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オバマの戦争拡大政策に、あらためて強く反対しよう!

2009年06月18日 22時37分19秒 | Weblog
★オバマ氏の核廃絶の宣言が世界的に高い評価を受けています。
 日本では共産党も高い評価を与えているようです。
 唯一の被爆国として核廃絶は悲願であり、外交目標の大きな柱ですから評価するにはやぶさかではありませんが、報道によればオバマはアフガン等での戦闘を次々と強化しているように思えてなりません。オバマこんな戦争拡大政策にがっかりしていたところメール仲間の井上澄夫氏から次のような主張が送られてきました。私の危惧している多くの点を指摘してくれています。ご一読ください。(ネット虫)
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反戦の視点・その81

オバマの戦争拡大政策に、あらためて強く反対しよう!

                          井上澄夫 


「オバマの戦争」がどんどん拡大している。オバマ大統領は昨秋の大統領選で、イラクから漸次米軍を撤退させ、アフガニスタンを主戦場にすると公約した。しかしそこでいう「アフガニスタン」は、実際には「アフガニスタン・パキスタン」だった。ブッシュ前政権がパキスタン北西部への越境空爆を持続し、オバマにはそれを中止する意志がなかったからである。
 それどころか、オバマは最近、パキスタン北西部への越境空爆を強化していて、
同国では膨大な難民が発生している。2001年〈9・11〉直後の米英によるアフガニスタン空爆開始は、当時、同国の大部分を実効支配していたタリバーン政権が〈9・11〉を惹き起した実行犯とされるオサマ・ビン・ラーディンらをかくまっていることが理由とされた。しかしタリバーン政権は話し合いの姿勢を見せていたのだから、外交的な解決の手段がなかったとはいえない。アフガン先制攻撃は文字通りの国際法違反だった。

 ブッシュ大統領(当時)が先制攻撃を始めたのは自ら煽動した米国内世論の排外主義的愛国感情を政権の求心力強化に利用したかったからだ。その動きの根底には、この際、米国を世界を仕切る唯一の「帝国」に押し上げるという意図があった。世界を「米国の敵と味方」に強引に分別して取り仕切ろうとするブッシュの政治手法は一時期は力を発揮したが、奢り高ぶった姿勢がイラク攻撃に発展するに及んで、急速に国内外で影響力を失い、大統領選での共和党候補の敗北をもたらした。膨(ふく)らむ戦費が国家財政を圧迫する一方、ネオリベラリズムに基づく経済政策が貧困層をいよいよ貧しくしながら増大させた。
 米国を〈帝王〉とする一極集中構造は崩壊し、同国は経済的にも国際政治上も、
さらに軍事的にも、もはや世界最強ではない。世界の多極構造化が進む中での「オバマの戦争」の実態を考察する。

◆退くに退けないイラク駐留米軍

 〈米国防総省当局者は5月1日、イラクで4月30日、武装勢力の掃討作戦に従事していた海兵隊、米海軍兵士計3人が死亡し、4月中の米兵犠牲者数は計18人となり、今年の月間単位では最悪となったと述べた。/このうち、16人が戦闘行為で死亡した。3月の死亡者は9人で、2003年3月のイラク軍事作戦開始以降、最低の水準だった。/一方、イラク内務省当局者によると、テロや攻撃などに巻き込まれ死亡したイラクの民間人が4月に少なくとも290人に達し、今年に入り最悪の数字になった。3月は185人だった。イラクでは4月、イランのシーア派巡礼者らを狙った自爆攻撃も多発、同国人約80人が死亡している。(5月1日付米CNN)
 〈イラクの治安が再び悪化の兆しを見せている。首都バグダッドなどでテロが頻発、4月のイラク人犠牲者数は355人(AFP通信調べ)と今年最悪を記録し、駐留米軍の撤退計画を発表したオバマ米大統領も懸念を示している。多数派のイスラム教シーア派と少数派スンニ派の宗派対立が依然として不安定化要因になっている。/テロが多いのはバグダッドのほか東部ディヤラ県や北部の主要都市モスルなど。バグダッド周辺では4月末、わずか1週間で計約190人が自爆テロなどで死亡した。オバマ大統領は「以前に比べ被害は少ない」としながらも、テロの頻発について「懸念の元」と発言した。/駐留米軍はアルカイダの活動が活発な北部モスルでは、6月末の都市部撤退期限後も残留する可能性を示唆。一方、イラク政府は「予定通りの撤退」を強硬に主張している。〉(5月11日付『毎日新聞』)

 オバマが大統領選でイラクからの撤兵を公約として打ち出したのは、米軍がイラク国軍を養成すれば、イラク政府が自力で治安を回復し維持できるという判断があったからである。上の情報はそれがうまくいかない現実を示している。撤退は侵攻より困難だ。〈敵意の海〉から脱出するので奇襲や追撃を覚悟しなければならないからである。

◆アフガンで民間人を殺し続ける米軍とNATO軍

 〈アフガニスタン西部ファラ州当局は5月5日、4日夜の北大西洋条約機構(NATO)軍による空爆で、市民や武装勢力タリバンのメンバーら計約30人が死亡した模様だと発表した。空爆はタリバンと交戦したアフガン軍を支援するためで、民家も爆撃されたという。戦闘は続いており、ロイター通信によると住民の1人は「双方とも市民の命に関心を払っていない。カルザイ大統領は我々を助けてほしい」と訴えた。〉(5月5日付『毎日新聞』)
 〈国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」は5月8日、アフガニスタン東部で3月にあった北大西洋条約機構(NATO)軍の空爆で非人道性が問題視されている「白リン弾が使われ、8歳の少女が顔などに深刻なやけどを負った」と非難声明を出した。NATO軍側は白リン弾の使用は認めたが、民間人の負傷は否定した。アフガンで白リン弾の使用が明らかになったのは初めて。/一方、アフガン西部で4日にあった米軍の空爆による死者は9日までに130人を超えている。〉(5月10日付『毎日新聞』)
 〈ジョーンズ米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は5月10日、ABCテレビの番組で、アフガニスタンのカルザイ大統領が同国内での米軍による空爆の中止を求めたことについて、「司令官の手を縛って空爆を行うなと言うのは軽率だ」と要求を拒否し、空爆を継続する方針を示した。/アフガンで先週、米軍などによる空爆で、民間人100人以上が死亡したとの指摘もある。現在、米軍はアフガン政府とともに調査を続けている。ジョーンズ補佐官は「イスラム原理主義勢力タリバンが民間人を『盾』にしている」と述べ、タリバンが地元住民たちを拘束したため被害が広がったとして、タリバンを非難した。その一方で、「われわれは正すべきことは正して、無実の人々が犠牲にならないよう慎重を期す」と述べた。〉(5月11日付『産経新聞』)
 〈パキスタン国境に近いアフガニスタン東部ホストで5月12日午後4時半頃アフガン兵をよそおったイスラム強硬派タリバーンの戦闘部隊が自爆攻撃を行い、少なくとも10人のタリバーン戦闘員のほか、治安要員5人と民間人4人が死亡した。
地元当局者と米軍が明らかにした。/米軍は6時間にわたってタリバーンと激しく交戦。米軍報道官は、戦闘でタリバーン側の数人が死亡したものの、退却を余儀なくされたとしている。/ホストはタリバーンの活動の温床で、戦闘や誘拐事件が相次ぎ、情勢不安が続いている。ゲーツ米国防長官はこの日、アフガン駐留米軍のマッキャナン司令官を解任すると発表したばかり。〉(5月13日付米CNN)
 〈空爆による民間人犠牲が深刻化しているアフガニスタンで、同国下院がカルザイ政権に対し、外国軍の行動制限や責任などを明確にする国内法制度の確立を求めている。イラクで1月に発効した、米軍駐留の法的根拠などを定めた「地位協定」を想定したもの。アフガンではこうした具体的な取り決めがないことが、民間人犠牲の責任をうやむやにし、誤爆が改善されない原因との指摘が議会内にあるためだ。/議会関係者によると、新たな国内法案の主な柱は、空爆の中止や、民間人を殺傷した場合の処罰。このほか、バグラム米軍基地での違法な拘束や家宅捜索の禁止、駐留軍の撤退期限の設定などが盛り込まれたという。/西部ファラ州で今(5月)4日にあった米軍の空爆は、政府によると、死者130人を超え、国内各地で反米デモがわき起こった。カルザイ大統領は9日、米国のテレビとのインタビューで、「空爆はテロとの戦いの効果的な方法ではない。中止すべきだ」と訴えた。/法制度の取り決めを求める声は、昨年8月に西部ヘラート州で米軍の空爆により市民90人以上が死亡した後にも政府内で議論された。しかし、米軍は「攻撃対象は武装勢力メンバーだった」との姿勢を変えず、空爆を正当化。うやむやになった。〉(5月18日付『毎日新聞』)

 米軍とNATO(北大西洋条約機構)軍がアフガニスタンでタリバーンに対する空爆を強化し、民間人の被害が拡大している。それがどれほどすさまじい事態であるかは、腐敗が常態化しているカルザイ政権でさえ空爆の中止を求めざるを得なかったことが象徴している。アフガン下院の動きは当然だろうが、同国を主戦場と位置づけるオバマ政権はまったく聞く耳を持たない。 

◆米国の戦場にされたパキスタン

 〈パキスタン政府軍と武装勢力の戦闘地域が拡大の一途をたどり、「内戦」への懸念が国内で高まっている。米国の民生部門の支援拡充策を背景に、武装勢力との和平を破棄して戦闘強化策を選んだザルダリ大統領だが、戦闘の長期化は避けられない情勢だ。4月に東京であったパキスタン支援国会合で決まった総額52億8000万ドル(約5065億円)の経済援助の約束も、実施困難との見方が出始めている。/政府軍によると、戦闘地域は現在、北西辺境州スワート地区から周辺のシャングラパン、ディール、マラカンドなどの各地区に拡大。アフガニスタン国境の部族地域である南ワジリスタン、モハマド、オラクザイなど各管区でも戦闘が激化し、国連によると避難民は100万人を超えた。/こうした中、主要都市がある東部や南部に戦火が広がれば、「内戦になる」(5日付英字紙「ザ・ニューズ」)との懸念が出始めた。武装勢力が闘争理由にする「ジハード(聖戦)」思想に対決姿勢を強めるイスラム勢力も現れたほか、南部カラチでは武装勢力の大半と同じ民族のパシュトゥン人の排斥運動が深刻化し、民族対立があおられている。/政府軍筋によると、軍側に犠牲が出る地上戦を避けて空爆中心の攻撃が続いており、これが武装勢力の拡散を招いて戦域が拡大している。さらに、「政府軍が劣勢になれば、米国は政府軍支援を理由にアフガンから部隊を越境させる」との観測も政府内に流れ、戦闘強化につながっているという。〉(5月13日付『毎日新聞』)
 〈パキスタン情報機関当局者は5月16日、同国北西部にある政府直轄部族地域の北ワジリスタン地区で同日未明、複数のミサイル攻撃があり、10人が死亡したと述べた。米軍の無人武装偵察機が撃ち込んだとみられる。/同地区の村落にあるマドラサ(イスラム神学校)を直撃したという。負傷者も多数いるとみられる。死亡者の組織的背景は不明だが、部族地域にはイスラム強硬派勢力タリバーンや国際テロ組織アルカイダに同調する勢力の拠点がある。/CNNのまとめでは、部族地域やパキスタン北西辺境州での無人機によるミサイル攻撃はこれで今年16件目となった。昨年比で激増している。/米軍は部族地域などがアフガンへの越境攻撃の拠点となっていると主張している。無人機の越境ミサイル攻撃は昨年秋から加速し、ゲーツ米国防長官は先に、米軍の関与を認めていた。これまでの死亡者は数百人規模とされ、民間人の犠牲者も多く、パキスタン国民の反発も強い。同国政府は主権侵害として攻撃停止を求めているが、内密には承認しているとの情報もある。〉(5月16日付米CNN)
 〈パキスタン北西辺境州の州都ペシャワルで5月16日、路上に駐車中の車に仕掛けられた爆弾によるテロがあり、地元当局者によると、付近を通行中のスクールバスに乗っていた子どもを含む少なくとも11人が死亡、30人が負傷した。
/一方、同州スワト地区などで軍が今月上旬から展開しているイスラム武装勢力の掃討作戦で、軍は同日、47人を殺害したと発表、作戦開始からの死者数は900人を超えた。北西部の部族地域北ワジリスタン地区でも同日朝、米国の無人機による2発のミサイル爆撃があり、アラブ系2人を含む武装勢力メンバーら少なくとも22人が死亡した。/部族地域では米国が昨年夏から無人機で40回以上の爆撃を実施し、民間人を含む300人以上を殺害。パキスタン政府は離着陸に基地利用を認めるなど事実上容認しており、米側が無人機による偵察で得た部族地域のデータを提供することで合意しているという。〉(5月16日付『共同通信』)
 〈パキスタン内務省は5月17日、今月から総力を挙げている北西辺境州の国際テロ組織アルカイダやイスラム強硬派タリバーンの掃討作戦で、戦闘員1000以上が死亡したと述べた。関係者によると、現在もタリバーンの統治下にある地域は、掃討作戦の結果、同州のわずか2%に縮小した。/ただし同省の発表は確認されておらず、国連は16日、避難民が100万人以上にのぼったとの見解を示している。〉(5月17日付米CNN)
 〈パキスタン軍は5月17日、イスラム原理主義組織タリバンの拠点であるスワト渓谷のマッタとカンジュの2つの町に進攻し、激しい戦闘を行ったと発表した。同地域では、パキスタン軍によるタリバン掃討作戦が続いており、100万人以上の住民が避難している。/タリバンなどの武装勢力が首都イスラマバードの100キロ圏内に進出した後、米政府の圧力を受けたパキスタン軍は、3週間前からローアー・ディールやブネル、スワトなどへの攻撃を開始していた。〉(5月18日付仏AFP)
 〈クリントン米国務長官は5月19日、ホワイトハウスで記者会見し、イスラム武装勢力との戦闘が続くパキスタン北西辺境州スワト地区の避難民対策として、約1億ドル(約96億円)の人道支援を行うと表明した。/長官は同日、ワシントンの外国人記者センターでも記者会見し「国際社会が手を差し伸べれば、パキスタンは必ず(人道的な)難題を乗り越えられる」と支援の重要さを強調。米国が求め続けてきた掃討作戦の結果、パキスタンが不安定化することは避けたいとの考えをにじませた。/パキスタン政府は、スワト地区の武装勢力と2月に結んだ和平合意を今月7日に破棄し、アフガニスタン旧政権タリバンに近い武装勢力の掃討作戦を本格化。クリントン長官によると戦闘を逃れるため避難生活を送る住民は約200万人に上っており、避難民キャンプの収容能力が追いついていない状況が続いている。〉(5月20日付『共同通信』)

 米軍の掃討作戦が200万人(!)のパキスタン民衆を難民化した。そこであわてて「人道支援」を行なうというのだが、4月のパキスタン支援国会合(東京)で決まった支援同様、それはうまく行かないだろう。支援物資がそれを必要とする人びとに効率よく行き渡る保証がないからである。
 オバマ政権のこのマッチポンプ式対応は、息子ブッシュによるイラク攻撃を想起させる。湾岸戦争で父ブッシュはイラクを降伏させただけで、体制変革(レジム・チェンジ)は思い留まった。フセイン政権打倒はパンドラの箱を開けることであることを知っていたからである。しかし息子ブッシュはその開けてはならないパンドラの箱をあえて開けてしまい、自分がはまりこむ泥沼を自ら造り出してしまった。

 オバマも、息子ブッシュと同じことをしているのだ。クリントン国務長官は5月19日の記者会見で「過去30年間にわたる米国の対パキスタン政策が『支離滅裂』だったと指摘。夫のビル・クリントン元大統領を含め、歴代政権の政策を批判した」(5月19日、ロイター)。しかし米国の対パキスタン政策は中東・南アジアの情勢変化に応じてパキスタンを好き放題引き回すという点で一貫している。しかもクリントン長官自身、それを踏襲しているのだから、彼女の「批判」は見え透いた茶番である。
 米国政府はかつてムシャラフ前大統領を「対テロ戦争に協力しないなら、パキスタンを石器時代に戻してやる」と脅迫した。しかしザルダリ政権に変わってもパキスタン政府はなかなか思い通り動かない。あからさまな対米協力は国内で反米感情を強め、政権基盤を揺るがすからである。
 オバマ政権が恐れているのはパキスタンの核が同国で勢力を拡大しつつあるタリバーンに渡ることである。同政権はタリバーンの「育ての親」であるパキスタンの三軍統合情報部(ISI)がタリバーンへの支援を継続していると見ており(5月21日付『東京新聞』)、ザルダリ政権によるタリバーン掃討作戦も信用していない。それゆえ明白な国際法違反である越境ミサイル空爆を強化しているのだ。

 オバマ政権が登場したとき、米誌『ニューズウィ-ク』は「オバマのベトナム」
という特集を組んだ。その表現は当たっている。米国にとってはイラクのみなら
ず、アフガニスタンからも手を引くことが最も賢明な道であるにもかかわらず、オバマはアフガニスタン・パキスタン侵略戦争をあくまで強行する気だ。「オバマの戦争」は日々、拡大している。 湾岸戦争、アフガン・イラク侵略戦争に反対してきた私たちは、あらためて「オバマの戦争」に向き合わねばならない。この国の世論にはなおオバマに期待する傾向があるが、アフガニスタンでもパキスタンでも、米軍による殺戮は今なお続き、子どもたちを含む民間人が次々に犠牲になっている。パキスタンで200万人が難民化していることは、目を覆う惨状である。その現実に向き合い、反戦の活動を強化しようではないか。
   (2009年5月21日・記)
コメント (1)
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