■涙の誓い / 和田アキ子 (RCA)
歌手としての和田アキ子の全盛期は、何時だったのか?
ここで過去形を用いたのは正直、とても辛いものがあります。
理由は言わずもがな……。
だからこそ、サイケおやじは往年のヒットシングルに針を落とす事を厭わず、嬉々としてしまう気持ちの高揚を確かに覚えてしまいます。
そこで掲載したのは、個人的には和田アキ子の全盛期を証明する大名唱「涙の誓い」をA面に入れたシングル盤なんですが、ど~です、このメイクにして、存在感の強さこそが、彼女の歌唱の凄さに繋がっていると思うばかりで、具体的には作詞:なかにし礼&作編曲:川口真の企図したマイナーキーのエキセントリック(?)な歌謡曲が、ここに聴けるんですねぇ~~♪
特にアレンジには凄みがあって、スピード感満点の16ビートを作り出すドラムスやリズムギターにドライヴしまくったエレキベース、さらにオルガンやストリングスの存在も侮れません。
しかし、それがありがなちな黒人ソウルっぽいフィーリングではなく、川口真が十八番の欧州系バロック歌謡と融合しているあたりは特徴的で、だからこそ和田アキ子の真正面からの歌いっぷりの良さが輝かしく思えるんですよっ!
無意味な比較ではありますが、楽曲そのものは由紀さおりが歌っても、かなりイケてる仕上がりになるかもしれませんが、このメロディラインをストレートに黒っぽく節回してしまう和田アキ子のナチュラルな歌唱力の凄みがあるからこそ、サイケおやじは思わず「エキセントリック」なぁ~んていう表現を用いてしまったんですが、いかがなものでしょう。
ところがリアルタイムでは、そのあたりが先に進み過ぎていた所為でしょうか、残念ながら大ヒットには至らず……。
どちらかと言えば、彼女にとっては隠れ名曲にして、裏名唱という位置付けになるのかも……。
冒頭に述べたとおり、近年の和田アキ子に対する風当たり強さは、殊更芸能界において顕著と思えるほどで、「老害」とか「おじゃま虫」等々、酷い言われ方さえ目立つのは、やはり歌手としての本領を発揮してくれないからでしょう。
もちろん、全盛期の歌唱力や表現力は望めないにしても、きっちり「歌手としての和田アキ子」に、もう一度、接したいと願っております。
ということで、気の滅入るコロナ禍の現況下、少しでも何かで発散したい欲望は多々ありますが、このままでは世界が沈没しそうな予感が打ち消せない以上、我慢の逼塞も各々が必要性を自覚せねばなりますまい!
だからこそ、自分だけの世界に浸れるレコード鑑賞とか、映像ソフト、あるいはデジタルコンテンツの必要性を声高に訴えたいのが、サイケおやじの一途な思いというわけです。