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米国の元捕虜に謝罪した藤崎駐米大使          天木ブログより

2009年06月24日 09時04分54秒 | Weblog
★久しぶりに天木ブログを読んでなるほどと思った。見出しのように藤崎駐米大使が米兵捕虜団体の会合に出席して、日本政府として68年目にはじめて謝罪したというのである。読み始めて「ああそれは遅きに失するが、まあ良いことだ」と感心していたら、問題はもっと根深かく大問題であった。紹介したい。(まもる)
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米国の元捕虜に謝罪した藤崎駐米大使

 
  6月22日の毎日新聞に極めて重大な記事がスクープされていた。見逃すには大きすぎる記事だ。
  5月30日に日本の駐米大使藤崎一郎氏が、米兵捕虜団体の会合に出席して、日本政府として68年目にはじめて謝罪したという。

 フィリピン・バターン半島で米兵捕虜ら一万人以上を約100キロ無理して歩かせ、約800人以上の犠牲者をだした、いわゆる「バターン死の行進」。その事についての謝罪だという。
 悪い事をしたなら謝罪する、それは如何なる意味でも正しいことだ。この謝罪が、藤崎大使の元米捕虜兵に対する個人的謝罪であればそれを評価する。
 しかし私が驚いたのは、藤崎大使が、「日本政府の立場を伝える」と発言して謝罪したことだ。「95年の村山談話の範囲内」で謝罪したと述べていることだ。
 あの村山談話は、その経緯からいっても、談話の内容から言っても、日本のアジア侵略の責任を謝罪する事を一義的目的としてつくられたものだ。
 村上談話はいつから米国に対する戦争責任の謝罪の根拠に拡大されたのか。

 それよりもなによりも、日本政府は、米国に戦争をして迷惑をかけた事を謝罪する決定を、いつしたのか。その決定は国民に知らされているのか。報道されているのか。

 戦争責任を謝罪するならば、サンフランシスコ講和条約に締結した49カ国に等しく謝罪すべきではないのか。文句を言われたら謝罪する。言われなければ何もしない。国によって謝罪をしたり、しなかったりすることが正しいことなのか。
 そもそも藤崎大使の謝罪は戦争責任の謝罪なのか。それとも戦争中に行なわれた残虐な行為についての被害者に対する謝罪なのか。

 戦争中の残酷な行為であれば、「バターン死の進行」だけに限らない。おびただしい残酷な行為がで行なわれてきた。戦争は人間を狂気に追いやる。だから戦争は許されないのだ。
 犠牲者は米国軍人だけではない。アジア人はもとより英国人やオランダ人なども含まれる。
 それに、およそ戦争中は、どの国も多かれ少なかれ敵国民に残酷な行為を行なう。米国は日本の非戦闘国民に対して無差別爆撃を繰り返した。なにより原爆投下を行なった。米国政府はそれを決して謝罪しない。日本は謝罪を求めない。

 もっと言えばあの村山談話を、田母神前航空幕僚長や皇国史観に立つ連中は決して認めようとしない。アジアへの侵略は認めない。
 その彼らは、アジアに謝罪する村山談話は否定するが、日本政府が米国に謝罪することは認めるのか。どうなんだ。

 このブログを読んだなら日本政府や藤崎大使に謝罪の真意をただしたらどうだ。
 
 賢明な読者ならもう理解しているだろう。私が言いたい事は、今回の藤崎大使の元米捕虜兵に対する謝罪なるものが、実に多くの問題を内包しているということだ。
 それらの問題を考えた末での謝罪とはとても思えない。少なくとも米国に対する謝罪について、国会でもメディアでも、それをまともに議論した事を私は寡聞にして知らない。
 よもや、揺らぎつつある日米同盟をつなぎとめるために、米国政府や元米国捕虜兵の機嫌をとろうとして謝罪したのではないだろうな。

 今度の謝罪決定は閣議決定などを経てなされたものではなく、対米従属に走る外務官僚が決めた謝罪ではないだろうな。

 藤崎大使と私は外務省の同期生だ。同期生のよしみで言う。おい、藤崎、この謝罪は日本政府の公式決定を経た日本の政策なのか。そうであれば、元米軍捕虜に対してだけではなく、何故オバマ大統領に行なわないのか。米国民に向かって行なわないのか。

 このまま見過ごしてしまうにはあまりにも重大な毎日新聞のスクープである。

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Posted by 天木直人 | Trackbacks[0]
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コメント (1)
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