■Wonderful Christmastime / Paul McCartney (EMI / 東芝)
クリスマスはキリスト教の祝祭ですから、基本的に異教徒には関係の無いイベントながら、殊更仏教徒や神道崇拝者が多い我が国において、師走の浮かれた風物詩となって久しい今日、その目的は皆で楽しく盛り上がろぉ~~♪
その一点だけに特化した感を毎年覚えるのがサイケおやじの立場です。
もちろん、サイケおやじは熱心な仏教徒ではありませんし、キリスト教を嫌悪する事もありませんが、何か本質を踏み違えた乱痴気騒ぎは、何れ逆の事態を招きかねない?
そんな漠然とした懸念を抱き始めた頃に巷で流行りだしたのが、ポール・マッカトニーが1979年クリスマスシーズンに出した本日掲載のシングル盤A面曲「Wonderful Christmastime」でした。
皆様ご存じのとおり、当時のポールは率いていたウイングスの活動が末期的というか、煮詰まっていた事は少なからず認めざるをえない時期で、洋楽の最先端は所謂ニューウェィヴ勢に牽引されつつあり、デジタルビートや起承転結の明瞭さを欠いた楽曲が氾濫しかけていた中にあって、確かにそれまでの自作の名曲群に比べれば正直、些か精彩の無いメロディの「Wonderful Christmastime」が、なかなかの和みのオアシスに感じられたのはサイケおやじだけでしょうか?
というよりも、結果的に欧米では大ヒットしていますし、我が国でも比較的すんなりと耳に馴染む曲調と優しい歌詞がウケていたのは否定しようもない事実でありました。
なによりも構えたメッセージ性が無く、素直に素敵なクリスマスを楽しもぉ~~♪
みたいな気軽さが良かったのかもしれず、それこそが現代的なクリスマス、異教徒にさえも楽しさ優先で受け入れられるクリスマスの素晴らしさ♪♪~♪
おぉ~、まさに我が国のクリスマスにあるべき姿が歌の世界で提示されているのならば、そこに逆説的なメッセージが云々、深読みしたりは愚の骨頂と思うばかりでしたねぇ~~。
ちなみにこの「Wonderful Christmastime」はキーボードを主軸にポールがワンマンレコーディングで作り上げた事は定説になっていますが、ホンワカメロディとテクノ調のサウンドの融合が狙いであったとすれば、翌年に久々のソロアルバム「マッカトニー Ⅱ」を発表し、ニューウェィヴ勢に対抗意識を丸出しにしたような刺激的な傑作曲「Coming Up」のメガヒットには最高の露払いだったように思います。
ということで、この世界には必ずしも幸せなクリスマスを迎えたり、そんな事をやっている場合では無い人達も夥しく、それが現実の厳しい真相でありましょう。
しかし、だからこそ、全ての人類がひとつの楽しみに集える日が宗教行事を超越した「クリスマス」という名目に象徴されて欲しいものだと、浅はかにもサイケおやじは空想しているのでした。
地味~なクリスマスには、小市民的幸せを歌った本稿ご紹介曲など、ぴったりではないでしょうか。
すっかりクリスマス・スタンダードとなった、Johnの "War is over" は文句なしの名曲ですが、Paul のこの曲も、気が付くと、口ずさんでいる私であります。
日本人的な「なんでもあり」ってのが平和だと思うんですがね。欧米流ってのは何でも自分が一番とするから角が立つ。
そして、ヴェンチャーズ、“ドルトン#312・シングル“「SLEIGH RIDE(ソリすべり)を大音量で聴き、そのあとは歌謡曲ザンマイと相成りました。
Xmasはやはり、クリスマスソングが主役でなければ始まりません~♪(ブルーホライゾンのクリスマス・メドレーもベンチャーズモドキで最高!~♪)
あぁ~心がスッキリ、音楽よありがとう!