その2にいくつかご批判があったが、改めて「その1の通り」と考えている。その次第を専門誌の文章などから、もう一度まとめてみたい。そして、土曜日のウズベギスタン戦のメンバー予想などもおこなってみよう。なんせ好きなもので、同好の士と喜びを分かち合いたくって長文を読ませたくなる。興味のない人には、済みませんねー。
もう一度言うが、「スポーツ評論は自然科学的にやらねばならぬ。それもそのスポーツの全体を見て、かつその根本から」。日本人のスポーツ評論はどうも、本職も含めていいかげんだと思えてならない。どうしてかと考えたら、こんなことを思いついた。まだまだスポーツを「遊び」と考え、その「遊び」には「勉強」などは要らぬと考えているのではないか。どんなスポーツも文化も、意識してきちんと勉強すればする程、やるのも見るのもはるかに面白くなるのに。
なお、こういうスポーツ評論の未熟さについて、スポーツを文化としてではなく、見せ物・興業とだけ扱ってきた野球など日本従来のスポーツマスコミの責任が極めて大きいと、僕は見ている。スポーツをこんな風にだけ扱うのは、「行うスポーツ」というものの発展には何も寄与しないと思う。人気の落ち目を、ジャリ・タレント総動員で支えようとするスポーツなどには、将来はないと言いたい。スポーツはやはり、やる人を増やさなければそれだけ文化としての価値が低くなるはずのものなのではないか。そもそも、視聴率が同じと言うだけで、サッカーと、野球、バレーボール、水泳、ランニング以外の他のあるスポーツとを同じように扱うとしたら、おかしいことではないか。競技人口に圧倒的に差があると思うからだ。
どのスポーツを放映して欲しいかと、マスコミ得意の「世論調査」を一度やってみたらよい。サッカーの放映時間がこんなに少ないということはないはずだと思う。
さて、「週刊サッカーダイジェスト」最新号では、編集部も専門家も特にチリ戦を凄く高く評価している。監督や選手たちもそうだった。その内容は僕がその1で述べたとおりであるが、改めて紹介してみたい。
まず岡田監督の総括。
「自分たちにとって財産になっていく試合だったと思います。チリがアグレッシブだったおかげで、我々もいろいろなことが分かりました。」
大活躍だった中村憲剛のまとめ。
「足を止めたら日本は終わり。出したら走るということを続ければ、今日の試合のように相手に穴が空く。そしてこれを続ければ、もっと上の相手にも通用するようになる」
同じく、本田圭佑の言葉。オランダ2部で今期リーグMVPを取った彼には、既にもう中村俊輔より高い値段が付いているというニュースが入っている。若いし、点が取れるからなのだ。
「今の日本がやっているサッカーは、『強いチーム』がやるサッカーだと思います。相手に対してビビらず、強気な姿勢でボールを奪いに行く、それは強いチームがやるサッカーだ」
おなじく今や代表ボランチのレギュラーを確保した長谷部誠の言葉。今の彼はもはや、ドイツのこんな一流選手になり上がっている。チャンピオンズリーグの常連バイエルン・ミュンヘンを押しのけて1部初優勝を勝ち取ったチームの不動のレギュラーなのである。
「自分をマークしている選手に運動量で走り勝とうと言っていたので、とにかく動いてフリーになることを考えてプレーしていた」
これらの表現は全て、先回書いたまとめを裏付けてくれるものだろう。特に、日本の弱点であった点取りに関する次の部分を。
【 さて、チリ戦、ベルギー戦では上のことが全て上手くいった。
①敵ボール奪取の瞬間に見られるはずの、全員の攻撃への切り替え、「ゴールへの詰め走り」。
②「詰めた人間たちのスペース走り」とパス交換。
③味方シュートへの敵クリアーボールをいつも狙って、さらに前へ詰めているかどうか。岡崎のこれが特に目立ったものだ。 】
さて、以上のまとめにもなり、今後の方向を示しもするような編集部の文章があった。この文章は当面の日本の形や先発メンバーを予想させる最も良い総括と、僕には見えたものだ。
「岡田監督はチリ戦後、中村憲のトップ下起用について、『リバプールのジェラードのようなイメージ』と語っている。これは今までのように、トップ下の選手に1トップと連動しながらスペースに飛び出すことを第1に求めるのではなく、パスの供給源として期待していることの表れ。本人も『(ボールを持ったら)最初に裏を狙わないと相手は怖くない。自分がトップ下に入る時は、そういうパスを出さないといけない』と語っており、前線での受け手の枚数を増やす意味で指揮官は、両サイドの位置を上げて『3トップ+トップ下』としたのだろう」
上のこの部分が特に極めて大事な指摘と思う。
「前線での受け手の枚数を増やす意味で指揮官は、両サイドの位置を上げて『3トップ+トップ下』としたのだろう」
チリ戦は、この点においてこそ画期的な成果を上げたと言える。前二人以外にも、中村憲、長谷部も時に「前線での受け手」になっていたのである。遠藤そして俊輔が敵の切り返しに備えてくれることを信じてのことなのだ。
こんなわけで、当面の代表ベスト・メンバーを予想してみる。日本の力を最もよく出しうる主要なチーム・コンセプトを以下の二つと見てのことである。
①全員防御・全員攻撃の組織的走力とポジション取りの重視、②攻守の切り替えの速さとゴール前に一定の枚数が揃うこと
DFは、右から(以下同じ)内田、中沢、闘利王、長友。ボランチの長谷部、遠藤は当面不動と断言して良い。ここが日本の攻守の要であって、この二人を前提として前後の人選も決まってくると言ってさえ良い。その上で、中村憲剛のトップ下と、スリートップの右から、中村俊輔、玉田、岡崎。
以上と見る。前がかりで、遠藤と俊輔に「組織的指示の声出し」も含めて凄く負担のかかる布陣だ。が、これでアジアを軽く乗り切れるぐらいでないと、岡田の言う「ワールドカップ4位以内」など、到底おぼつかないはずだ。
ちなみに、オシムは1ボランチが(日本の)理想だと常々語っていた。上の布陣からさらに長谷部が前に行くということだろう。ボランチを含めて前へ、1-2-3か1-3-2ということである。
もう一度言うが、「スポーツ評論は自然科学的にやらねばならぬ。それもそのスポーツの全体を見て、かつその根本から」。日本人のスポーツ評論はどうも、本職も含めていいかげんだと思えてならない。どうしてかと考えたら、こんなことを思いついた。まだまだスポーツを「遊び」と考え、その「遊び」には「勉強」などは要らぬと考えているのではないか。どんなスポーツも文化も、意識してきちんと勉強すればする程、やるのも見るのもはるかに面白くなるのに。
なお、こういうスポーツ評論の未熟さについて、スポーツを文化としてではなく、見せ物・興業とだけ扱ってきた野球など日本従来のスポーツマスコミの責任が極めて大きいと、僕は見ている。スポーツをこんな風にだけ扱うのは、「行うスポーツ」というものの発展には何も寄与しないと思う。人気の落ち目を、ジャリ・タレント総動員で支えようとするスポーツなどには、将来はないと言いたい。スポーツはやはり、やる人を増やさなければそれだけ文化としての価値が低くなるはずのものなのではないか。そもそも、視聴率が同じと言うだけで、サッカーと、野球、バレーボール、水泳、ランニング以外の他のあるスポーツとを同じように扱うとしたら、おかしいことではないか。競技人口に圧倒的に差があると思うからだ。
どのスポーツを放映して欲しいかと、マスコミ得意の「世論調査」を一度やってみたらよい。サッカーの放映時間がこんなに少ないということはないはずだと思う。
さて、「週刊サッカーダイジェスト」最新号では、編集部も専門家も特にチリ戦を凄く高く評価している。監督や選手たちもそうだった。その内容は僕がその1で述べたとおりであるが、改めて紹介してみたい。
まず岡田監督の総括。
「自分たちにとって財産になっていく試合だったと思います。チリがアグレッシブだったおかげで、我々もいろいろなことが分かりました。」
大活躍だった中村憲剛のまとめ。
「足を止めたら日本は終わり。出したら走るということを続ければ、今日の試合のように相手に穴が空く。そしてこれを続ければ、もっと上の相手にも通用するようになる」
同じく、本田圭佑の言葉。オランダ2部で今期リーグMVPを取った彼には、既にもう中村俊輔より高い値段が付いているというニュースが入っている。若いし、点が取れるからなのだ。
「今の日本がやっているサッカーは、『強いチーム』がやるサッカーだと思います。相手に対してビビらず、強気な姿勢でボールを奪いに行く、それは強いチームがやるサッカーだ」
おなじく今や代表ボランチのレギュラーを確保した長谷部誠の言葉。今の彼はもはや、ドイツのこんな一流選手になり上がっている。チャンピオンズリーグの常連バイエルン・ミュンヘンを押しのけて1部初優勝を勝ち取ったチームの不動のレギュラーなのである。
「自分をマークしている選手に運動量で走り勝とうと言っていたので、とにかく動いてフリーになることを考えてプレーしていた」
これらの表現は全て、先回書いたまとめを裏付けてくれるものだろう。特に、日本の弱点であった点取りに関する次の部分を。
【 さて、チリ戦、ベルギー戦では上のことが全て上手くいった。
①敵ボール奪取の瞬間に見られるはずの、全員の攻撃への切り替え、「ゴールへの詰め走り」。
②「詰めた人間たちのスペース走り」とパス交換。
③味方シュートへの敵クリアーボールをいつも狙って、さらに前へ詰めているかどうか。岡崎のこれが特に目立ったものだ。 】
さて、以上のまとめにもなり、今後の方向を示しもするような編集部の文章があった。この文章は当面の日本の形や先発メンバーを予想させる最も良い総括と、僕には見えたものだ。
「岡田監督はチリ戦後、中村憲のトップ下起用について、『リバプールのジェラードのようなイメージ』と語っている。これは今までのように、トップ下の選手に1トップと連動しながらスペースに飛び出すことを第1に求めるのではなく、パスの供給源として期待していることの表れ。本人も『(ボールを持ったら)最初に裏を狙わないと相手は怖くない。自分がトップ下に入る時は、そういうパスを出さないといけない』と語っており、前線での受け手の枚数を増やす意味で指揮官は、両サイドの位置を上げて『3トップ+トップ下』としたのだろう」
上のこの部分が特に極めて大事な指摘と思う。
「前線での受け手の枚数を増やす意味で指揮官は、両サイドの位置を上げて『3トップ+トップ下』としたのだろう」
チリ戦は、この点においてこそ画期的な成果を上げたと言える。前二人以外にも、中村憲、長谷部も時に「前線での受け手」になっていたのである。遠藤そして俊輔が敵の切り返しに備えてくれることを信じてのことなのだ。
こんなわけで、当面の代表ベスト・メンバーを予想してみる。日本の力を最もよく出しうる主要なチーム・コンセプトを以下の二つと見てのことである。
①全員防御・全員攻撃の組織的走力とポジション取りの重視、②攻守の切り替えの速さとゴール前に一定の枚数が揃うこと
DFは、右から(以下同じ)内田、中沢、闘利王、長友。ボランチの長谷部、遠藤は当面不動と断言して良い。ここが日本の攻守の要であって、この二人を前提として前後の人選も決まってくると言ってさえ良い。その上で、中村憲剛のトップ下と、スリートップの右から、中村俊輔、玉田、岡崎。
以上と見る。前がかりで、遠藤と俊輔に「組織的指示の声出し」も含めて凄く負担のかかる布陣だ。が、これでアジアを軽く乗り切れるぐらいでないと、岡田の言う「ワールドカップ4位以内」など、到底おぼつかないはずだ。
ちなみに、オシムは1ボランチが(日本の)理想だと常々語っていた。上の布陣からさらに長谷部が前に行くということだろう。ボランチを含めて前へ、1-2-3か1-3-2ということである。