンド(?)であり、掲載したのは、そのテーマ曲と挿入曲をカップリングした日本盤シングルであります。
ただし、サイケおやじはゴブリンというバンドの実態や履歴はほとんど知りません。
それでもゴブリンはダリオ・アルジェントがお気に入りの御用達バンドらしく、この鬼才が監督した「サスペリア」「サスペリア2」「シャドー」等々で起用され、主要メンバーはマッシモ・モランテ(g)、クラウディオ・シモネッティ(key)、ファビオ・ピニャテッリ(b)、ウォルター・マルティーノ(ds,per) 等々らしいという事から、実は決して実態の無いバンドじゃ~なくて、バンド名義のアルバムも出しており、ライブ活動もやっている存在感の強さは、特にドイツでは人気が高いという真相らしきものを、サイケおやじは1990年代になって、ドイツで確認しておりますが、今はど~しているんでしょうかねぇ~~。
告白すれば、ゴブリンのレコードは、本日掲載のシングル盤だけしか持っていませんし、実はジャケ写のキワモノ的魅力に惹かれ、中古屋の捨値コーナーから狩った1枚なんですが……。
まあ、それはそれとして、今に続くゾンビ映画の系譜を辿る時、絶対に無視出来ないのがジョージ・ロメロ監督の存在であり、この偉人こそは、ゾンビになって人類文化に今後も貢献するにちがいない!?!
そんなふうな妄想を膨らませつつ、故人の冥福を祈るばかりです。
合掌。