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福島子ども癌調査結果論に新説  文科系

2016年08月16日 01時48分51秒 | Weblog

 この問題をここでずっと追ってきた僕として見逃せない記事が阿修羅掲示板にあった。最近出たある本の紹介なのである。宗川吉汪・大倉弘之『福島原発事故と小児甲状腺がん』(本の泉社)。宗川氏は京都工業繊維大学教授で生命科学の専門家、大倉氏は数学(確率論)を専門とするとあった。結論紹介部分を転載してみる。

『「先行検査(事故後3年の1巡目調査のこと。チェルノブイリの経過から原発の影響はないものとされている数字ー文科系注)と本格検査(第2巡目調査のことー同上)で甲状腺がんの発生率を比べて、両者が等しければ原発事故の影響はなかったことになります。しかしもし、本格検査の方が先行検査より発生率が高くなれば、がんの発生に原発事故が影響したことになります」
 その方法は、まず先行検査から陽性者の比率を計算し、それを本格検査と比較するものだ。その結果は10万人あたりの発生率が先行検査で90.2人、そして本格検査では162.6人と実に1.8倍の結果が出ている。
 これに加え、がん発症の頻度や陽性者全員が二次検査を受けていないなどの誤差を統計学的に計算した結果、その比率は11.7対35.4、つまり3.03倍になり、子どもたちの甲状腺がんの67%以上は原発事故によるものと推定されるのだ。
 そのため113人の患者が発見された15年6月の段階で、それを大きく上回る326〜464人の患者が推定される。』

『それだけでない。本書ではさらに興味深い調査結果も示される。それが、がん発生の男女比だ。
「甲状腺がんはもともと女性に多い病気です。国立がん研究センターの2010年のデータによると、全国罹患率推計値(人口10万対)は、15歳から19歳で男子0.4:女子1.9(1:4.75)、40歳〜44歳で男性4.9:17.9(1:3.65)、60歳〜64歳で男性12.4:女性26.3(1:2.12)でした。このように自然発生の甲状腺がんは、年齢とともに男女比が変化しますが、特に若年では女子に大変多い病気です」
 ところが、福島での男女比は先行検査で男子26:女子45(1:1.73)であり、さらに本格検査では男子11:女子14(1:27)と、男子の比率が上がっているのだ。』

 なお、この問題をここでずっと追ってきた足跡拙稿もご覧願えれば嬉しいです。以下に、この問題を扱った拙稿の半分ほどの題名・年月日をご紹介します。これらの簡単な出し方は「年月日」から入ること。右欄外今月のカレンダー下「バックナンバー」で当該年月をクリックするとすぐ上の今月のカレンダーがその月に替わりますから、今度は求める原稿の日をクリックして下さい。すると、エントリー本欄がその日のエントリーだけに替わりますので、お求めの物をお読み願えます。

・保安院の大罪(67)「被害後遺症の誤魔化し開始か!」2012年05月18日
・保安院の大罪(87)尿検査ナシの怪 2012年10月27日
・保安院の大罪(93)福島県健康調査座長の不思議な謝罪 2012年11月20日
・規制の虜復活(15)書評「福島原発事故 県民健康管理調査の闇」 2013年11月16日
・規制の虜の復活(18)悲しい小児癌の広がり 2014年02月08日
・「福島県民健康調査の闇」(13年11月16日エントリー)、その後  2014年05月19日
・甲状腺癌は「風評被害」に非ず 2016年01月28日
・子ども甲状腺癌、新調査結果数発表2016年06月11日

コメント (4)
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