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子ども甲状腺癌、楽観風評を排す  文科系

2016年03月06日 10時29分58秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 今になってもなお、原子力ムラ直接間接発と思われる標記の風評が後を絶たないようです。それどころか僕には、福島県民健康調査検討委員会と背後の政府そのものが、そういう風評を作り、ばらまいてきたと思われてなりません。だからこそ、このブログにも絶えず判で押したような「スクリーニング効果」とやらによる楽観風評コメントが来るのだろうとも観てきました。手術数の多さと、その症状内訳までが以下のように発表された現在、楽観風評は少なくとも慎まれるべきではないでしょうか。

 そもそも、「悪性甲状腺癌、あるいはその疑い」確定が、14年3月までの第一次(先行)調査で116名と発表されました。さらにこれとは別に、これに加えて、14年4月から始まった第二次(本格)調査が3分の2ほど終わった去年末の段階で、51名が新たに発表されたわけです。この数について「こんな多数の虱潰し調査はかって世界のどこにもなかったのだから、多いとも言えない」というのが「スクリーニング効果」理論の言い分でした。余分な症例まで拾い上げて発表したと語るわけですが、この大元は当然、官僚たちも含んだ原子力ムラ関連であると思われます。普通にこの数と、手術数の多さと、手術内訳発表内容などとから考えてみても、こんな批判がすぐに浮かぶのですから。

 まず、これまでのほとんどの手術を担当した福島県立医大が、甲状腺内分泌外科部長名で、2015年8月31日に、以下のような文書を発表しています。

「(15年3月31日までに県立医大で手術した)全症例96例のうち軽度甲状腺外浸潤は38例に認め、リンパ節転移は72例が陽性であった」

「小児甲状腺がんの症例数は少なく、厳密な比較はまだできないが、一般的に若年層の甲状腺がんほど、リンパ節転移が多いが適切な治療が施されれば予後が良いという特徴がある」

 それほど手術症例が少ないけれど、必要な小児癌手術が、今回はどうしてこんなに多くなされねばならなかったのか。この説明を全くしないでおいて、「福島の子ども甲状腺癌は多くはない」と語る「スクリーニング効果」による反論など、既に何の説得力も持たなくなっているはずです。ちなみに、県立医大の上記文章自身が手術の動機にも関わって、こんな言及までしています。
「(リンパ節転移とか軽度甲状腺外浸潤とかが術後病理診断で認められた場合に)切除しなかった場合でも予後が良いかは不明であり、切除しなくてもよいという根拠にはならない」

 さて、調査検討委員会の担当医療機関によるこういう文書内容を受ければ、今の段階で改めてこんなことが問えるはずです。
「福島の子ども甲状腺癌が多いとは言えないと、何故言えるのか」
「多いと認めれば福島事故原因説がたちまち浮上してくるから、それを避けているのではないか」

こういった危惧こそ、過去に政府絡みで起こった数々の同類事件で既視感があります。イタイイタイ病、水俣病、薬害エイズ、四日市公害などのことです。これらの事件で国が残したものは、解決を遅らせ、被害者を長く苦しめただけと、そんな既視感ではなかったでしょうか。官僚が彼らの政策によって苦しめられた民衆の敵だとさえ言える既視感ではなかったでしょうか。
コメント (17)
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