【私設・論説室から】:天然ガスを売りたい国
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【私設・論説室から】:天然ガスを売りたい国
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【私設・論説室から】 2021年02月17日 07:24:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【私設・論説室から】:天然ガスを売りたい国
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【私設・論説室から】:天然ガスを売りたい国
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【私設・論説室から】 2021年02月17日 07:24:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【小泉純一郎氏】:原発ゼロ「政府なんでやらないんだ」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小泉純一郎氏】:原発ゼロ「政府なんでやらないんだ」
小泉純一郎元首相は4日、都内で行われた「原発ゼロ・自然エネルギー100世界会議」(3月11日オンライン開催)会見に出席後、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などと発言した問題について聞かれると、「(発言を)全部聞いてないからね」とだけ話した。
「原発ゼロ・自然エネルギー100世界会議」開催会見に出席した小泉純一郎元首相(撮影・近藤由美子)
会見では「日本は自然エネルギーを活用すれば、必ず原発ゼロでやっていける。むしろ自然エネルギーに恵まれた国だから」と原発ゼロを主張。さらに「原発ゼロで1日も停電がなかった時期があるのは、原発ゼロでやっていける証明だ。なのに稼働させる。私が残念に思っているのは、政府はやればできるのに、なんでやらないんだ!」と、いら立ちをにじませた。
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政策・「原発ゼロ・自然エネルギー100世界会議」】 2021年02月05日 08:32:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:週のはじめに考える 後ろには夢がない
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える 後ろには夢がない
ある米紙の記者が自分の職業を表現して、プロフェッショナル・ウォリアーだ、と。勇ましいwarrior(戦士)に非(あら)ず、むしろ逆のworrier。「プロの心配性」というわけです。いかにも、私たち記者の書くものといえば「〜は大丈夫か」とか「〜が懸念される」とか何かにつけて心配したり疑ったりする内容が多い。お察しの通り、本稿もまた−。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年01月31日 07:06:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:「脱炭素」を考える 私たちの星を守りたい
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:「脱炭素」を考える 私たちの星を守りたい
二〇一九年一月、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)。集まった指導者たちの面前でスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんが言った言葉は広く知られるようになりました。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年01月18日 07:28:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【経産省】:再エネで「嘘」を…英国政府を“激怒”させた大失態
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【経産省】:再エネで「嘘」を…英国政府を“激怒”させた大失態
経産省が外交問題に発展しかねない大失態を犯した。菅首相の肝いり政策である「2050年カーボンニュートラル」に関し、英国政府の再生可能エネルギー(再エネ)導入の目標数値で「ウソ」を記載していたのだ。
梶山大臣もだまされた?(C)共同通信社
昨年12月25日、政府は「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、発表。再エネについて「最大限の導入を図る」「2050年には発電量の約50~60%を再エネで賄う」とした。その際、「世界最大規模の洋上風力を有する英国の意欲的なシナリオでも約65%」と記し、英国でもこの数字なのだから日本は頑張っている、とアピールしたのだった。
ところが、これを英大使館は完全否定。今月12日に出したニュースレターには次のようにある。
<昨年末、様々な資料に記載された英国のエネルギー政策などについて、誤解を招く内容が含まれていた><英国はこのような目標は掲げておらず英国の政策ではございません>
「昨年末の資料」とは、日本政府の発表を指しているのは間違いない。さらに、英国の気候変動委員会が「2050年までの再エネ80%」を提言していること、英政府は今年、これに対して見解を発表することも付記している。
英政府を激怒させた?!(ボリス・ジョンソン英首相)/(C)ゲッティ=共同
◆古賀茂明氏「国辱ものの大失態」
英大使館に問い合わせると「弊館よりプレスリリースに記載されています情報以上のことはお答えできかねますことご理解ください」とメールで回答があった。
当事者の経産省は日刊ゲンダイの取材にこう弁解した。
「英の気候変動委員会は2019年の報告書で再エネ比率65%としておりましたが、昨年12月9日に新シナリオで80%と出していました。今月8日に英大使館から『新しいものがあります』と担当者が指摘を受け、12日にはニュースレターが出された。いま、どう対応するか大使館と相談中です。(間違いを訂正するのか?)追記するかを含め、相談しています」(資源エネルギー庁の西田光宏戦略企画室長)
元経産官僚の古賀茂明氏がこう言う。
「英大使館は表向きは言えないでしょうが、かなり怒っていると思います。通常はレターを出すなんて外交上あり得ません。日本側が謝って、すぐ訂正すれば、黙っている。それが外交上の大人の対応です。今年の『COP26』は英が開催国。ジョンソン首相は再エネに熱心で、勝手に恥ずかしい数字を出されてはたまらない、ということでしょう。経産省の事務方も確信犯で、『65%』と梶山大臣に説明した手前、訂正しなかったのではないか。国辱ものの大失態。こういう時こそ、菅首相は政治主導の人事でウソつき官僚をクビにすべきですよ」
世界中に恥をさらした経産省は、どう落とし前をつけるのか。
元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース】 2021年01月15日 13:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【筆洗】:オランダの風車は言葉を話すそうだ。戦争中、ある地域では風車…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:オランダの風車は言葉を話すそうだ。戦争中、ある地域では風車…
オランダの風車は言葉を話すそうだ。戦争中、ある地域では風車の言葉がドイツ軍の行動を無線より早く住民に伝えた。無論、人間の言葉ではない。風車の羽根の位置によって「言葉」を伝える▼風車の羽根は反時計回りに回転する。例えば、羽根が頂点に差しかかる直前の位置で止まっていた場合、それは未来や希望、喜びを表す。逆に羽根が頂点を過ぎていたら過去や悲しみの意味だそうだ。気候学者吉野正敏さんの『風の世界』(東京大学出版会)に教わった▼日本のこの風車。羽根が未来の希望を示す位置にあることを願いたい。二〇五〇年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする政府の「グリーン成長戦略」。洋上風力発電を脱炭素化の主軸に位置付けた▼「いなさ」「ならい」「はえ」「東風(こち)」。日本には約二千の風の名があるそうだ。風に恵まれた環境ながら、日本のこの分野での取り組みは、EUなどに比べ、遅れていた。やっと風をつかまえたか。脱炭素化に向け、風穴をあけたい▼三〇年までに発電容量を一千万キロワット、四〇年までに最大四千五百万キロワットまで増やすという。原発四十五基分に相当する。野心的な目標である▼達成までの道程は順風満帆とはいくまい。技術開発の難しさ、沿岸漁業者との交渉など厳しい向かい風もあるだろう。国全体で強い追い風をおこし、安全でクリーンな風のエネルギーを集めたい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】 2020年12月27日 07:35:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:50年に排出ゼロ 再エネの普及が鍵だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:50年に排出ゼロ 再エネの普及が鍵だ
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年10月29日 08:06:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:エネルギー計画 脱原発へ明確な道筋を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:エネルギー計画 脱原発へ明確な道筋を
経済産業省は、中長期的なエネルギー政策の指針で、来年改定期を迎えるエネルギー基本計画の見直しに向けた議論を始めた。
原子力発電や石炭火力発電への依存度を低め、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及を一層拡大させる必要がある。
安倍晋三前政権は福島第1原発事故の3年後に原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、2015年に全電源に占める原発の比率を30年度で20~22%とした。
だが、地元の同意が見通せないところもあって再稼働は進まず、達成はもはや現実的ではない。
成長戦略の柱の一つとして政府が支援してきた輸出も、採算面などで事実上頓挫した。
それなのに原発に固執する政府や大手電力の姿勢こそが、送電網の利用などで再生エネ普及の妨げになっているのは明らかだ。
新計画には脱原発への道筋を明確に反映させるべきである。
日立製作所は先月、英国での原発建設からの完全撤退を決めた。
安全対策の強化に伴う建設費用の増加で採算が合わず、資金調達も難しくなったことが要因だ。
東芝はすでに海外原発事業から撤退した。三菱重工業もトルコでの建設を断念する方向という。
原発はビジネスとしても成り立たず、脱原発が世界の流れであることの証左と言えよう。
脱原発をいつ実現させるかは、後志管内寿都町と神恵内村で文献調査が始まる見通しとなった高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡る問題や、核燃料サイクル政策にも関わる。
核のごみが出る期間や量にめどをつけることが、処分場問題の冷静な議論に不可欠だからだ。
逆に文献調査の開始を原発再稼働を進める理由に結びつけるようなことがあってはならない。
経済同友会と34道府県などでつくる自然エネルギー協議会は、現計画で30年度に22~24%とする再生エネの比率を40%程度にするべきだと7月にそれぞれ提言した。
二酸化炭素の排出抑制には、再生エネの大幅な拡大が必要と判断したためだ。
政府は経済界や自治体の声を重く受け止める必要がある。
有望視されているのが洋上風力だ。コストや災害対策などの課題はあるが、発展の余地が大きく、商社も建設に乗り出した。
民間の本格的な投資や技術開発を促すためにも、再生エネの比率引き上げを新たな基本計画に明記することが肝要である。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年10月19日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【地球異変 挑戦する福島】:(下)水素社会 試される再エネ政策
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【地球異変 挑戦する福島】:(下)水素社会 試される再エネ政策
雑木林を抜けて海沿いの高台に着くと、太陽光パネルが一面に広がった。それに囲まれるように、新しい建物とタンクが白く光る。
福島県浪江町の北部、東北電力が原発建設を断念した広大な敷地(十八万平方メートル)に完成したのは、「福島水素エネルギー研究フィールド」という世界最大級の水素製造拠点だ。
大規模太陽光発電所に囲まれた水素製造拠点=先月、福島県浪江町で、本社ヘリ「おおづる」から |
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東京電力福島第一原発事故から九年を前にした七日、敷地内での開所式。新型コロナウイルス感染症で自粛ムードが広がる中、安倍晋三首相が駆け付けた。水素で走るトヨタ自動車の燃料電池車(FCV)ミライのハンドルを自ら握り、宣言した。「原発事故で大きな被害を受けた福島から、水素社会の新たなページが開かれようとしている」
施設は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や東芝エネルギーシステムズと東北電、産業ガス大手の岩谷産業が約二百億円かけて整備。うち百億円を国費が占める。約六万八千枚の太陽光パネル(計二万キロワット)で生み出した電力で、水を電気分解し水素ガスを作る。一日で、FCV五百六十台を満タンにできる量を製造できる。
水素は、電気を持ち運べるエネルギーに変換したものだ。浪江の水素ガスは、二十六日からの東京五輪聖火リレーでトーチの燃料となり、大会中は圧縮して注入した大型ボンベがトレーラーで選手村に運ばれ、燃料電池バスなどに使われる。政府がいう「復興五輪」でデビューを果たす。
福島水素エネルギー研究フィールドの開所式でテープカットする安倍首相(中)ら=7日、福島県浪江町で |
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安倍政権は二〇一七年末の「水素基本戦略」で、水素を再生可能エネルギーと並ぶ新エネルギーの選択肢として位置付けた。FCVの普及や水素の輸送・貯蔵技術の進展なども掲げる。
水素製造には大量の電気が必要で、製造コストが高い。石炭火力発電が使われたりしているが、浪江の施設のように二酸化炭素(CO2)を排出しない再生エネの電気を大規模に利用する例はない。NEDOの大平英二統括研究員は「将来、化石燃料が使えない社会が来る。水素社会に必要な知見と製造コスト削減策を探りたい」と話す。
しかし、水素が主役になる日は遠い。太陽光や風力など天候に左右される電力が大量に「余剰」とならないと、発電より製造コストの方が高く、エネルギーを転換して蓄積する利点を生かせないためだ。再生エネの課題を研究する安田陽・京都大特任教授は「国際的には、水素が必要となるのは再生エネの導入が80%程度になってからだ」と指摘する。
日本の電源構成の再生エネ比率は約16%(一七年度、資源エネルギー庁調べ)。地球温暖化を防ぐため再生エネの普及が不可欠とされるが、三〇年度の目標は22~24%にとどまる。安田氏は「まず高い再生エネ目標を掲げないと。優先順位を間違えれば、水素開発が世界標準から外れたガラパゴス技術に陥るか、研究成果が宝の持ち腐れになりかねない」と警鐘を鳴らす。
浪江町の吉田数博町長は開所式で「CO2フリーの水素を町づくりに活用したい」と語った。一部地域の避難指示解除から三年、町民の約7%しか戻っていない状況で新産業への期待は大きい。原発から水素に移った国策の舞台で、小さな芽は育つのか。政府のエネルギー政策が問われている。 (石川智規)
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シリーズ「地球異変」へのご意見、情報をお寄せください。ファクスは03(3595)6919。メールはshakai@tokyo‐np.co.jp、郵便は〒100 8505(住所不要)東京新聞「地球異変」取材班へ。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【話題・連載・「地球異変」】 2020年03月13日 06:15:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:化石燃料削減 脱原発との両立目指せ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:化石燃料削減 脱原発との両立目指せ
欧州連合(EU)とドイツが石炭など化石燃料の大幅削減計画を発表した。ただ、そのために、原子力を活用しようとの声が出ているのが気掛かりだ。脱化石燃料、脱原発の両立を進めるべきだ。
欧州委員会が先月発表した計画によると、域内の温室効果ガス排出を二〇五〇年に実質ゼロにする目標達成のため、今後十年で少なくとも一兆ユーロ(約百二十兆円)を投資し、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を支援する。
ドイツ政府も、石炭を産出する四つの州と三八年までに脱石炭を実現させることで合意した。事業者への補償などのため、四百億ユーロ(約四兆八千億円)を拠出する。
ただEUにはフランス、チェコなど、化石燃料削減のため原子力の活用を表明している国もある。将来、原発がEUの補助対象になりかねないとの懸念も出ている。
二二年までの原発全廃を決めているドイツですら、脱原発への異論が出始めた。メルケル首相与党の保守、キリスト教民主・社会同盟の広報担当者は、温暖化防止のため原発延命を容認する考えを示した。これに対し、メルケル政権は予定通り脱原発を貫く方針を強調。世論でも原発延命論は大きな声とはなっていない。
原子力の活用は、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(17)が国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書を引用する形で「原子力は、脱石炭を目指すエネルギー問題のささやかな解決策になり得る」とフェイスブックに投稿して以来、改めて注目されるようになった。
しかし、東京電力福島第一原発事故を思い出してほしい。原発は制御できず、汚染は生活全般を破壊する。IPCCの報告書も、原子力には「障壁とリスクが存在する」と指摘している。
事故を教訓に、ドイツは脱原発へとかじを切った。化石燃料削減を原子力に頼るべきではない。
化石燃料の代替となるべき再生可能エネルギーがドイツの全発電に占める割合は昨年、46%に上り、初めて化石燃料の発電量を上回った。三〇年に全発電量の65%を目指すとの目標にも着実に近づいている。
ドイツ南西部の原発は昨年末、計画通り稼働を停止した。
ドイツは、化石燃料削減による温暖化防止と、脱原発の両立を目指してEUをリードしてほしい。EUによる原発への補助などもってのほかである。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年02月12日 06:10:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:教皇の脱原発 心強く受け止めたい
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:教皇の脱原発 心強く受け止めたい
ローマ教皇フランシスコが原発利用への反対を表明した。東日本大震災被災者らの悲しみの声を聞いた後での、踏み込んだ発言だ。核廃絶に加えて明確にした、脱原発の理想を共有したい。
訪日からローマに戻る機中での会見で教皇は「日本が体験したトリプル災害(地震、津波、原発事故)はいつでも起きる可能性がある。原子力利用は完全な安全性を確保するに至っていないという意味で限界がある」と指摘。個人的な意見とした上で「私は完全な安全性が実現するまで核エネルギーを使用しない。災害が起こらない保証が十分ではない」と述べた。
教皇は広島で「戦争への原子力使用は犯罪以外の何ものでもない」と核廃絶を強く訴えた。一方で、震災被災者らとの集いでは「兄弟である日本の司教たちは原発の廃止を求めた」「将来のエネルギーに関し、勇気ある重大な決断をすることが最初の一歩だ」と述べたものの、原発の是非は直接明言しなかった。
集いでは、福島県いわき市から東京に避難している高校生が「いじめに遭い、死にたいと思うほどつらい日々が続いた。政府の思惑で被害者の間に分断が生じた」などと訴えた。教皇の心を動かしたのではないか。
今回の発言には伏線もある。教皇が「皆がともに暮らす家」になぞらえる地球の環境が破壊されつつあることへの危機感だ。
環境汚染や地球温暖化を警告した二〇一五年の回勅(公的書簡)で教皇は原子力エネルギーについて「ある区域の生活の質に深く影響する可能性があり得ます。目先の利益と私的な利害関心を優先する消費主義文化は、安易な認可や情報の隠蔽(いんぺい)を容易にする可能性があります」(「回勅 ラウダート・シ」、カトリック中央協議会刊)と指摘し、コスト、リスクの見極めが必要だと訴えていた。
福島の実情を知り、原発はコスト、リスクとも、「ともに暮らす家」を持続していくには見合わない、と判断したのだろう。
核兵器禁止条約を批准せず、原発推進を続ける日本を教皇が批判したり、方針転換を迫ったりすることはなかった。大きな発信力、影響力はさらに世界へと向けられている。被爆国日本は、バチカンと協力して核兵器廃絶に全力を挙げたい。
原発被災国としては、脱原発実現に向け、教皇のメッセージを心強く受け止めたい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2019年11月28日 06:10:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【ローマ教皇】:「原発やめるべき」 安全の保証必要と明言
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ローマ教皇】:「原発やめるべき」 安全の保証必要と明言
【ローマ教皇特別機中、共同】ローマ教皇フランシスコは26日、原発はひとたび事故となれば重大な被害を引き起こすとして「完全に安全が保証されるまでは利用すべきではない」と明言した。教皇庁(バチカン)は原発の是非について立場を明確にしておらず踏み込んだ発言。東京からローマに戻る特別機の中で、記者会見し述べた。
ローマ教皇フランシスコ(ロイター=共同) |
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訪日を振り返り、24日の被爆地訪問は「深く胸に刻まれる体験だった」と表明。被爆者の体験を聞くなどしたことにより「とても強く心を動かされた」と語った。
元稿:東京新聞社 主要ニュース 国際 【欧州・イタリア・バチカン】 2019年11月27日 05:43:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【小泉純一郎元首相】:「原発ない国に」期待 進次郎環境相就任
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小泉純一郎元首相】:「原発ない国に」期待 進次郎環境相就任
小泉純一郎元首相は十五日、茨城県日立市で講演し、初入閣した次男の小泉進次郎環境相に触れ「原発をなくして自然エネルギーで発展できる国にしてほしいなと思う。環境相だからよかった」と期待感を示した。
小泉元首相は、会場からの質問に答える形で「頑張ってもらいたい。彼は勉強家で、私より勉強している」とエールを送った。
講演では、持論の原発ゼロを主張。首相在任中は原発が必要と考えていたが、東日本大震災や東京電力福島第一原発事故で安全性に疑問を持ったといい「日本は地震も多いし、津波も何十年に一度は来る。(原発は)いけないと確信した」と強調した上で「政界も自然エネルギーを有効に活用する国を造る方向に持って行くべきだ」と訴えた。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政局・原発をなくして自然エネルギーで発展できる国に】 2019年09月16日 06:15:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:<’19参院選>原発政策 止めるか使い続けるか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:<’19参院選>原発政策 止めるか使い続けるか
六月のG20大阪サミット開催期間の前後、東京駅や名古屋駅などのコインロッカーが、テロ対策で閉鎖になった。
それほどテロには敏感なのに、こと原発に関しては、無防備だったと言うしかない。
3・11後にできた原発の新たな規制基準では、大型航空機が体当たりしてくるような事態に備え、「特定重大事故等対処施設(特重)」の設置が義務付けられている。
例えば、原子炉から十分離れた場所に、非常用の制御室や電源、冷却ポンプなどを備えることになっている。一基につき一千億円規模の追加費用がかかる。
特重の整備には、再稼働に向けた工事計画が認可された後、五年以内に完了すればいいという、猶予期間が設定された。その間は原発を動かしていいということだ。
ところがそれさえ守られず、関西電力高浜原発1、2号機に至っては二年半の遅れが出るとして、関電などは原子力規制委員会に猶予期間の延長を申し出た。規制委はさすがにそれをはねつけた。
期限内に設置できない場合には、停止命令を出すという。
それ以外にも規制委はこのところ、耐震や津波、火山の降灰など、自然災害に関する規制を強めている。原発を抱える電力会社は、さらなる対応と巨額の投資を迫られるということだ。
新規制基準の導入後、関電が安全対策に投じた費用は、すでに一兆円を超えたという。安全を真摯(しんし)に追求すれば、原子力発電は、ビジネスとして成り立たない-。今や世界の常識だ。再生可能エネルギーへのシフトは加速する。
にもかかわらず、国のエネルギー基本計画は、二〇三〇年度にも電力の二割以上を原発で賄うといい、新増設も視野に入れ、依然基幹電源扱いだ。誰のため、何のために、災害リスクの高い原発を莫大(ばくだい)なコストをかけて維持していこうとするのだろうか。自民の参院選公約はこれに沿う。
一方、連立与党の公明と、立憲民主、国民民主、共産、社民の五党は「原発ゼロ」、日本維新の会は「脱原発依存」を掲げている。
このうち、公明、国民、維新は一定の条件付きで当面の再稼働を認めるといい、立民、共産、社民は認めないという違いはある。
だが大きく分ければ原発を止めるか使い続けるか、だ。投票判断の重要な手掛かりになるだろう。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2019年07月17日 06:10:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【政界地獄耳】:財界よりずっと遅れる原発政策
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳】:財界よりずっと遅れる原発政策
★12日、経済同友会代表幹事・小林喜光は会見で「3・11の不幸な事故が起きて(以来)、経済同友会は『縮原発』と(いう考え方)。100%はないにせよ、安全が技術的に担保されたら、今あるもの(原発)はこれだけ投資してきたので、40年なり(運転期限を最大)60年まで延長することも」としながらも「最終的には、自然エネルギーである風力発電、太陽光、地熱、あるいはさまざまなバイオ系の燃料に移行するだろう」と将来の原発政策の見直しを示唆した。
★経団連といい、同友会といい日本の財界トップが原発後の展望を語るまでなったのは東日本大震災から8年という歳月が言わせたものだろう。また小林は「世界にある500基以上の原子炉を廃炉することを考えると、いや応なしに廃炉産業が重要な位置づけになる」とした。一方、我が国の政策で官邸と経産省はいまだ1つも実現しない原発の海外輸出を打ち出すなど周回遅れの政策を言い続けている。
★国民民主党と自由党の政策協議では「2030年代原発ゼロに向け、あらゆる政策資源を投入。使用済核燃料の最終処分に関する国の責任の明確化。廃炉、使用済核燃料の減容化等を担う労働者・技術者の確保と育成。廃炉後の原発立地地域における雇用・経済政策を国の責任で推進」などが確認された。小林の考えと同じだろう。ところが立憲民主党の原発への取り組みは感情的で政策とは言い難い。「原発ゼロを単なるスローガンとして語る次元はとうに過ぎています。原発ゼロは、未来に対する私たちの世代の責任です。再稼働は現状では認められません。原発の稼働がなくとも日本経済は成り立ちます。再生可能エネルギーや省エネ等の技術開発によって、もはや原発ゼロはリアリズムです」。原発ゼロはやはり甘いスローガンだ。廃炉技術の確立、技術者育成、つまり廃炉産業の実現が政治の政策だろう。政治の原発への取り組みは財界よりもずっと遅れているのではないか。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2019年03月16日 08:18:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。