OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ショーケンの不貞腐れアイドルロック

2013-11-08 10:42:30 | 日本のロック

出来るかい? 出来るかい? / ザ・テンプターズ (フィリップス)

昭和元禄のGSブームはまちがいなく日本のロックの最盛期だったと思いますが、夥しく登場したそれらのグループが演じていたのは、「ロック」じゃ~なくて、「歌謡曲」だったという説も確かに成立するでしょう。

もちろんライプステージでは米英でヒットしていた洋楽のカバーをメインに、それこそガツンガツンの「ロック」をやっていたはずですが、しかし現実として発売されるヒット狙いのシングル盤は「歌謡曲」としか思えないブツが圧倒的でした。

ただし、そう断じられのは、殊更後年の評価という場合が少なくありません。

つまり今では「歌謡曲」かもしれませんが、リアルタイムでは立派な「ロック」であった現実こそ、大切な青春の思い出となっている皆様が大勢いらっしゃるはずです。

例えば不肖サイケおやじにとっては、テンプターズが演じる本日掲載のシングル盤A面曲「出来るかい? 出来るかい?」が、全くそのとおりの第一候補で、発売された昭和45(1970)年初夏にはファンや評論家の先生方から酷評され、無視されていたと思います。

しかし作詞:なかにし礼&作編曲:川口真が狙ったであろう当時の流行、つまりソフトロックとアイドルポップスの融合は見事なほどで、最初のAメロでちょっぴり滲むクリームっぽさ、一瞬の「Sunshine Of Your Love」から歌謡曲のベクトルに転身するあたりはプロの手際を堪能させられるはずですし、全体としては翌年に我国で大ヒットになったヘドバとダビデの「ナオミの夢」とか、諸々の洋楽楽しさ優先主義が光っているんですよねぇ~♪

そして一座のスタアであったショーケン=萩原健一が十八番の「不貞腐れた」歌いっぷりが結果オーライでしょう。

と言うか、本当は当時のバンドサイドは、こんなのやりたくないんだょぉ~~、みたいな感じは絶対あったはずですし、ショーケン本人がデビュー当時から持ち味にしていた不良ではない反体制的存在感は、結局のところ反主流ということで開花したように思います。

それがサイケおやじには大好きなテンプターズであり、実際問題として全く売れなかった「出来るかい? 出来るかい?」を今でも聴いている本音であります。

ちなみに歌の中身は、好きな女の子の愛の真実を確かめるために、自分の前で裸になれっ! という、些かの幼児性が当時も今も面映ゆいわけですが、如何にも青少年のロックであれば、大肯定するに吝かではありません。

ということで、ロックの魅力が「反抗」であるならば、不貞腐れフィーリングが常に全開のショーケンとテンプターズは、最高のロックバンドでありました。

正直に言えば、この「出来るかい? 出来るかい?」にはホーンセクションも導入され、全体的に薄っぺらのミックスが施されているので、なんともロックっぽさからは縁遠い感じですが、まあ、いいか……。

問題はリスナーの思い入れであり、サイケおやじがこれを好きという告白に嘘は無いのですから。

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6 コメント

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三つ子の魂 (サイケおやじ)
2013-11-09 09:30:02
☆セブン様
コメント&ご紹介、感謝です。

件の動画、歌っているチャープスは大好きなんです。
CDを速攻でゲットしますね♪
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それを認めずして… (サイケおやじ)
2013-11-09 09:28:18
☆プレイボール様
コメントありがとうございます。

モップスは真面目にロックをやり過ぎた感があり、何をやってもウケなかったので、「月光仮面」という説があります。
しかし本当はもっと真っ当に認められるべきバンドだと常に思っていますよ。個人的にも大好きですし。

コミックソングは大衆芸能の基本ですから、それがやれない歌手やバンドは、ある意味では二流でしょう。
音楽は「楽しい音」ですよねぇ~♪
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変転する流行音楽 (サイケおやじ)
2013-11-09 09:23:52
☆ちんたろ男様
コメントありがとうございます。

歌謡曲は極めて汎用性が高く、しかも雑食性であるところに面白みがあると思うんですよ。
また、ロックも基本的には黒人音楽を搾取したロックンロールという白人音楽の発展系と思いますから、何でも取り込める素地はあるはずなんですよねぇ。
そして一番大切なのは、貴兄の仰るとおり、これをやりたいっ! という気持ちであって、そういう衝動こそが、素敵なものを作り出す源と確信しています。

で、GSはエレキブームの延長に誕生し、それ以前のジャズコンポやカントリー&ウェスタンのグループが続々と衣替えをしていった過程で、尚更に歌謡曲化したという推察は易く、それでもGSに憧れて、GSをやり始めた者にとっては、それがロックでもOKだったんじゃ~ないでしょうか?

ブームが去って、GSの中から欧米でも通用するロックをやろうとした時、日本語の歌詞が問題化したのも、そこに拘りがあり、だからこそ歌謡フォークが流行ってしまったという仮説もあるような……。
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大ケン中ケン小ケン (セブン)
2013-11-08 20:12:01
子供のころ白い服を着たショーケンが夢に出てきたのを今でも憶えてます。

似たようなタイトルでコレ↓も印象深いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=MCdxi2q9Y2M
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Unknown (プレイボール)
2013-11-08 16:41:03
GSの中で「本物のロック」を追求し、らしいバンドといえばモップスとゴールデンカップスでしょう。ただモップスは「月光仮面」をだしたあたりからコミックソングを歌う爆風スランプと変わらないような感じのバンドになってしまったのが残念です。爆風スランプもアルバムでコミックソングをよく歌ってます。
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GSはロックか? (ちんたろ男)
2013-11-08 12:35:41
テンプターズにしてもタイガースにしてもライブステージではストーンズなんかの曲を演ってて、彼らが本当にやりたかったのはロックだったっていう話をよく聞きます。でも、あそこで聴けるのはロック以前の“この曲を演ってみたい”という欲求だと思うんです。ロックの解釈は色々ですが、「俺達はこんな奴ら」「こんなことを表現したい」「だから聴いてくれこの曲を」ってなものが必要な気がするんです。特に前二者の「アイデンティティ」と「クリエイティビティ」が条件だとすると、当時のGSはこれ以前のロック妊娠8ヶ月ぐらいだったんじゃないでしょうか?逆に良かったなと思うのは歌謡曲全盛だったこの時代、彼らの“素材としての素晴らしさ”に目をつけて歌謡曲的解釈でロックを取り込んで独自の世界を創造したことです。むしろ、歌謡曲の懐の深さ・でかさに感謝!!もしこのまま歌謡曲の中でロックが育っていってたらと空想に浸ってしまいます。
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