Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

谷瀬の吊り橋

2005-06-20 21:15:30 | 新音律
研究室の旅行で奈良へ.奈良というと公園で鹿が遊んでいるイメージしかなかったが,世界遺産になった吉野大峰周辺は,高山ではないが深山だ.写真は谷瀬のつり橋.昭和29年に住民が1戸あたり20万円の負担でかけたとのこと.ぼくは昭和40年大学卒だが,当時の初任給は2万円台だったと思う.各戸の負担は年収以上?! まさか工事に当たって談合はなかっただろうな.この橋はいまでも生活橋で,地元の方は自転車やバイクでわたることもあるとか.

寺田寅彦の文章に「災難雑考」というのがある.大垣の女学校の生徒が修学旅行で箱根へ来て一泊した翌朝,出発の間ぎわに監督の先生が記念の写真をとるというので,おおぜいの生徒が渓流に架したつり橋の上に並んだ.すると,つり橋がぐらぐら揺れだしたのに驚いて生徒が騒ぎ立てたので,振動がますますはげしくなり,そのためにつり橋の鋼索が断たれて,橋は生徒を載せたまま渓流に墜落し,無残にもおおぜいの死傷者を出したという新聞記事から,寺田先生の雑考が展開する.

ぼくも新音律に関連させて,弦楽器の弦の振動と吊り橋の振動についてこの場で一席と思った.この箱根つり橋の場合は生徒がリズムにのって騒いだのが,たまたま橋の固有振動数(あるいはその整数倍)に合致したため,正帰還がかかって,振動が増大したのであろう.しかしこれについて寺田先生は触れていない.

もっともこの文章では「大垣の女学校の生徒」というのが気になった.うちのJ子も,もと大垣の女学校の生徒であったが,昨日この谷瀬のつり橋の上で橋が揺れるといって騒ぎ立てた.大垣の人はつり橋で騒ぐのだろうか.谷瀬のつり橋が落ちなくて幸いであった(このくらい大きなつり橋だと騒いでも局所的に揺れるだけのようである).
コメント (3)
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