OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

プロの中のプロだったSHOGUN

2012-04-20 15:37:00 | 日本のロック

男達のメロディー / SHOGUN (CBSソニー)

1970年代の大衆音楽界でひとつの流行となったのが、それまでは裏方であったセッションミュージシャンの台頭で、例えばアメリカではニューヨーク派のスタッフ、西海岸ハリウッド系のジェントルソウツといったクロスオーバー&フュージョングループ、そして一番の成功を掴んだ TOTO というスタアバンドに代表される確かな演奏力と音楽性を持った人気者が続々と表舞台に登場したのですから、その流れは我国へも伝播し、本日ご紹介の SHOGUN は掲載したシングル盤A面曲「男達のメロディー」を大ヒットさせ、特級のブレイクを果たしています。

しかし、もちろんバンド名が当時のアメリカでベストセラーになっていた時代劇小説のタイトルから頂戴した件、あるいは楽曲そのものがテレビの人気アクションドラマ「俺達は天使だ!(日本テレビ)」の主題歌であった事も踏まえれば、如何にも業界主導の流行りものという現実はミエミエであり、しかも集まっているのが、所謂「お仕事」が得意の面々とあっては、それに反発する音楽好きも少なくありませんでしたねぇ。

ただし虚心坦懐に SHOGUN の演奏に接してみれば、やはり卓越したテクニックと音楽性は悔しいほどに圧巻!

なにしろメンバーは吉野藤丸(g,vo)、大谷和夫(key)、ミッチー長岡(b)、山木秀夫(ds)、中島御(per)、ケーシー・ランキン(vo,g,per) という凄腕揃いであり、各々が既にスタジオの世界や歌謡曲スタアのバックバンドで有名になっていましたから、妬みはあっても実力的には太刀打ち出来ない世界を提供していたのは、これまた間違いの無い事実です。

実はこのシングル盤が出た昭和54年春からしばらく後、サイケおやじは業界の知り合いに連れられて行った某コンベンションに出演した SHOGUN の生演奏に接する幸運があり、その安定したリズム&ピート、完璧なバンドアンサンブル、各人の余裕と緊張のバランス感、おまけにマイクの使い方の細かい技術等々、全く敢然すること無いプロの姿勢には打ちのめされましたですねぇ~~♪

いゃ~、今になっても、あの時の凄さは本当に消える事の無い感銘です。

こうして SHOGUN は忽ち人気バンドの仲間入りを果たし、現実的には既に「おっちゃん」グループでありながら、逆に言えば大人の鑑賞にも耐えうるAORな音楽性と過激なロック魂、さらにはフュージョン志向でありながら、決して難しくないスリルとサスペンスを聴かせてくれました。

それは「男達のメロディー」の大ヒットに続き、やはり人気テレビドラマだった「探偵物語」の劇伴サントラを担当する事で更なる飛躍に繋がった勢いは、まさに絶頂!

ところが、そこでメンバーが悪いクスリで逮捕されるというアクシデント……!

これは本当に残念でしたねぇ。

もちろんバンド名をあえて SHOGUN としていたのは、アメリカ進出も視野に入っていた事の表れであり、実際に渡米して現地のテレビにも出演し、好評だった結果もあったのですから、う~ん……。

当然ながら活動も休止に追いこまれ、メンバーは離散して、各々は再び裏方の仕事に戻ってしまいましたが、ご存じのとおり、当時の我国芸能界はニューミュージックというジャンルが確立しており、同時代にはツイスト、サザン・オール・スタアズ、シャネルズ=ラッツ&スタア、レイジー等々のアイドル性も兼ね備えた人気バンドがメジャーになっていたものの、失礼ながら素人っぽさがその魅力の大きな部分を占めていた事は否めません。

また1980年代に入っては、RCサクセションを頂点とする本格的なロックバンドが普通の人気を集めるほどになりましたが、やはり SHOGUN ほどプロフェッショナルなロック魂を表出させていたバンドは今もって無いと思います。

ただし、自己矛盾しているのは百も承知なんですが、その「ロックの魂」っていうやつは、必ずしも高い音楽性や技術を絶対とするものではありませんから、如何にもヘタウマなミュージシャンがダメという事は決してありませんし、それを逆手に活かしている現実を否定するつもりもありません。

それでも歌や演奏でお金を稼ぐプロという立場であれば、アマチュアとは決定的に異なるハイレベルなものを追求提供してくれる存在があっても当然ですし、それゆえにメジャーになれないグループやバンドが確かにある中で、SHOGUN の業績は忘れられないのでした。

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