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サイケおやじの生活と音楽

バンド・オブ・ジプシーズの切実:其の四

2016-11-19 15:24:22 | Jimi Hendrix
Band Of Gypsys 2 (Capitol)
 
 A-1 Hear My Train A Comin'  (1969年12月31日:1st show)
 A-2 Foxy Lady  (1970年1月1日:1st show)
 A-3 Stop  (1970年1月1日:1st show)
 B-1 Voodoo Child (1970年7月4日:アトランタ・ポップ・フェスでの録音)
 B-2 Stone Free (1970年5月30日 / 2nd show:バークレーでの録音)
 B-3 Ezy Rider (1970年5月30日 / 1st show:バークレーでの録音)
 
バンド・オブ・ジプシーズのデビューアルバムはニューヨークにあったフィルモア・イーストにおけるライブ盤だったので、当然ながら2日間で4ステージ分の音源が公式レコーディングされたという情報も伝えられたのですから、ジミ・ヘンドリクス=ジミヘンの死後、あれやこれやと出される遺作の中でも、1986年に突然発売された掲載の続篇盤には、大いに期待するものがありました。
 
なにしろ、既にその一部はブートで出回りながら、例によって劣悪な音質でしたから、それが正規盤で出されるのならば、絶対に凄いはずっ!
 
と思い込んで速攻ゲット!
 
そのレコードに針を落とす瞬間のワクワク感は今も忘れ難いんですが、実は案の定というか、肩すかしの結果は残念無念……。
 
それがサイケおやじの偽りのない気持ちです。
 
と書いたのも、上記した収録データをご覧になれば皆様にも納得されると思います。
 
肝心のリアルなバンド・オブ・ジプシーズの演奏はA面だけで、B面はバディ・マイルスが抜け、ミッチ・ミッチェルが帰参したニュー・エクスペリエンスの演奏だったんですねぇ~~!?!
 
しかも当時不思議に思ったのが、「Foxy Lady 」と「Stop」の2曲がなんとっ! ビデオから音声だけを抜き出して使ったというのですから、そんな映像が残っているのかっ!?
 
いゃ~、サイケおやじの気持ちは本当に穏やかではありませんでした。
 
で、気になる演奏内容は、まず十八番のスロ~ブル~ス「Hear My Train A Comin' 」はモノラルに近いミックスながら、やはりジミヘンのギターは凄いの一言!
 
しかし「Foxy Lady」は賛否両論かもしれません。
 
というのも、この曲はミッチ・ミッチェルが敲いているバージョンが幾つも耳に馴染んているので、サイケおやじとしても、シンプルなバディ・マイスルのドラミングには違和感が未だ打ち消せず、ど~してもバディ・マイルスだけが好き勝手にやっている感じで、なんともジミヘンとの相性の悪さが露呈しているんですねぇ……。
 
ところが反面、それゆえにジミヘンのギターが妙に孤立、あるいは浮遊しているような感じで、その点からすれば、なかなか面白いテイクかもしれません。
 
その意味で痛快なのが「Stop」で、とにかく低重心のビートを提供するビリー・コックスとバディ・マイルスの存在感が強いところから、ジミヘンも明らかにエクスペリエンスとは異なるアプローチ、そのアクセントの付け方が新鮮に聴こえるんですねぇ~♪ バディ・マイスルとジミヘンのソウルフルなボーカル&コーラスの掛け合いも良い感じ♪♪~♪
 
ただし、それゆえに所謂ロックっぽさが薄れているところも確かにあって、バンド・オブ・ジプシーズが一般ウケしなかった理由も、それかなぁ……。
 
そしてこの2曲は既に述べたとおり、ビデオからの音源という事で、音質も良くありません。
 
あぁ……、なんて中途半端な仕事をやるのかなぁ~、当時の制作スタッフはっ!?
 
しかも、1991年頃に出たバンド・オブ・ジプシーズの再発CDに、このA面3曲がボーナストラックで入れられた時でさえ、音質の改善は曖昧だったというテイタラクは何でだよぉ~~!?
 
と長い間、サイケおやじは嘆いていたわけですが、1999年になって、それが解消された事は皆様ご存じのとおりですから、とりあえず今はここまでと致します。
 
また、問題となったB面収録の3曲は、発売当時に正規未発表とされていたライブ音源なんですが、とにかくミッチ・ミッチェルの復帰ゆえに安心感があるのは確かで、特にバークレーでの演奏は凄まじい限り!
 
まさに、これぞっ! ジミヘンっ!
 
という快演が楽しめますが、逆に言えば、そこに留まっている事も確かで、結局は答えを出せずに逝ってしまった天才を偲ぶだけというのも、ファンにとっての悲喜こもごもでありましょう。
 
ところで、このアナログ盤LPにはジャケットの仕様もカタログ番号も同じでありながら、収録曲が異なるブツが実在し、如何に記すのは、そのデータです。
 
 A-1 Hear My Train A Comin' (1969年12月31日:1st show)
 A-2 Voodoo Child (1970年7月4日:アトランタ・ポップ・フェスでの録音)
 A-3 Stone Free (1970年5月30日 / 2nd show:バークレーでの録音)
 B-1 Easy Rider (1970年5月30日 / 1st show:バークレーでの録音)
 B-2 Hey Joe (1970年5月30日 / 2nd show:バークレーでの録音)
 B-3 Hey Baby (1970年5月30日 / 2nd show:バークレーでの録音)
 B-4 Lover Man (1970年5月30日 / 2nd show:バークレーでの録音)
 
どうです、これってリアルなバンド・オブ・ジプシーズの演奏はド頭の1曲だけという、詐欺まがいの売り方でしょう。
 
もちろん、今となっては収録トラックの全てが手軽に聴けますが、当時こんなものが堂々と流通していたのも、それだけジミヘンの天才性が認められ、ファンがそれを渇望する以上、商売優先のレコード会社ばかりを責められはしないわけで、そこには殊更バークレーでの凄いライブ音源に身も心も奪われてしまう現実があるのですからっ!
 
ということで、またまたの罪作りをやらかしたバンド・オブ・ジプシーズではありますが、そのあたりの事情にジミヘン本人の意思が入っていないのですから、分かってはいても何かを期待するリスナーやファンは、じっと我慢するのも次なる喜びに繋がるものなのです。
 
もちろん、そんなこんなの戯言を書いているのも、現在はバンド・オブ・ジプシーズを取り巻く状況が諸々良い方向へと進んだ歴史を知っているからでして、まさか世紀を跨いで聴き続けることが出来るなんてのは、正夢の結実だと思います。
 
……続く。
 
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