講談社文芸文庫 (2024/5)
この 288ページの文庫本の定価が 2,200円 !! 学術書程度の売れ行き ?
ぼくは図書館で借りたけど...
出版社による紹介*****
家業の理髪店で理髪師として出発し、石田波郷門下で句作の道へ。その後、横光利一に師事して小説を書き始め、55年に本書が直木賞候補作となる。選考会では小島政二郎から「ホンモノのリズムが打っている」と絶賛されるが、他の選考委員から「エッセイではないか」「自然すぎる」と批判され、落選。しかしその文章が放つ独特なユーモアと哀感が多くの読者を魅了しつづけ、「名文家」として根強いファンを持つ。「氏の筆の巧妙な幻術に引っかかって(中略)一々事実であると鵜呑みにしないよう」(山本健吉「跋」)ご用心のうえ、この「不世出の作家」が編み出す小説の醍醐味をご堪能あれ。*****
講談社文芸文庫にたくさんの,浅学のぼくは聞いたことがない作家のひとり.全 18 編の短編集.私小説と言っていいと思うが,「私の俳句」というタイトルもあり,他にも まず俳句,次に文章という構成が多い.
最初の「...温泉」以下,「妻」がしょっちゅう登場する.愛妻家というより,妻と仲が良いという感じ...オワカリイタダケルカナ?
あまり寒く笑へば妻も笑ふなり
子どもが活躍する「年玉稼ぎ」もおもしろく,「氏の筆の巧妙な幻術に引っかかって」気がついたら事実であると鵜呑みにしていた.
戦中戦後のモノのない時代に収入がない貧乏自慢的テーマが多い.
異色は「二重橋」.日本に存在する自動車の全部に乗ろうという野心に基づく体験談.
おしなべて「文章が放つ独特なユーモアと哀感」に惹かれるのは確か.
芥川賞候補でなく直木賞候補 !? でも,井伏鱒二も 1938 年という昔だが,受賞したのは直木賞だ.
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