■やきとりブルース / 岡本リサ (ポリドール)
このジャケットデザインにして、A面に「やきとりブルース」というシングル盤ですから、これってコミックソング!?
という推察は易いわけですが、しかし作詞:とみのてつお&作曲:むつひろし!?!
が作り上げたのは諸行無常の哀しいラブソングであり、デキシーランド・アンバサダーズと名乗るバンドが奏でるオールドジャズっぽいスタイルのサウンドをバックにホロ苦いボーカルを披露している岡本リサの歌唱力は、なかなかに味わい深い仕上がりと思います。
発売されたのは昭和48(1973)年、ということは、こ~ゆ~「キワモノ」系歌謡曲を生真面目に作る事が出来た時代の証の1曲でもあり、この雰囲気の楽曲は同時期に公式レコードデビューした宇崎竜童が率いるダウン・タウン・ブギウギ・バンドもやっていくのですから、一概に捨て去るには勿体無い話であり、実際に聴いていただければ、皆様にも納得していただける、シミジミとしたジャズブルース歌謡なんですよ、これはっ!
と、ついつい力んでしまいましたが、この世における別離は避けえないものである以上、それを思い出す糸口は何であっても否定する事なんか、誰も出来ないでしょう、例えそれが「やきりの煙」であったとしても。
また、サウンドの作りにモダンディキシー系のジャズっぽさが表出しているのは、陽気さと裏腹の悲しみを特性としているニューオリンズスタイルを狙っていたのでしょうか。
そのあたりの真相、あるいは深層はサイケおやじには知る由もありませんし、また、本日の主役たる岡本リサについても、知るところがありませんので、「この人」シリーズに分類はさせていただきましたが、やるせない節回しとソフト&ブルージーな声質には大いに魅了されましたので、他の音源も探索の真っ最中というわけです。
最後になりましたが、掲載の私有盤は非売品のサンプル盤ですので、当時のセールス、どの程度だったのか……?
おそらくはヒットしたとは言い難いレコードであるがゆえの結果として、好事家やコアな歌謡曲ファンにはウケが良かったんじゃ~ないでしょうか (^^;
やっぱり、昭和歌謡曲は面白いですねっ!