尽きせぬアーカイヴ商法に批判あれど、しかしそれでも世界中を騒がせてしまうのがビートルズという偉大な存在であり、いよいよ今年は「レット・イット・ビー」50年周年ということで、本来なれば遮二無二盛り上がっているはずが、全く終息する気配がないコロナ禍によって、9月に公開が予定されていた新版「レット・イット・ビー」とも云える映画「The Beatles:Get Back」の封切が1年ほど延期されるという発表がっ!!?!
皆様ご存知のとおり、ビートルズ最後の映画である「レット・イット・ビー」が紆余曲折を経つつ、1970年に一般公開されたのは今や歴史であり、ビートルズが結果的に活動停止となった様々な要因がそこに凝着しているとの負の遺産も、逆に言えば、だからこその真実真相を求めてしまうのが我々人間の悲しい宿業なんでしょうか……。
現在までに残された音源や映像は公式・非公式を問わず、その全てを知り尽くす事は出来なくとも、底知れぬ魅力に満ちたビートルズの素晴らしさ、そして凄さを現世で体現出来る絶好の記録であり、大いなる楽しみに外なりません。
ですから、これまで夥しい研究資料や論文、エッセイや流言飛語の類も含めて、そこにある映像や音源からは様々な問題提起や論争が巻き起こされて幾年月、ついに「50周年」という大義名分によって、ひとつの答えが提示されるというのであれば、サイケおやじとしても、この機会に思うところをあらためて書き記しておこうと思う次第です。
もちろん、実は以前、2003年にビートルズが新版「レット・イット・ビー」という位置付け(?)として出した「ネイキッド」、つまりは虚飾を排除した「レット・イット・ビー」というアルバムを出しており、サイケおやじとしても、そのムーブメントに便乗しつつ、拙サイト「サイケおやじ館」において、「THe Beatles / Let It Be の謎」と題した特集を連続掲載しておりましたので、あれから既に……、17年!?
正に光陰矢の如しの現世において、今日まで関連するブツも様々に新しく出回り、と同時にサイケおやじとしても、件の拙文を改稿しながら、此度の連続掲載に臨む所存です。
そこで本日は、まず今回制作された新作映画「The Beatles:Get Back」の概要から、簡単に述べさせていただきますが、例え何であろうとも、ビートルズが立ち上げた会社組織である「アップル・コア・リミテッド」が製作の主導権を握っている事は重要!
そして配給がアメリカのウォルト・ディズニー・スタジオ、また監督が「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソンという事も、これまた賛否両論の火種になりかねませんが、しかしピーター・ジャクソン監督は一方ではアーカイヴ映像の蘇生利用に長けている事は、2018年に製作された、例の第一次世界大戦の実写フィルムを巧みに使った疑似ドキュメンタリー作品「THEY SHALL NOT GROW OLD / 彼らは生きていた」で知られる様になったと思いますので、ここは虚心坦懐に鑑賞するのがビートルズ崇拝者ならずとも、人としての道じゃ~ないでしょうか。
と、またまた大仰な事を書いてしまいましたが、マイケル・リンゼイ=ホッグ監督の指揮下、1969年に撮影された肝心のオリジナルフイルム映像は現存する情報として約55時間以上、また音源はアルバム制作セッションも含めれば、140時間を超えていると云われていますので、それが今回、どこまで公にされるのか?
その期待感は怖さと裏腹ではありますが、それと云うのも件の映画「レット・イット・ビー」にはメンバー間の感情の縺れが滲み出ている場面が確かにあり、結果的にグループとしての活動が停止されてしまった現実がある以上、今回の再編版「レット・イット・ビー」という企画そのものが、そのあたりを取り繕うが如き狙いがあっての構成や編集に変えられているのだとしたら、事態は尚更に混迷するんじゃ~なかろうか……?
なにしろ例によって、ポール・マッカートニーは肯定的なコメントを出していますし、リンゴ・スターも、また然り!?
そして、この世の人ではないジョン・レノンとジョージ・ハリスンの遺族達も、協力的だったという制作側の発表がある以上、後は実際に出来上がった新作映画「The Beatles:Get Back」を鑑賞するしか我々に進むべき道はありません。
既に述べたとおり、残された夥しい映像や音源の記録は、その何れもが、これまで何らかの形で違法流通、つまりブートの売れ筋商品になって来た現状を鑑みれば、やはり感慨深いものがある事は確かです。
あぁ~~、凄く楽しみだぁ~~~!