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随筆  日本人男女、文化度の差    文科系

2016年08月02日 14時42分24秒 | 文芸作品

 同人誌仲間のHさんがある日僕に言う。「脚が軽くなったなと、夫に驚かれたよ!」。そう言えば、傍らを歩いている八〇近いこの女性、歩き方がこれまでとはだいぶ違うと、既に僕の目が感じ取っていた。ベターッとした歩き方が消えて、どういうか、腿が上がって足が利き、そもそも歩幅が大きくなっている。「片足つま先立ち・脚裏ストレッチなんかもやってきたんだよね!」、目を輝かせて続ける。二か月前の月例会後だったかに皆でいろいろ話し合っていた下半身強化法を早速実践してみた成果というわけだ。昔痛めた腰のせいでくの字型を右に倒したような彼女には特にこれが不可欠だろうとは、そこで皆が述べたこと。ちなみに、「腰の怪我・前曲がり」は僕の母のトレードマーク。明治生まれで二一世紀に入って亡くなった彼女は、脳内出血で倒れるまで下半身強化には励んでいた。

 ここ一〇~二〇年ほど、僕は三つの人間集団に濃く関わってきた。そこでつくづく感じたことなのだが、日本人高齢男女の生活差違はことのほか大きい。このことで最初に目を見張ったのは、僕の壮年期に父母と同居して観察できたこと。二人とも完全共働きというこの年代では珍しいカップルだっただけに、感得できたことのようだ。
  僕の父は、老後が即余生だった。一言で言えば、一人で居るときに熱中できるものがなく、こういう人は早く老いて早く死ぬ。そんな徴表の一つなのだが、好きなテレビ番組を観ていてもドラマの途中で眠っているというように早くからなっていた。他方母の方は、同じ職業人を通しながら、退職後に一言で言えば文化的生活を送った。その内容は、身体のケアと、三味線、俳句である。身体のケアは体操グループを作り、日常では一日八〇〇〇歩が目標。三味線は師匠について八〇歳直前まで発表会に出ていたし、俳句はよくNHKで入選した。

 さて、この父母を基準として三グループの人々を区分けしてみると、同じことに気付く。同人誌は僕以外は女性グループだし、高校同級生飲み会は逆に一人を除いては七人の男グループだった。そして、ギターのグループは男女ほぼ半々である。そこで観た男の文化度を中心に、ちょっと箇条書きしてみよう。
一、飲み会の男たちは一般に父に似ているが、父よりもほんのちょっと文化度が高い。その内容は身体のケア志向が第一で、芸術も含めたいわゆる文化系は弱い。
二、ギターグループの男たちは、ほぼすべて文武両道である。今の日本ではかなり珍しい男性が集まっているグループと思うが、ギターという文化系の男が身体ケアにも熱心なことが興味深いのである。

 三、さて、同人誌の女性たちだが、これも見事にバランスが取れていて、面白いのである。
 六五前後から八〇歳までの同人誌女性のほとんどがこの三年ほどで順にパソコンを覚えた。文字入力だけの方もいらっしゃるがとにかく、一人を除いて全員である。八十に近いある女性がパソコンを買い込んで先陣を切ったのを機に、吾も吾もとばかりのことだった。そして、この先端女性こそ、作品冒頭のお方なのだ。こういう女性群に較べると、高齢男性には「一念発起」ということが圧倒的に少ない。なぜなんだろうかと訝っていたら、二つの事に思い至った。難しい言い方になって恐縮だが、こうだ。

 一つは、文化系でしか扱えないものに対する感性の不足。今一つは、これの裏面として、目に見え手で触れるような物事にしか興味を持てないこと。一例を挙げれば、同じ文章系でも男は歴史、文学は女というような。お喋りの話題が少なく、友達も少ないようだ。要するに今後はオタクも増えるだろうなと予想されるような、ちょっと歪んだリアリズム。そんなふうに、僕は理解してきたが・・・・はて?

コメント (5)
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