ナンバーウェブに偏っているという意味で大変愚かな記事が載っていた。
【2013年5月5日 14:01 (Number Web)マンUの“便利屋”にはまだ早い!主役を奪われたルーニーの未来は?】
スポーツとしてのフットボールを誤解させるという意味で腹が立って仕方なかった。一種の義憤からやむにやまれずこの記事を書いている。スポーツグラフィック・ナンバーを1年ほど買うまいと決意したほどだ。いや、こんな編集部の水準では、しばらくもう買う気も起こらないだろう。
記事内容はこういうものだ。今期アーセナルから来たファンペルシーによって、マンUの「顔」・ルーニーの影が薄くされた。そこから、こんな小見出しの内容が続いていく。
『今季のルーニーを「過去最悪の出来」と評価した国内メディアも』
『「MF転向説」さえ囁かれるシーズンに』
『ファーガソン監督は既に「潮時」と判断しているのか?』
『有力選手を獲得候補としてリストアップするファーガソン』
最悪の出来も何も、今期これまでのルーニーは、アシストではファンペルシーよりも3つも多いのだし、得点でさえリーグ得点王が確実視される最前線のファンペルシーの半分も取っている。これでどうして、「悪評が流れる」??
また、最前線の選手だけでフットボールが出来るというような書き方に、強烈な違和感がわいた。現に監督ファーガソンは、ファンペルシーと並べて中盤セントラルミッドールダーのマイケル・キャリックを今季ぶっちぎり優勝最大の功労者に上げているとも聞いている。また、ファンペルシーがクリロナよりも遙かに高く評価されているように見えるが、その理由はこういうことだと思う。スピードに乗った集団で流れるように得点するチーム作り、その一員として価値もあるファンペルシーと。彼はアシストも多いのだ。ルーニーも(香川や、有望選手扱いされているクレバリーも)まさにそんな選手だと僕は見ている。これからのこのチーム、レギュラー全員がシュートもアシストも長短の繋ぎも守備も、その他何でも高速スピードに乗って出来る選手たちになるはずだ。香川がいたドルトムントをもっと高度にしたような。
FWだけを見るのは、日本フットボール記者の(多分世界で最も多い)典型的悪癖。ホームラン打者に眼が行く野球記者経験の名残でもあるのだろうかと思ってきた。それにしても酷すぎるではないか。そもそも日本のサッカーは中盤でやるサッカー。ナカタ、ナナミに藤田、小野、俊輔、小笠原に、現代表では異能・遠藤とキャプテン・長谷部。中心選手は常に中盤選手だったではないか。そんな意味でも、何か「ために書いた」ような気がする記事だ。
怒りついでの八つ当たりを、暴言との批判覚悟で、少々。オーストラリア滞在旅行でクリケット(隆盛の名残)を観た思いがした。南アとかも含めて、旧イングランド植民地にはこれと共に必ずラグビーが「残っている」はずだ。野球もアメフトも、アメリカ「植民地」の名残。やがて世界から消えていく運命だろう。アメリカの時代は旧イングランドのそれよりも遙かに短いだろうからね。栄枯盛衰! でも、フットボールは世界に最後まで残る旧スポーツのはずである。青少年よ、フットボールに転向、転向! 今、クリケットやっててもしょうがないだろ!
かくて、ルーニーが「潮時」?? ファーガソン他チーム首脳がルーニーをおろそかにするわけなど、全くないではないか。このチームは中盤の功労者をこそ最も大事にしてきた。そんなことも知らぬげに、何をほざくのか。ライアン・ギグス、ポール・スコールズは、マンUにおいては「サー」が付く人物である。FWであるクリロナやファンニステルローイを差し置いてでも、そうのはずなのだ。