Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

異類婚姻譚

2016-02-26 09:03:42 | 読書
本谷 有希子の芥川賞受賞作.図の単行本には3作が収録されているそうだが,実は文藝春秋上で表題の受賞作を読んだだけ.

Amazon 内容(「BOOK」データベースより)から,表題作に関連する部分だけを抜き出すと*****
子供もなく職にも就かず、安楽な結婚生活を送る専業主婦の私は、ある日、自分の顔が夫の顔とそっくりになっていることに気付く。「俺は家では何も考えたくない男だ。」と宣言する夫は大量の揚げものづくりに熱中し、いつの間にか夫婦の輪郭が混じりあって…。「夫婦」という形式への違和を軽妙洒脱に描いた... *****

「異類婚姻譚」は,鶴の恩返しみたいに,ヒトがヒト以外の生物と結婚生活をおくる話と理解しているが,最後の 1.5 ページまでそういう気配はない.
そこに至る以前に「私」の顔が「旦那」と似てくるのは,異類婚姻譚とは違うような気もするし,反面 異類婚姻譚であるための布石のようにも思える.この小説とは関係ないが,十年二十年と同じものを食べていれば,身体の化学的組成はほとんど同じになるはずだから,外見はさておき中身は似るだろう.
「旦那」という (代) 名詞 ? は,若い女性には違和感がないらしい.この旦那はかなり気色悪いが.「私」はさしてそれを気にしない.配偶者のすることなど,多寡が知れていると見くびる感じ方は,よくわかる.

というわけで,「譚」的ラストはかなり唐突.そこまでの展開がかなりリアルなので,「旦那」不在後,警察に届けなくていいんだろうか,とか,「私」の生活費はどうなるんだろう,とか,つまらぬことが気になってしまう.

もうひとつの受賞作「死んでいない者」に比べ話題性はある.
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