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日本国の象徴という意味    文科系

2016年08月07日 18時31分25秒 | 国内政治・経済・社会問題

 これは、昨日のエントリーへのコメント討論に関わるもの。コメントの一部への批判です。実に粗雑な読み方をするものだと感じました。誠実に付き合うのが、アホらしいほどに。

 このエントリー文章からこういうことを語るのは、文章解釈だけで既に誤読、ダメです。
『皇室を自由や民主主義や平和の砦とするのは誤りです』(只今3世さん)
『寄りにもよって、天皇を政治利用しようとか、それこそ戦前に逆戻りだろうに。日本の護憲・左翼勢力もここまで堕ちたということでしょうかね』(sicaさん)

 これらの批判者が批判する該当文章を厳密に規定すれば、これだけのはず。
『 少なくとも今のところ思いがけない人物が抵抗勢力になり得る。81歳の天皇、明仁だ。日本会議が政治問題に戻るのを待っている、その人である。
さる1月、新年の祝辞に際して、天皇は行間で、歴史の反動的な解釈に反対であることを示した。2月、長男である皇太子、55歳の徳仁殿下はさらに雄弁だった。極めて稀な記者会見の席で、皇太子殿下は、』

 こういうエントリー文章へのこういう感覚的かつ粗雑なコメント諸氏の読み方に対して、らくせきさんは何も応えていませんが、僕が代わって文章を読んでみましょう。
 エントリーへの反論者が問題としうる箇所はまずここでしょう。
『抵抗勢力になり得る』
そして、『(皇太子が)さらに雄弁だった』と紹介した箇所でさえ、こんな表現です。
『戦争の歴史が「正しく伝えられる」ことを望んだ。逆説的に、皇室は今や、日本の自由民主主義の最も優れた盾となっている』

 「なり得る」という言葉は、そう振る舞うべしと述べたことではまったくありません。単にそういう事実を伝えただけの一種の観測表現です。天皇に事実としてそういう発言を要求するという文章があったら象徴を踏み外す事を求めたことになりますが、フランスのこの論者はそう振る舞えと語ったわけではありません。まして、らくせきさんがそう語ったというのは言い掛かりも良い所です。

 「皇室は今や、日本の自由民主主義の最も優れた盾となっている」というのも同じ事。歴代内閣と、敢えて言えば「憲法理念の歴代内閣歴史解釈の範囲で」象徴として「儀礼的言動」をなしたという事実を伝えているだけです。

 というように、フランス誌がある事実報道をしたことをさして、及びこの報道をらくせきさんが伝えたことをさして、天皇はこう振る舞えと述べたということにはまったくなりません。そんな文章が一言でもあれば、それを指摘するべきでしょうが、そんな指摘もありません。それもしないでこんな批判をするのでは、お二人の批判が実に粗雑で感覚的な文章の読み方をしていると申し上げるほかありません。

 こんな下らない言い掛かり内容よりもむしろ、フランス誌の記事内容やらくせきさんの紹介は、こんな事を警告しているはずだと言いたい。これからアベが、従来内閣に指示された儀礼的な天皇発言内容を換えていくのではないか、と。その怖れの方が大きいからこそこういう記事ができたと、それこそが世界史視点から見た今の日本史の流れというべきではないでしょうか。

 ただし、こういう粗雑な読み方、反応に対しては、以下の一言を書いておくことこそ大いに意味のあること。そう考えた結びを、一つ。
 アベが自分の思っているように憲法や国家体制を換えても天皇が今の象徴という地位にとどまるという一点を換えないのであれば、天皇は新たなアベ政権の見解を儀礼的に語るべき立場なのでしょう。その時にもし誰かが、「アベ以前のように語れ」と述べたとしたら、それは天皇の政治利用になることでしょう。

 僕の言いたいことの主旨をもう一度まとめます。①政治儀式に象徴としてどこかに出る限り、政治発言はある。それを全く否定するならば、象徴という地位など作らぬ事だ。②その政治儀式発言は、時の憲法、その解釈方針の範囲内であるべきだ。そして最後にこれに付け加えて今日ここで述べたこととして、③(天皇に関わって)現在ある姿をそのまま述べた客観描写と、なんらか政治的な要望とは厳密に区別すべきである。そうでないと、いつも「政治的要望をして、象徴を踏み外せと述べたこと」になってしまう

 

コメント (16)
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