Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「ピアノトリオ」岩波新書

2024-04-05 11:16:53 | 読書
マイク・モラスキー「ピアノトリオ - モダンジャズへの入り口」岩波書店 (岩波新書 2024/3).

イワナミの本なので買った.学生時代に刷り込まれ,イワナミには弱いのだ.
著者が同じ岩波から「ジャズピアノ - その歴史から聴き方まで」なる 上下2巻を出したことも認識していたが,そちらは高いのでスルーした.

目次 (の抜粋)*****
第 1 章 ピアノトリオの聴き方
第 2 章 初期のピアノトリオ
 モダンピアノトリオ前史 / ナット・キング・コール / バド・パウエル
第 3 章 名盤を聴きなおす(1)
 グルーヴィー / ブルージー / 渋い
第 4 章 名盤を聴きなおす(2)
 スイング感 / ドライヴ感 / スピード感 / 創造性 / フォービートからの脱却 / 切れ味 / 破格/ 自由自在
第 5 章 1970 年代以降のピアノトリオ
 70 年代・フュージョン全盛期 / 80 年代・アコースティックジャズの復活 / 90 年代・新型ピアノトリオ / 2000 年代・多様化の時代 / 近年の「ジャズ神童」エルダー・ジャンギロフとジョーイ・アレキサンダー*****

ジャズを聴くための本.Youtube  で該当する演奏を再生することが前提.何分何秒から何分何秒まで,と注目すべき箇所が指定される.でもその箇所の前後の「流れ」も含め,繰り返し聴くことになるから,言われる通りにすると すごく時間がかかる.結局 大半は電車の中と医院病院の待合室で読んでしまった.

「何分何秒」では,テーマ・ソロの起承転結? 的な曲の流れがわかりにくい.むしろ電子媒体にして,p,b,ds それぞれの時間展開をダイアグラム化し,必要に応じて楽譜・ピアノ鍵盤を動画化するとか したら...と思った.それはジャズを「聴くため」ではなく「演るため」には一部で行われていることである.
しかし電子化すると,本を読んでいる人たちは手を出さない,か !

ピアノトリオ演奏に限定されているので,セロニアス・モンクやハービー・ハンコックの出番がないのは残念.でも 1940 年代のナット・キング・コールと 1970 年代のメアリー・ルー・ウィリアムスは大きく取り上げられている.

第 3-4 章のサブタイトルと取り上げたピアニストがおもしろい :  例えば「渋い」はハンク・ジョーンズ,トミー・フラナガン,レイ・ブライアント.ふたりに比べレイ・ブライアンとは ?? と思ったら ゆきとどいた説明があったり.
「フォービートからの脱却」= ビル・エヴァンス・トリオは分かるが,その後には「切れ味 」= 初期のマッコイ・タイナー,「破格」= フリーとポール・ブレイ,「自由自在」= チック・コリアが続く.
唯一の日本人リーダー・トリオの登場は「1990 年代・新型ピアノトリオの出現」の項の菊池雅章,ゲイリー・ピーコック,冨樫雅彦のグレイト3.

LP の時代はよく聴いた,と言うより,ぼくがジャズを聴いた時代は LP とともに終わった,実感として残った.エルダー・ジャンギロフもジョーイ・アレキサンダーも,初耳だった.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg