OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

あれから20年のストーンズ

2009-06-01 10:00:34 | Rolling Stones

Dress Rehaersals 1989 / The Rolling Stones (Kiss The Stone)

あぁ、昨日は先週までのストレス発散で、またまた散財してしまったですよ。もちろんネタの仕入れや映画観賞なんかですから、後悔していません! と自分に言い聞かせる月曜日……。

しかし実際、昨日は久々の大当たりが何点かありました。本日ご紹介のストーンズのブートもそのひとつです。

内容はストーンズにとっては復活ツアーというか、前回から7年ぶりのコンサート現場への復帰となった1989年の「Steel Wheels Tour」直前のリハーサル音源ですが、リハーサルとはいっても実際のステージでの音響チェックや照明テスト、そして演目の流れや段取りをチェックするという、所謂ゲネプロですから、演奏はしっかりと楽しめます。

しかも久々のライブ巡業を前にした緊張感もありますから、ストーンズの面々の気合いも充実していますよ♪♪~♪

なにしろここまでの経緯には、ストーンズの解散騒動も含んだ実質的な活動停止が続いていましたからねぇ。

それは1983年に出したアルバム「Undercover」制作時からギクシャクしていたバンド内の人間関係が、ミック・ジャガーのソロアルバム制作という事態に発展しての泥沼状態……。そして契約履行のための新作アルバム「Dirty Work」が、明らかにキース・リチャーズ主導のレコーディングだったことから、バンドはバラバラに近くなっていたのが、当時の実情でした。さらにビル・ワイマンの脱退熱望やチャーリー・ワッツの悪いクスリ疑惑までもが、深刻な噂として流れていたのです。

しかもデビュー以前から実質的なバンドメンバーのひとりして、ステージでのピアノ演奏から裏方の仕切りまでやっていたイアン・スチュアートが、1985年12月に急逝……。こうしてメンバー間の接着剤的な役割を担う大切な友人を失ったストーンズの面々は、もはや解散への道を歩み始めたかのように思われたのですが……。

1989年1月になって事態は好転!

ミック&キースの話し合いにより、3月にはバンドメンバーが集合し、そして記念すべきカムバックアルバムとなった「Steel Wheels」のレコーディングがスタートしたのです。もちろんその出来栄えは素晴らしく、今日に至るストーンズの円熟期を支えるものがたっぷりと楽しめますから、あとはライブへの現場復帰を残すのみというところで開始されたのが、本日ご紹介の音源を含む北米巡業です。

そしてここには1989年8月28日、フィラデルフィアのJFKスタジアムで行われたリハーサル演奏が、モノラルですが高音質で収められています。

☆Disc 1
 01 Intro
 02 Start Me Up
 03 Bitch
 04 Shatterde
 05 Sad Sad Sad
 06 Undercover Of The Night
 07 Harlem Shuffle
 08 Miss You
 09 Tumbling Dice
 10 Ruby Tuesday
 11 Play With Fire
 12 Dead Flowers
 13 One Hit
 14 Mixed Emotions
 15 Honky Tonk Women
 16 Rock And A Herd Place
☆Disc 2
 01 Midnight Rumbler
 02 You Can't Always Get What You Want
 03 Little Red Rooster
 04 Befort They Make Me Run
 05 Happy
 06 Paint It Black / 黒くぬれ!
 07 2000 Light Years From Home / 2000光年のかなたに
 08 Sympathy For The Devil / 悪魔を憐れむ歌
 09 Gimme Shelter
 10 It's Only Rock'n Roll
 11 Brown Sugar
 12 Satisfaction
 13 Jumping Jack Flash

上記演目は、まさにストーンズの新旧ヒットパレードとして、今では何の違和感もないプログラムですが、リアルタイムでこのライブに接した者には驚愕仰天でした。

それは「Ruby Tuesday」や「黒くぬれ!」、そして「2000光年のかなたに」という、故ブライアン・ジョーンズ抜きでは語れず、しかもステージでの演奏は不可能と思われていた曲が入っていたからです。おまけにブライアン・ジョーンズだけのスライドギターが決定的なイメージのブルース名演カバー「Little Red Rooster」までもがっ!!

実はこのライブ巡業にはマット・クリフォードという俊英キーボード奏者が加わっており、その大活躍は新作アルバム「Steel Wheels」でも顕著でしたが、実際のステージでも大切な役割を担っていたのです。

また同じくサポートメンバーとして、元オールマン・ブラザース・バンドのチャック・リヴェール(p,key)、お馴染みのボビー・キース(ts,as) が率いるホーン隊、そしてコーラスにはバーナード・ファウラー、リサ・フィッシャー、シンディ・マイゼルという3人の黒人が加わっています。

そしてそれゆえに、全体が非常に安定感のある演奏に纏まっているのです。

まあ、このあたりはストーンズらしくないとして、古くからのファンには違和感もあるのですが、今となっては結果オーライでしょう。実際、この音源を聴いていくと、従来のストーンズならではのラフ&ルーズなノリと、きちっとしたステージショウとしての纏まりを作りあげようとするサポートメンバーの職人気質が微妙にぶつかりあい、なかなかに面白く楽しめます。

結論から言えば、この巡業ツアーからは「Flashpoint」というライブ盤が作られているのですが、そこでの完成された伝統芸能としてのストーンズとは、一味ちがう演奏とムードが、ここでの最高の魅力でしょう。

ちなみに当然ながら、この音源は以前から出回っています。しかしそれは元マスターをそのまんま製品化した所為で、演奏の間に無音のパートがあったりして聴きづらく、CDにしても3枚組という、なんとも経済効率の悪いブツばかりでした。しかし今回はそれを上手く切り詰めて2枚組とし、もちろん最新リマスターで音質はさらにアップしています。惜しむらくはプレス盤ではなく、CDRなのが減点ではありますが、音源重視の皆様ならば気にする必要もないでしょう。

と、ブート屋のお兄ちゃんが言っていたことは本当でした。

さて、肝心の演奏は、既に述べたように素晴らしいです♪♪~♪

流石のストーンズにしても、久々の現場復帰でオドオドしている雰囲気が微笑ましい前半部分のチクハグなところでは、この時点の新曲だった「Sad Sad Sad」や「Mixed Emotions」、さらに「Rock And A Herd Place」での纏まりの悪さが逆に新鮮ですし、メンバーの身体に染みついている「Bitch」や「Tumbling Dice」といった全盛期の勢いが、なかなかのロック魂を感じさせてくれます。

そして、それが一気に全開となるのが「Dead Flowers」あたりからでしょうか、前述した新曲も含めてのバラバラな勢いが、まさにストーンズの魔性の魅力! 「Honky Tonk Women」でのローリングしまくったピアノの楽しさにもウキウキさせられますし、バンドメンバー間の自然体での意志の疎通はベテランの味を超越していると思います。

そして後半に入ってはグッとあっさりした「Midnight Rumbler」、爽やかさが???の「無情の世界」という、あまり「らしく」ない演奏が続きますが、こうした違和感を払拭してくれるのが「Little Red Rooster」でのブルースロック大会です。もちろんブライアン・ジョーンズが弾いていた色気のあるスライドは聞かれませんが、ピアノを全面に出したシカゴスタイルの味わいで勝負したのは潔いところでしょう。ロン・ウッドのスライドも健闘していると思います。ちなみに前述した「Flashpoint」に収録のバージョンには、特にエリック・クラプトンがゲスト参加したテイクが使われたのもムベなるかな!

さらに気になる「黒くぬれ」から「2000光年のかなたに」のパートでは、サンプリングキーボードまでも駆使したマット・クリフォードが大活躍ですが、ここではリハーサルということもあり、サポートメンバーも含めたバンドの手探りの雰囲気も良い感じ♪♪~♪ 「2000光年のかなたに」のラストから「悪魔を憐れむ歌」へ流れていくアレンジも秀逸だと思います。

こうして到達するクライマックスは、慣れた曲ばかりとあって、バンドはリラックスした中にも自分達なりの手応えを確かめているようですが、やっぱりストーンズ好きには最高の瞬間に違いありません。

女性ボーカルとの絡みを活かしたオリジナルの雰囲気が楽しめる「Gimme Shelter」、ヤケッパチなキースやロニー、そしてコーラス隊が楽しい「It's Only Rock'n Roll」や「Brown Sugar」と、いずれの演奏でもピアノがメインのアレンジになっていますから、当然ながら「Satisfaction」はモータウンがモロ出しというタネ明かし大会ですよ♪♪~♪

しかしオーラスの「Jumping Jack Flash」は流石にストーンズだけのギターサウンドが横溢し、溜飲が下がります。

ということで、既に述べたように、このツアーからのストーンズのライブ演奏には違和感を隠せない古くからのファンも、この音源を聴けば納得じゃないでしょうか?

つまり原石の輝きというか、未完成の魅力というか、本番ではカチッと纏まっていたステージショウのネイキッドな部分が楽しめるのです。

実際、サイケおやじは以前にこの音源を聴いた後から、あらためて「Flashpoint」以降のライブや新作アルバムを楽しめるようになったのです。

そして特筆すぺきは、バンドメンバーがブライアン・ジョーンズを思い出に出来たことじゃないでしょうか。それは哀しいことかもしれませんが、「時はいつの日も親切な友達」とユーミンも歌っているように、いよいよベテランの貫禄を示す時期に入ったストーンズにとっては、避けて通れない道だったと思います。それゆえにサポートメンバーを拡充してまで、ブライアン・ジョーンズ期の曲をライブで演じるのは、ストーンズの存在証明として好感が持てます。

この時代は未だビル・ワイマンが居たわけですし、ドラッグから立ち直ったチャーリー・ワッツのドラミングも寸止めではない強いビートを敲いていた最後のリアルストーンズ期でしたから、楽しまないのは勿体ない!

本当に、そう思います。

う~ん、それにしても、これって既に20年前なんですよねぇ~。今でも現役のストーンズは、おじさん世代には希望ですよ、はい。

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