OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

大化けするにも初心は大切

2019-12-03 17:55:30 | Rock
Apache '65 / The Arrows (Tower / Capitol / 東芝)

アメリカのギタリストの中でもワイルド派とも言うべきデイヴィ・アランは近年、ヴァン・ヘイレンの少年時代のアイドルだったとか云々伝えられた事もあり、1980年代に再注目された記憶も新しいんですが、サイケおやじとしては、大好きなアメリカ産のバイク映画における劇伴音源の中で聴かせたヘヴィなファズギターの王様であります。

しかし、その詳細な履歴は知る由もありませんが、デイヴィ・アランにしても最初は真っ当な言えば失礼かもしれませんが、それほどブッ飛んだギタリストではなく、本日掲載のシングル盤A面に収録の「Apache '65」は文字どうり、イギリスのバート・ウィードンやシャドウズが1960年にヒットさせたインスト曲を1965年にリメイクした、なかなか正統派のサーフ系エレキギターが楽しめる人気作でしょう。

もちろんクレジットされた名義のアロウズはデイヴィ・アラン(g) が率いていたバンドで、メンバーはポール・ジョンソン(g)、スティーブ・ピュー(b)、ラリー・ブラウン(ds) が参加していたそうですが、スタジオレコーディングの実態は知るところがありません。

ところが、ど~した経緯か、翌年になって公開されたロジャー・コーマン監督の傑作バイク映画「ワイルド・エンジェル」の劇伴ではデイヴィ・アランの歪まくったエレキギターが大爆発!

中でも「Blue's Theme」と題されたシンプルな演奏がシングル盤化されるや、これがアメリカで大ヒットになり、今に至るもサイケデリックロックの代名詞的インスト曲に崇め奉られている事は、今日まで世に出た同系楽曲を集めたコンピレーション盤でも確たる証拠として認められるところです。

それは決して複雑なメロディや仕掛けを伴わない、至ってシンプルなリフだけで構成されたロックビートの演奏ではありますが、既に述べたとおり、とにかくファズに拘ったデイヴィ・アランのギターはもちろんの事、サイドギターやベースにまでもナチュラルなディストーション的エフェクトが加えられており、またドラムスも単調なリズムに専念しながら、強力なパワーを放出しているんですから、如何にも当時のダンスミュージックには絶好のキラーチューンだったはずです。

そしてデイヴィ・アランとアロウズは以降も様々なバイク映画のサントラ音源に駆り出されては多くの名演を残しており、例えば「デビルズ・エンジェル」や「グローリー・ストンパーズ」等々はDVD化されておりますし、ネットでも接する事が出来る人気作 ♪♪~♪

ちなみにアロウズのメンバーは、やはり出入りが激しかったのでしょう、時には5~6人組で登場している写真や映像がありますし、人気絶頂時に作られたレコードの数々を聴けば、そこにはキーボードの存在感も強い演奏がありますから、なかなか実態は把握出来ないものの、それに固執しなくとも、ノー文句で楽しめるのがデイヴィ・アランの人気の要因かと思います。

実際、アメリカでは彼等のLPは中古でも入手が容易でしたし、現在では残された音源が要領良くCDに纏められ、お気楽に聴ける状況ですので、興味を抱かれた皆様には、ぜひともお楽しみいただきとうございます。

ということで、人は何かの拍子に大化けするというのが、本日の結論めいたオチになりましょうか。

もちろん、才能があってのチャンス到来という側面はございましょうが、それでも初心を忘れたら後の祭りは言わずもがな……。

それでも前を向いているかぎり、進むべき道は開けるものと思っているのでした。
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1 コメント

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Unknown (エレキ万歳)
2019-12-03 23:20:54
ヨルゲン・イングマン(デンマーク)のアパッチも可成有名です。
ベンチャーズのアパッチは別バージョンがあり良い音だしてます。
アパッチ・マニアと言うCDがありますが、いろんなバンドのアパッチが聴けます。

作曲者ジェリーロダンが最初にBert Weedonにアパッチを録音させたと聞いた事があります。
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