
田中小実昌「香具師の旅」小学館(2024/12).
図書館で借りた.
出版社によれば*****
直木賞受賞作「ミミのこと」を含む名短篇集
病気や飢餓をともに乗り越えた戦友・朝日丸と〈ぼく〉。戦後、朝日丸は浪曲師として有名になり、11 人の原爆孤児たちを引き取って新聞にも載るが――。
「浪曲師朝日丸の話」と、耳が不自由で売春を生業としていたミミとの切ない純愛を描いた「ミミのこと」という第81回直木賞受賞作を中心に、夜の生活を拒否し、周囲にまったく気を使わない悪妻に嫌気がさして、かいがいしく世話を焼いてくれる女性との再婚を決意するが、その彼女が作った味噌汁の味に失望する「味噌汁に砂糖」、私小説的要素が強い表題作「香具師の旅」など、軽妙なタッチのなかにノスタルジーと深みを詰め込んだ珠玉の短編集。*****
病気や飢餓をともに乗り越えた戦友・朝日丸と〈ぼく〉。戦後、朝日丸は浪曲師として有名になり、11 人の原爆孤児たちを引き取って新聞にも載るが――。
「浪曲師朝日丸の話」と、耳が不自由で売春を生業としていたミミとの切ない純愛を描いた「ミミのこと」という第81回直木賞受賞作を中心に、夜の生活を拒否し、周囲にまったく気を使わない悪妻に嫌気がさして、かいがいしく世話を焼いてくれる女性との再婚を決意するが、その彼女が作った味噌汁の味に失望する「味噌汁に砂糖」、私小説的要素が強い表題作「香具師の旅」など、軽妙なタッチのなかにノスタルジーと深みを詰め込んだ珠玉の短編集。*****
画像中央の 1979 泰流社版が直木賞受賞時の出版だが,右の河出文庫版のカバーイラストは著者を思わせる.Wikipedia には「禿げ頭に手編みの半円形の帽子をかぶり,夏には半ズボンにサンダル履きというラフな格好を好み,すっとんきょうな表情で,またウィットに富んだユーモアで場を和まし... 」とある.往年のテレビ番組 11 PMでよくお目にかかった.好感は持ったが当時の彼はまだ小説を書いていなかったと思う.
6短編はどれも前に読んだ「ポロポロ」と大同小異.性交場面が多出するがさっぱり意気が上がらない,と言うより,意気消沈するのが癖になって次の作品に進む,という感じになってしまうのだった.
上記紹介の「浪曲師朝日丸...」に追加すれば,朝日丸は文盲で軍隊では皆に馬鹿にされる.にもかかわらず戦後は「探偵浪曲」などで稼ぐ.11 人の原爆女児を引き取って美談として新聞に載るが,ほとんどの娘を孕ませ,家は赤ん坊でいっぱいになる.朝日丸は食紅の入ったものを食べさせ,そろって赤いウンコをしたといったはしゃぐ.こんなことが万事淡々と書かれる.
これらの作品に登場する〈ぼく〉は著者の分身みたいだが,本当の著者は全然違うのかもしれない.11 PMも演技だっんだろう.
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