Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

うなり beat

2021-07-08 09:53:56 | 新音律
大学で学生さん相手に久しぶりに話をした.タネ本は拙著「音律と音階の科学」である.

このなかで「うなり」について,かってこのブログに書いたことを一席,周波数 f1, f2 (~f1 ) の二つの純音を聞くとする.加法定理によれば


であって,第2因子は f1,f2 の平均周波数であって,高さは2音の平均だということ.第1因子が変調周波数を表すが,式では (f1-f2)/2 である.ところがうなりの周波数は f1-f2 である.受験勉強でもそう記憶する.なぜか? という問題.

帰宅後 Wikipedia にも拙ブログと同じ説明を発見した.トップ画像も Wiki から拝借した.それはそれでいいのだが,
喋りながら,うなり音をスペアナでみたら,f1,f2 のふたつしか表示されないのだろうな...と変な気分になった.最近のスペアナは FFT 方式と思うが,昔のアナログ式だったら,もしかしたら...

講義では,用意したパワポの 1/4 くらいを時間切れで積み残した.歳をとって喋るのが遅くなったのだろうか.
マスクで喋るのは嫌だから,どこかでもらった鼻から下だけのフェイスガードを着用した.防ウィルスに役立ったとは思わないが,ワクチンしたからいいことにしてもらう.


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3 コメント

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HAさま (16とん)
2021-07-11 11:26:23
ご丁寧なコメント・訂正をありがとうございました.
2純音の場合の差周波数依存性については,かって 多少くわしく計算したことがありますので,探し出してブログにアップしたいと思います.

高調波同士のうなり,missing fundamental などに関するご卓見はもっとオープンな場で発表されてはいかがでしょうか.例えば数学物理通信
http://www.phys.cs.is.nagoya-u.ac.jp/~tanimura/math-phys/
などは気軽に投稿できます...ただし読者は限られますが...
返信する
訂正 (HA)
2021-07-11 10:27:39
コメントの3段落目の冒頭文が間違っていました。訂正します:
(誤)2音の周波数差が平均周波数に比べて小さくない時は
(正)2音の周波数差が平均周波数に比べてあまり小さくない( << ではない )時は
返信する
Unknown (HA)
2021-07-10 20:31:42
数年前に「音律と音階の科学」を購入して読ませていただき、その面白さの虜になりました。ちょうどボケ防止対策に何か楽器をと考えておりました折、音律関連の体験が色々楽しめそうな violin を始めるきっかけとなりました。

合成波の「うなりの周波数」ですが、「波の束の個数を感知しているので、それは|f1-f2|」という解釈で問題ないとは思うのですが、この周波数は合成波の「厳密な周波数」fに一致する場合とそうではない場合があるのかな... と思いました(細か過ぎる話ですみません)。実際、fはf1とf2の最大公約数となりますが、fがうなりの周波数|f1-f2|に一致しない(小さい)場合は、個々の波束は微妙に波形が異なり、|f1-f2|/f 個の波束おきに周期性が現れます。例えば、100Hzと102Hzの合成波では f=|f1-f2|=2Hz と一致しており個々の波束は全て同じ波形ですが、100Hzと103Hzの合成波では f=1Hz、|f1-f2|=3Hzであり、連続する3個の波束が微妙に波形を変えながらの「うなり」となります。通常この波束の波形の差異は小さいので、聴覚にはfではなくて波束の個数|f1-f2|の方が認識されるということだと思います。

また、2音の周波数差が平均周波数に比べて小さくない時は少し注意が必要かとも思いました。加法定理の式は「envelope としての|f1-f2|個の波束の中に、平均周波数の搬送波みたいな波が含まれている」と解釈できるかと思います。式自体は厳密な式ですが、この解釈が有効になる(|f1-f2|個の波束の存在を認識できる)のは、個々の波束 envelope の中に十分な周期分の搬送波が存在している場合に限られると思います。ところが、f1とf2の相対差が大きくなると |f1-f2|<<(f1+f2)/2ではなくなります。その結果、うなりの波束は認識しずらくなってしまい、むしろ波全体の周波数fの方を感知しやすくなるのでは、と考えています。その場合のfは、小方先生が「音律と音階の科学」で分かりやすく説明されておられます missing fundamental になるのかなと思います。例えば、f1=30Hz、f2=50Hzですと、|f1-f2|=20Hzの各々の波束は2周期分程度の少数の搬送波を含んでいるような波形に見えますが、隣接する2個の波束中の搬送波の位相は反転していて別物と感知され、むしろf=10Hzの方が聴こえやすくなる、のように考えています。

スペクトルの言葉を使うと次のような感じかと。
(1) 2音があるスペクトルの「隣合う番号(次数)」の高調波である場合、|f1-f2|は fundamental 周波数fに一致する。次数が高い時はうなりと感知され、次数が小さくなれば missing fundamental と感知されやすくなる。
(2) それ以外の場合は |f1-f2|≠f となるが、2音が共に高くて互いに近い次数の時は周波数|f1-f2|の方(うなり)が聴こえ、低い次数の時は周波数fの方(missing fundamental)が聴こえやすくなる。

violin のような純正律音が出せる楽器で重音を奏でると missing fundamental がよく聴こえるためか、この話題には violinist による解説(動画)も多いですが、当然数学的な説明ではなく分かりにくいです。「combination tone」(合成音、結合音?)の和訳に「差音」を充てている場合が多い影響か、周波数f のmissing fundamental とするべき音程を|f1-f2|の差音として説明している解説も少なくないです。
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