初めて買った LP が the Modern Jazz Quartet (MJQ) の Django だった.しばらくはミルト・ジャクソンのヴァイブが目当てに MJQ を聞いたが,次第にジョン・ルイスの作編曲力をも理解できるようになったと思う.
最初の いかにも MJQ らしい曲は Vendome だろう.クラシックから対位法を導入し,楽譜通りに (と言っても細部に演るたびに変わる部分はあるが) 演奏する.最初の録音は 1952 年だがぼくは 1960 年 European Concert でのテンポが早い演奏が好きなので, 下に Youtube 動画を埋め込んだ.トップ画像の Swingle Singers との友好セッションでも取り上げている.
1954 年の Concorde は Vendome 路線を踏襲したもの.Vendome はヴァイブとピアノの掛け合いだったが,ここではベースも買い合いに参加する.1963 年の "Quartet is a quartet is a quartet" で再演されていて,後者にはベースにソロスペースが与えられていて,ぼくのお気に入り.下の Youtube 動画はこのフォーマットである.
2曲とも初演では手探り感があるが,ライヴで演奏を重ね,いきいきとスイングする結果となったようだ.この躍動感はやはりクラシックには望めない,ジャズならでは !
この路線の完成形はアルバム Fontessa 中の Versailles (1956) だと思うが,録音が悪くベースがよく聞こえないのが残念.
Baden-Baden, Milano, Venice, Trieste などもヨーロッパの地名をタイトルに持つジョン・ルイスの佳曲だが,上記3曲のように対位法を導入しているわけではない.
ルイスのヨーロッパ趣味は 1953 年の The Queen's Fancy (Django 所収) のテーマ,1955 年の Softly, as in a Morning Sunrise のイントロなどにも現れているが,あまりにそれがあからさまで ぼくは苦手.
まぁ対位法曲はアルバム,あるいはライブに1曲というのが良いところで,MJQ はこの節度を保っていると思う.
最近の和製ジャズ書では MJQ は冷遇されている.ルイスの名前が辛うじて出てくるのはオーネット・コールマンの発掘者としてである.しかし欧米では依然として高く評価されているようだ.
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