OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ドーハムで踊るって!?

2008-10-03 15:21:19 | Jazz

Afro-Cuban / Kenny Dorham (Blue Note)

これは私が初めて入手が叶ったブルーノートの10インチ盤です。と言っても大金を出したわけではなく、海外の某コレクターとのトレードだったんですが、その交換したブツがチャーリー・マリアーノと渡辺貞夫が共作したタクト盤LP「イベリアンワルツ」だったんですから、人の価値観というのはわかりません。もちろんそれは一応、オリジナル盤でしたが、1970年代の我が国では比較的容易に中古盤が出回っていましたからねぇ~、なんだか悪いような気がして……。

もっとも件のコレクター氏はブルーノートのオリジナル盤なんてゴロゴロ持っていましたし、この10インチ盤にしても、後に拡大版12インチアルバムとなったピカピカのLPを4枚も所有している果報者でしたから、まあ、いいか♪

ちなみに当時のレコード産業は、片面3分前後のSPから長時間収録が可能なLPにメディアが転換され、さらにそれも10インチから12インチへと規格が変わりつつあった端境期! ですからこのアルバムはブルーノートにしても最後に近い10インチ盤だと思われます。

録音は1955年3月29日、メンバーはケニー・ドーハム(tp)、J.J.ジョンソン(tb)、ハンク・モブレー(ts)、セシル・ペイン(bs)、ホレス・シルバー(p)、オスカー・ペティフォード(b)、アート・ブレイキー(ds)、パタート・バルデス(per) という気力充実の面々です――

A-1 Minor's Holiday
 初期のジャズメッセンジャーズも演目にしていたアフロなハードバップの名曲! そのオリジナルバージョンがこれです。もちろん全篇に鳴り響くパタート・バルデスのパーカッション、強いシンコペーションが特徴的なホレス・シルバーの伴奏、そしてアート・ブレイキーが敲き出す熱いビート! これもハードバップの真髄でしょうねぇ~~♪
 アドリブパートでも充実のケニー・ドーハム、ノリまくったハンク・モブレー、気合の J.J.ジョンソンと、思わずイェ~の快演が連発されます。バックのホーンアンサンブルも実に痛快!

A-2 Lotus Flower
 彩豊かなアレンジも冴えた、ケニー・ドーハムのオリジナルバラード♪ それにしても曲名ある「Lotus」って、この人はこれが好きなんですかねぇ? 後には有名な「Lotus Blossom」なんてのも演じていましたが。
 まあ、それはそれとして、ケニー・ドーハムのソフトで枯れた味わいのトランペットが絶大な魅力を発揮しています。ただしパーカッションが些か不用意というか……。

B-1 Afrodisia
 今やラテン系ハードバップの聖典となったこの曲も、それは1980年代にロンドンあたりのクラブシーンで頻繁に鳴らされるようになってからの出来事ですが、しかしそれにしても、ここで発散されているグルーヴは、確かに凄いものがあります。
 アドリブパートでは特にハンク・モブレーが素晴らしく、独特のノリとメロディ感覚が冴えまくり♪ ラテンビートと4ビートの交錯を上手く利用しています。また何を吹かせても上手い J.J.ジョンソンも流石ですねぇ~。
 そしてクライマックスはアート・ブレイキーとパタート・バルデスの打楽器対決なんですが、あまりにも短いのが残念……。しかし、これが長かったらダレるかもしれませんね。
 ちなみに前述したロンドンのクラブシーンの出来事では、この曲で踊っているとかいう話でしたが、ちょっと自分的には??? まあ、ロンドンのソーホーあたりはスノッブな奴らが多いですから、誰かがやって真似しないと仲間はずれ、あるいはオクレた奴と見なされるのかも……。
 そのへんを律儀に踏襲する我が国も、ねぇ……。私はついていけません。

B-2 Basheer's Dream
 これも楽しいラテンビバップで、なかなか凝った曲調が賛否両論かもしれません。実際、ここに揃った名プレイヤー達が押し並べてアドリブに腐心している感じがします。
 しかし、それを吹き飛ばすのがリズム隊の熱気でしょう。バンド全体の重厚なアンサンブルというか、一丸となったグルーヴは流石に強烈だと思います。

ということで、実に楽しい演奏集ですが、あえて「Afro-Cuban」という趣向のモダンジャズにしたのは、当時のニューヨークではラテンやキューバ系のノリノリ楽団が人気を集めていたからでしょうか? 誰がこのセッションを企画したのかはわかりませんが、アート・ブレイキーが関わっているのは、さもありなんです。

ちなみにここに収められた4曲は後に同タイトルの12インチ盤LPに再収録されますが、その拡大版に追加された演奏は、このセッションと似たようなメンツのセクステットで、録音も2ヵ月ほど早いという正統派ハードバップでした。しかしリアルタイムではオクラ入りしていた事情からして、如何にプロデューサーのアルフレッド・ライオンがアフロでキューバンなスタイルに魅了されいたか窺えるのではないでしょうか。

まあ、それしてもドーハムで踊るって!?

やっぱり OLDWAVE な私は「Minor's Holiday」で体を揺すっているのが関の山です。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 絶対、ソニー・クリス! | トップ | 忘れちゃいけないジミー・ヒース »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ものすごいトレードですね (altoman)
2008-10-04 11:49:02
昔ロッテにいた落合と中日の何選手でしたっけ?
1対4か3のトレードがあって驚いた記憶がありますが、
マリアーノとナベサダとの1対1でトレードにはビックリしました。
ジャケット写真を観ただけで、なんとなく『オリジナル』かな?と思いましたよ、風格ありますしね。
返信する
夢なら醒めないで (サイケおやじ)
2008-10-04 12:48:20
☆altoman様
ありがとうございます。
いゃ~、実際、夢のような出来事でした。
盤質は、それなりですけど、その思い出といっしょに大切にしています。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Jazz」カテゴリの最新記事