Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

死んでいない者

2016-02-23 10:54:54 | 読書
第154回芥川賞受賞作.
この,猪熊弦一郎をカバーにした単行本ではなく,文藝春秋3月号で読んだ.

Amazonにある単行本の内容紹介*****
秋のある日、大往生を遂げた男の通夜に親類たちが集った。
子ども、孫、ひ孫たち30人あまり。
一人ひとりが死に思いをめぐらせ、互いを思い、家族の記憶が広がってゆく。
生の断片が重なり合って永遠の時間がたちがある奇跡の一夜。*****

最後の一行は誇大広告.
登場人物が多すぎて混乱する.ミステリーなら彼らの関係を示す系図がつくところだが,そういうサービスをしない,あるいは勝手に混乱しろと言うところが芥川賞に値するのだろう.
結局記憶に残るのは,最後に近く水の中に寝そべる知花ちゃんとか,数人で温泉に入る場面とか,要するに「小説的」な場面である.
「死んでいない者」ってどういう意味だろうか.死んでこの世にいない者? まだ死んでいなくい (これから死ぬ) 者?

月刊誌では芥川賞の選評が読める.島田雅彦の「自分の葬式の一部始終を観察できる人は現実にはいないはずだが,それを小説で試みたら,このようになると思う」と,山田詠美「それにしても未成年がこんなに酒飲んで良いの? 私に言われたかないだろうけど」に共感した.ちなみに島田の文章のタイトルは「悪政下の文学」である.

16トンも子供の頃はこうした大家族の一員だったのだが,そこからスピンアウトしてしまった.
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