久野遼平,木脇太一「大学4年間のデータサイエンスが10時間でざっと学べる」KADOKAWA (角川文庫 2022/12) .
角川文庫からは
「大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる」
「大学4年間の哲学が10時間でざっと学べる」
「大学4年間の統計学が10時間でざっと学べる」
...
など,類書が多数出版されている.KADOKAWA商法だな.
この「...データサイエンスが10時間でざっと学べる」は 2018/3 刊行の文庫化.254 ページ.見開き左ページにテキスト,右ページに図 と画一化されている.右ページは活字が小さすぎて老視には辛い.
内容は
第1部 データサイエンスの基本 - データサイエンスとは?
第2部 データサイエンスの基礎技術 - 計算機の仕組み,プログラミングの基礎,アルゴリズム,データベース,最適化の方法
第3部 統計学・機械学習の基礎 - 機械学習,過学習とモデル選択,回帰問題と住宅価格,アンサンブル学習と住宅価格,分類問題,教師なし学習
第4部 コーパスとネットワークの分析 -トピックモデル,ネットワーク分析
第5部 ディープラーニング - ニューラルネットワークの基礎,ディープラーニング,系列データ分析,画像分析
大学4年間というが,どの学部どの学科を想定しているのかは不明.情報系かな ? 16 トンが 18 年前まで勤めていた理学部物理学科とは (現在は知らないが) かなり方向が違うように思う.住宅価格,株価予測など,例題は社会科学寄り.
内容はカタログみたいなもの.この本に 10 時間かけるなら,初学者はまともな入門書を2時間集中して5冊読んだ方がいいと思う.でも,カタログ的な魅力があることも確か.
16 トンは 1980 年代初頭まで,計算機を用いた物理実験データ処理を生業としていた (例えば,https://doi.org/10.1585/jspf1958.47.233).1/3 世紀前には大学で計算機の講義を持っていた.こんな経歴の持ち主には,最近の動向のうれしいカタログ本だった.