OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

生き残ったビークル

2016-09-26 17:11:22 | Rock
Vehicle / Ides Of March (Warner Bros. / 東芝)
 
殊更1970年代前半に大きな流行となったブラスロックには様々なバンドが登場し、幾多のヒット曲を放っていましたが、その中でも老舗であろうグループが、1970年に本日掲載のシングル盤A面収録「Vehicle」で人気を集めたアイズ・オブ・マーチです。
 
当時のメンバージム・ペトリック(vo,g,key) をリーダーに、レイ・ハー(vo,g)、ラリー・マイルス(key,vo)、ボブ・バーグランド(b,sax,vo)、マイク・ボーチ(ds,per)、ジョン・ラーソン(tp)、チャック・ソマー(tp) とされていますが、アイズ・オブ・マーチは最初っからブラスロックのバンドではなかったようで、1966年のレコードデビュー時には出身地シカゴをメインとしていたローカルスタアだったと言われています。
 
しかし本格的にブラスセクションを用いたスタイルが固まったのは、小さなヒットを放った後の1969年、新規にワーナーブラザーズと契約した頃だったようで、それは同じイリノイ州シカゴ出身のシカゴの大ブレイク、またその少し前にアル・クーパーが立ち上げたブラッド・スウェット&ティアーズ=BS&Tの成功に刺激されたであろう事は推察に易いと思います。
 
で、この「Vehicle」は、とにかくソウルっぽさが強く、ジム・ペトリックのボーカルは前述したBS&Tのデヴィッド・クレイトン・トーマスを強く意識した感じですし、加えてブラスセクションがやってくれるキャッチーなイントロのフレーズが最高なんですねぇ~~~♪
 
まさにヒット曲の要件を満たしきった典型のような仕上がりだと思いますし、間奏のギターソロが如何にもその頃らしいジャズっぽいところも、なかなかニクイですよ。
 
ちなみに、このホーンリフって、昭和40年代後半の東映アクション映画、セクシーバイオレンス系の諸作にも度々再利用(?)された、如何にもパクリ易いものだという事を付記させていただきます。
 
しかし、アイズ・オブ・マーチは実質、この「Vehicle」が大当たりし過ぎた所為か、以降は尻つぼみ……。レコード会社の移籍やメンバーチェンジもあったりして、1973年末頃には解散に至ったようです。
 
ところがリーダーだったジム・ペトリックのソングライターやプロデューサーとしての才能は業界でも認められていたようで、自己名義のレコーディングからアルバムも出していますし、サヴァイヴァーという新バンドを結成し、再びの大ブレイク!
 
それが1982年、映画「ロッキー3」の主題歌として提供した「Eye of the Tiger」の大ヒットで、確かグラミー賞にも輝いたと記憶していますが、実はそんなこんなの経緯から、サヴァイヴァーと名乗るバンドメンバーの中に、ジム・ペトリックの名前を発見した時には驚かされましたですねぇ~~! 
 
さらに後追いで知った事ではありますが、そもそもサヴァイヴァーというバンドは1978年末頃、アイズ・オブ・マーチと同じジャンルのブラスロックで大ブレイクしながら、飛行機事故で主要メンバーを失い、解散に追い込まれたチェイスの残党だったデニス・ジョンソン(b,vo) とゲイリー・スミス(ds) を誘ったのが始まりだったそうで、そのふたりも1982年当時はバンドを去っていたらしいんですが、如何にも名は体を表すというか、生き残っていこうとするヤル気が有ればこそっ!?
 
ということで、やはりこの世は執念というものも必要なんだなぁ~、と思うことが最近はしばしばです。
 
実は7月の交通事故の後始末で加害者側の保険屋が横暴な態度なんで、サイケおやじも頑迷になって、ついつい意地悪な言葉を相手に発してしまう事があり、それでも曲げられないものは自分の立場ですから、ここは長丁場になっても、そりゃ~相手がねぇ~~、とばかりに世の中の厳しさを思い知らせてやろうかなぁ~~。
 
示談書に印鑑なんてこたぁ~、絶対に無いからねっ!
 
あぁ、またまた意地悪な自分を感じています。
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トラウマ曲 (アンディP)
2016-10-01 19:26:55
1970年は、私的洋楽開眼の年。
この年、ラジオから流れていた洋楽ポップスといへば。
「夜明けのヒッチハイク」「恋のほのお」「太陽は燃えている」「ミスター・マンデイ」
「愛のプレリュード」「ハート・ブレイカー(GFR)」「イエロー・リバー」「アメリカン・ウーマン」「明日に架ける橋」「男の世界」「ヴィーナス」「レット・イット・ビー」「雨にぬれても」「サマータイム・ブルース(ザ・フー)」「イージー・カム・イージー・ゴー」「霧の中の二人」「ミスター・ロンリー」「移民の歌」等々。
60年代の巨星が最後の煌めきを見せた世紀の名曲二曲があるかと思へば、日本を中心とする地域限定の洋楽ヒットや、忘れ得ぬ爽やかスマッシュ・ヒットの数々まで、まるで夜空に煌めく星々の如くそれぞれが輝きを競い、まさに百花繚乱状態、ポップス黄金時代も爛熟期を迎えていた、といって良いでしょう。一方で、天空高く、地上を大きな影で覆い始めた覇者・鉛飛行船の出現は、新時代の到来を予感させるものでもありました。
そんな1970年、Ides of March(3月15日のこと。紀元前44年のこの日カエサルが暗殺された故事に因んだ命名でしょうか)というグループによる、本稿ご紹介の曲「ヴィークル」は、連日ラジオから流れ続け、不気味なまでに特異で強烈な印象を、初心なポップス開眼少年の胸に、深く刻み込んだのでした。
歳を重ねる間、「ヴィークル」は、ずっと謎の曲であり続け、曲名・アーティスト名をきちんと知った時には、少年はすでに初老の男となり果てていたのです。
日本版シングルはこんなジャケットだったのですか。そして何とも他愛ない歌詞。
トラウマなどといふものは、意外とこんなもんなのかもしれません。
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