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書評「増補 南京事件論争史」  文科系

2020年08月14日 21時01分51秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 南京虐殺否定派、三つの大敗北

 今読んでいる「増補 南京事件論争史」(笠原十九司著、平凡社19年3月初版第三冊)から、標記の出来事三つを紹介してみたい。一つは、日中両政府が企画推進した日中歴史共同研究によって出された学問的結論を日本政府が認めずに、逃げ回っていること。二つ目は、この共同研究の結論を掲載している外務省ホームページから南京事件を消せと叫び続けてきたこと。今一つが、この問題の自民党国会議員「専門家」である稲田朋美が、南京事件関連のある訴訟を起こして完敗していること、この三つである。

 

「日中歴史共同研究」は、2006年10月に安倍晋三首相・胡錦濤国家主席の会談・合意によって起こされたもの。同年12月に両国各10名の委員が北京で初会合、以降年2回の会合で報告・討論を行って、10年1月に戦後史の部分を除いた「第一期報告書」が発表されたものだ。日本側報告書の中の南京虐殺部分を、著者はこのように要約している。なお、中国側の死者結論は、こういうものだ。「集団で殺害された人数は19万人、個別で殺害されたのは15万人余り、被害者総数は30万人以上、と認定した」

『20万人を上限として、4万人、2万人などさまざまな推計がなされている。このような犠牲者数に諸説がある背景には「虐殺」(不法殺害)の定義、対象とする地域・期間、埋葬記録、人口統計など資料に対する検証の相違が存在している』
 なお、南京虐殺を巡るいわゆる日中戦争の性格について、日本側委員の座長であった北岡伸一・東京大学大学院法学政治学研究科法学部教授は、侵略戦争であったと断定している。しかしながら、安倍首相は未だにこれを認めようとしない発言を国会討論などで連発しているのである。首相として自分が言い出した共同研究の成果を認めないというこんな態度が、日本をどれだけ不義の国にしていることか。その次第は、いかのように。

 二つ目の外務省ホームページ問題とは、こういうものだ。上に紹介したこの日中共同研究結果を掲載している外務省ホームページから、この掲載を削除せよという「運動」がその後も続いているのである。「外務省目覚めよ! 南京事件はなかった」等というスローガンを掲げ続けることによって。

 三番目の、弁護士としての稲田朋美らが原告になって2003年4月に起こした訴訟で敗れた事件は『(南京虐殺における)「百人斬り」名誉毀損裁判』と呼ばれるこういうものだ。
『本多勝一「中国の旅」の「百人斬り競争」のため、二人の将校の遺族が名誉を毀損され、精神的苦痛を強いられたとして・・・・提訴した』
 この訴訟事件に関わる虚実議論は、1970年代から続き「もう一つの南京事件」とも呼ばれて世に物議を醸し出してきたものだが、2006年12月の最高裁判決において原告側敗訴が確定している。にもかかわらず、「この判決は不当だ!」との演説が今でも公の場に時として出てくるのだが、これも今流の右の方々がよくやる手口ということになる。

 自分らが起こした研究や裁判の結果を、公の場所において堂々と否定してみせる。これはまさに「嘘も百回言えば真実に換わる」という政治手法ではないか。つまり、今はもうよく語られるように、「嘘で固めた安倍政権」がこんなところにもずっと顕れてきたということだろう。官僚による政権忖度や、国家統計の改ざんなどにも、必ず嘘はついて回るものである。

 

 なお、著者の笠原十九司は、都留文科大学名誉教授で、中国と東アジアとの近現代史専門家である。

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酷過ぎる文章! アメリカ世界戦略の一翼?   文科系

2020年08月14日 00時41分40秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 以下は夕刊フジのネット記事で、加瀬英明という政治評論家が書いたもの。まさに今時こんなものを書くって、僕にはCIAエージェントとしか思えないのだが、これが有名な外務省官僚・加瀬俊一の息子らしいから驚く。この英明氏はまた、「新しい歴史教科書をつくる会」の幹部らしいと知ってからは、なるほどと頷くばかりだった。よほどねじ曲がった人生を送ってきた方なのかとも推察した。
 まー読んでみて下さい。


 【 アメリカVS中国、最終ラウンド! 習氏、国内支持獲得へ尖閣諸島攻撃も…共産中国で“もっとも愚かな”指導者 8/13(木) 16:56配信

夕刊フジ
 【日本を守る】

 11月3日の大統領選まで、あと2カ月あまりのドナルド・トランプ米政権が、中国共産政権の打倒へ向けて、アクセルをいっぱいに踏み込んでいる。

 トランプ政権が7月、テキサス州ヒューストンの中国総領事館の閉鎖を命じた翌23日、マイク・ポンペオ国務長官はカリフォルニア州のリチャード・ニクソン大統領記念館を訪れて、「このまま中国を放置しておけば、自由世界が滅びる。世界はどちらかを選ばねばならない」という意味の衝撃的な演説を行った。

 といって驚くことはない。トランプ政権は昨年、マイク・ペンス副大統領が中国の覇権主義を、歯に衣(ころも)を着せずに糾弾したのをはじめ、容赦せずに中国を追い詰めてきた。中国めがけて、5ノ矢、6ノ矢と、次々と矢を放ってきた。

 これは、中国の習近平国家主席が招いたことだ。習氏は「米国が力を弱めている」と誤算して、舞い上がって、南シナ海の内海化を進め、周辺諸国を脅かすかたわら、ヨーロッパまで勢力圏に組み入れる、中国製シルクロードである「一帯一路」戦略を強行してきた。

 習氏はことあるごとに、自信満々と「中国共産党は中華民族の偉大な復興を成し遂げた」と演説し、「軍事闘争の準備を最重要視する方針を堅持する」と訴えてきた。

 私は2年前の12月、夕刊フジの連載の中で、「トランプ政権の真意は、中国共産党体制を打倒することだ」と書いた。かつてロナルド・レーガン政権が、ソ連を1991年に崩壊させたように、共産中国を倒すことをもくろんでいる。

 そして、私はさらに「米中対決の主役は、中国にハイテクノロジー(先端技術)が流出するのを断ち切ることだ」と書いた。

 私の予想通りに、米国“白頭鷲”と、中国“暴れ龍”の決闘が最終ラウンドを迎えた。

 習氏は共産中国の歴代の指導者のなかで、もっとも愚かな最高権力者だ。中国に米国と渡りあう力がない。絶望的だ。

 中国はハイテクの背骨である、半導体製造装置を国外に頼っている。米国、日本が80%以上を占め、オランダなどが続いている。中国には5G(第5世代移動通信システム)の半導体を設計する、能力もない。

 中国古代の漢籍に「虎ノ背ヲ駆ル者ハ、降リルコトガデキナイ」という戒めがある。虎の背から振り落とされてしまったら、喰い殺される。そこで国内の支持を取り付けるために、台湾か、沖縄県・尖閣諸島を攻撃するといわれている。】

 

 この文章は、何よりもこう叫んでいる。「アメリカが中国を近く倒すと決意したのだ」と日本人相手に吹き回っているのである。「過去に事実としてソ連を倒したように」という「迫真の」形容詞までを付しつつ。なお、このテーマ、主張内容がまた、最近の夕刊フジの連続している出し物になっている、その一環だということも付け加えておきたい。これはあたかも、今にも核ミサイルが飛び交うぞと直近の明日を断言して見せているも同じなのだ。この彼に果たして、地球が滅びるかも知れぬというそんな緊張感があるのだろうか。ということさえもおそらく、どこかの何者かに向けての脅迫の積もりなのだろう。もっともこの人物、一応の歴史家が皆抜けていく「つくる会」の会員だそうだから、学識らしきものも皆無の有象無象には違いないのだが、こんな百鬼夜行の世は、一体誰が作っているのだ!

 

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