Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

「自画像との対話」

2014-10-07 08:35:00 | お絵かき
黒井千次,文芸春秋(1992/12).

バブル期の名残を思わせる美本を古書として購入.

文芸春秋連載の単行本化とのこと.図版プラス大型本 5 ページ程のエッセイ.

先の「巨匠の失敗作」は取材中心だったが,こちらは著者が自分の言葉で書いている.まるで絵に関係ないことをマクラにしたりで,やはり小説家は文章が上手い.
シーレ,ゴッホ,モジリアニ,国吉康雄その他全部で 18 作家.図版プラス大型本 5 ページ程のエッセイ.あとがきで !! となったのは,実物を鑑賞したのは 1/3 だったとのこと.あとは画集を見て書いたのだろう.

ロートレック等の例外はあるが,たいてい画家は何枚も自画像を描いている.そのうちどれを選ぶかが問題であったそうだ.
下のはクレーの,目を閉じ耳がない,すなわち外部入力を拒否する自画像.


ローランサンの水彩画には腺病質で不機嫌な彼女.あまり有名な絵ではないと思われる.所蔵されていたと言うマリー・ローランサン美術館の閉館後はどこへ行ったんだろう.

結核で亡くなった中村彝の「髑髏を持つ自画像」は諦めたような表情.クレヨンの「血を吐く男」も自画像らしい.小さい図版だが陰惨.こういう絵をみると,絵描きって肉体的にはともかく,精神的にはタフなんだなと感心する.



熊谷守一の「ローソク」に添えた文章では,画面が暗いことが強調されている.しかしどこかで画家本人が,描いたときはもっと明るくて,着物の柄も見えたと言うのを読んだ覚えがある.だからといって内容に影響はないが...

巻末に「ドラマとしての自画像」と題する 20 ページ弱の文章.自画像を描こうと思い立って悪戦苦闘する寺田寅彦が登場したりする.

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