OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

初めて聴いたマンフレッド・マン

2009-07-10 13:12:26 | Rock

The One In The Middle / Manfrde Mann (HMV)

マンフレッド・マンは1960年代に世界的なブームとなった英国産ビートグループのひとつですが、その音楽性はロックというよりもジャズやR&B、サイケデリックからソフトロックまでも幅広く包括した、実に魅力溢れるバンドです。

個人的な記憶としては、その全盛期だった1960年代に我が国でブレイクしたという感じが無いのですが、ボーカリストのポール・ジョーンズだけは、洋楽雑誌の人気投票で上位に入っていましたし、実際、確かに女の子達には憧れの対象だったように思います。

それはポール・ジョーンズがバンドの全盛期に独立してソロシンガーとなり、また映画出演もあったことからのアイドル人気だったのでしょうし、もちろんイケメンで、歌手としても、その黒っぽい味わいがイヤミのない実力派でした。

そして我が国の人気GSグループだったタイガースのジュリー、つまり沢田研二がポール・ジョーンズが出演した映画「傷だらけのアイドル」の主題歌を持ちネタとしていたことも、人気の秘密だったのかもしれません。

しかしマンフレッド・マンがグループとして本格的に我が国でブレイクしたのは、おそらく1990年代に入ってからでしょう。CDでの再発復刻状況も日々、充実したものになっていきました。

さて、サイケおやじがマンフレッド・マンに注目したのは1970年代の中頃のことで、それは本日ご紹介のイギリス盤EPが最初でした。

 A-1 The One In The Middle
 A-2 Watermelon Man
 B-1 What Am I To Do
 B-2 With Got On Our Side

実は告白すると、このレコードは決してマンフレッド・マンがお目当てだったわけではなく、それは収録された「What Am I To Do」という楽曲を聴きたかった所為なのです。

当時の私はオールディズ趣味が高じてフィル・スペクター関連の楽曲を漁っていた時期であり、この「What Am I To Do」はフィル・スペクターが手掛けていたパリス・シスターズのヒットカバー♪♪~♪ オリジナルは、ちょっと刹那的な胸キュンメロディとR&B感覚がシュガーコーティングされたような、サイケおやじにはジャストミートの名曲でしたから、スペクターは完全に集める! なんて無謀な企てに邁進していた若気の至りと、今は額に汗が滲みます。

肝心のマンフレッド・マンのバージョンは、相当にエッジの効いた演奏と黒っぽいボーカルが印象的な仕上がりですが、サビの甘いメロディ展開がポール・ジョーンズの持ち味というハードボイルドな感傷で歌われるあたりが、なかなか味わい深いと思います。またドラムスやピアノが如何にもフィル・スペクターを研究しました!? っぽい大袈裟な響きで感度良好♪♪~♪

ちなみにマンフレッド・マンの当時のメンバーはマンフレッド・マン(p,org,vo)、ポール・ジョーンズ(vo,hca)、マイク・ヴィッカーズ(g,b,sax,key,vo)、トム・マッギネス(b,g,vo)、マイク・ハグ(ds,vib,vo) という5人組ながら、実はこの顔ぶれの前後にもバンド編成は流動的だったようです。その点はレコーディングの現場にも影響していたのですが、それは別のお話として後に譲ります。

ただしバンドの中核はマンフレッド・マンとマイク・ハグという、本来はジャズを演奏していた2人です。そこへマルチ・プレイヤーのマイク・ヴィッカーズが加わったことで、バンドの演奏スタイルは必ずしもギターをメインにしてはいないという、当時のイギリスのビートバンドはもちろんのこと、アメリカでさえもちょっと珍しがられていたようです。

そしてそれゆえに発表される楽曲はお洒落で黒っぽく、さらにジャズっぽさとラウンジ感覚が絶妙にミックスされていました。

例えば、このEPに収められた「Watermelon Man」は、ご存じ、ハービー・ハンコックがオリジナルというジャズロックの人気曲ですが、マンフレッド・マンの演奏はクールなビートとモードを強調するオルガンの響き、さらに親しみ易いホーンの味付けをメインにしながら、最高にカッコ良いポール・ジョーンズのボーカルが♪♪~♪ しぶといハーモニカも素敵ですが、ちなみに歌詞はジョン・ヘンドリックスが後に付けたものかと思います。

その意味では、ボブ・ディランが書いたプロテストソングの「With Got On Our Side」が、マンフレッド・マンのピアノ伴奏を主体として、ポール・ジョーンズが堂々と歌い上げるところが実に潔く、感動的です。まさにボーカリストとしてのポール・ジョーンズが実力発揮のトラックでしょう。

さらにEPのタイトルとなった「The One In The Middle」は、そのポール・ジョーンズが書いたゴキゲンなR&Bの決定版! 間奏でのオルガンとハーモニカのゴッタ煮な盛り上がり! そしてバンドメンバーを紹介しつつ、最後には自分が一番さっ! と歌ってしまうあたりの憎め無さが最高ですよ。

ということで、既に述べたように、私はこのEPで初めてマンフレッド・マンを意識して聴いたわけです。そして忽ち気になるバンドになり、レコードを集め始めたのですが、1970年代には彼等の再発状況は絶望的……。なにしろマンフレッド・マン本人が「チャプターⅢ」なんていうロックジャズのグループを率いていましたし、あまり過去を振り返ることは好まないメンバー達の意向もあったようです。

ただしイギリスではリアルタイムで相当な人気があったことは間違いなく、このEPにしてもイギリスに行けば、中古盤屋ではゴロゴロしていたそうで、実は私は友人からの英国土産として、ありがたく頂戴した宝物なのです。

そして現在はアナログ盤で、かなりコンプリートに近づきつつありますが、ご存じのように当時はイギリスと他国で発売形式が異なり、シングル盤はもちろんの事、EPやLPアルバムには別テイクや別バージョンの存在が奥の細道的にあるのです。

このあたりは復刻CDも含めて、今後のサイケおやじの精進の目標としております。

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