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Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

絶対音感神話: 科学で解き明かすほんとうの姿

2016-02-20 09:59:08 | 新音律
宮崎 謙一,化学同人 (2014/7).

著者は新潟大学人文学部教授.専門は認知心理学と聴覚心理学.

Wikipedia によれば,「絶対音感(perfect pitch)とは、ある音(純音および楽音)を単独に聞いたときに,その音の高さ(音高)を記憶に基づいて絶対的に認識する能力である.狭義には,音高感と音名との対応付けが強く,ある楽音を聞いたときに即座に音名・階名表記で表現できる能力である」.
この本の対象は狭義の絶対音感である.音楽を学習する以前の乳幼児,あるいは民族音楽主流の地域の人々など,オクターブを12分割する西洋音楽以外の環境は蚊帳の外なのが残念.
著者は絶対音感は音楽とは無関係とする立場.音当て名人が優位に立てるのは音大入試の調音テストどまりだという.さらに読み進むうちに「絶対音感はある種の文明病」という気分にさえさせられる.

とても興味深いデータが満載.

仮性絶対音感というものがあって,これの持ち主は C とか A とか,特定の音高を記憶している.カラオケ愛好者は好きな歌ならいつも決まったピッチで歌えるというのを思い出す.何か音を与えられてドレミ...のどれかと聞かれると,覚えている音からたどって答えることができる.しかし時間がかかる.これに対して真性絶対音感の持ち主は瞬時に鸚鵡返しに回答するのだそうだ.

絶対音感の持ち主の相対音感が執拗に調べられている.例えば2つの音の音程を聞くとき,第1音を C としたときと比べ,第1音を F# のような変な音にすると,絶対音感者の正答率は極端に悪くなる.これらが示すのは,絶対音感を持たない人より相対音感は悪いという結果である.これを聞くと,絶対音感があるとジャズなどできないということになってしまう.

これは「固定ド」教育の弊害ということもできそうだ.
この本によれば絶対音感を持つ日本人は,絶対音感を持つ欧米人に比べると相対音感が悪いらしい.

以下は 16 トンの妄想.
固定ドすなわち固定階名ではなく,固定 C すなわち固定音名ならいいのでは,これが固定 C なら,Am と Cm, Dm, Em は同じ構造ということが理解しやすい.絶対音感をうまく使いこなせれば,ジャズにも役立つはず.
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