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サイケおやじの生活と音楽

追悼・彩木雅夫 ~ 恋あざみを聴きながら

2022-09-28 17:02:35 | 追悼

恋あざみ / 勝彩也 (ユニオン / テイチク)

昭和歌謡界、殊更ムード歌謡や盛り場演歌の名曲を数多く書いた作曲家の彩木雅夫が天国へ召されました……。

故人が発表したヒット曲の数々は、意識せずとも日本で生活している我々にとっては耳に馴染んだメロディばかりで、あえて代表曲を幾つか列記すれば、「花と蝶 / 森進一」「年上の女 / 森進一」「なみだの操 / 殿様キングス」「さいはての女 / 藤圭子」「長崎は今日も雨だった / 内山田洋とクール・ファイブ」等々、数えきれないわけですが、サイケおやじとしては中でも特に好きなのが、昭和45(1970)年に勝彩也がヒットさせた本日掲載のシングル盤A面曲「恋あざみ」です。

もちろん、これは現在でもカラオケの定番曲として人気がありますし、八代亜紀が公式デビュー前のクラブシンガー時代から十八番にしているほどですから、様々な歌手によるカバーバージョンも相当に残されているんですが、やはり本家・勝彩也のハスキーボイスを活かしきったオリジナルバージョンの存在感はピカイチ ♪♪~♪

それは運命に抗えない女の哀しみを綴った泉淳三の歌詞に附された彩木雅夫のセンチメンタルな演歌節の深層を、じっくりとした歌心で表現する勝彩也だけの歌謡世界であり、森進一とは似て非なる声質や節回し、また独特のタメとモタレは、当時の歌謡界においては、時として「異質」とされていたらしいんですが、決してキワモノではなく、絶対的な王道のひとつでありましょう。

で無ければ既に述べたとおり、カラオケの人気定番になるはずもなく、またカバーバージョンが吹き込まれる事も無かろうと思うわけでして、あらためて勝彩也のオリジナルバージョンを聴いてみれば、ミディアムテンポで弾んだ調子のリズムアレンジにテナーサックスやギターの使い方も、これまた盛り場演歌の王道をきっちりと守り抜いた森岡賢一郎の編曲は、流石!

ちなみに勝彩也は彩木雅夫の愛弟子であり、活躍が期待されながら、健康を害して引退されたのは、歌謡界にとっての大損失……。

現在は、ヨガや整体の仕事とカラオケ教室を運営されている諸々の状況がテレビの「あの人は今」系の番組で報じられていましたが、もっと歌って欲しかったという思いは尽きません……。

また、当然ながら「彩木雅夫傑作集」みたいな追悼復刻盤の編集も強く望まれるところなんですが、サイケおやじが所有しているレコードを幾つかに針を落としてみれば、あらためて故人が書いたメロディラインは下世話でありながら、決して下卑ておらず、むしろ哀切の黄金律とも云うべき胸キュン感に満ちているなぁ~~~♪

だからこそ、せつなくも、やるせない歌詞にはジャストミートするんでしょうねぇ~~♪

そして、そこには一抹の希望の光が見えたりするんですが、いかがなものでしょう。

ということで、またしても偉大なる昭和のソングライターが、この世を去ってしまいました……。

確かに、その時代に比べれば、「歌謡曲」は下火なジャンルではありますが、決して消え去っていないどころか、ジワジワと燃え盛りつつある現在の状況を鑑みれば、泉淳三&彩木雅夫が畢生の傑作「恋あざみ」は歌い継がれていくものと確信しております。

うむ、今夜は亜紀姐さんのカバーバージョンを聴こうかなぁ~~。

合掌。


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