路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【旧統一教会】:今夏にも解散命令が出される見込み…窮地に追い込まれた教団が繰り出す「最後の一手」

2023-01-23 09:00:30 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【旧統一教会】:今夏にも解散命令が出される見込み…窮地に追い込まれた教団が繰り出す「最後の一手」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【旧統一教会】:今夏にも解散命令が出される見込み…窮地に追い込まれた教団が繰り出す「最後の一手」

 「’23年の1月か2月中には解散命令請求が出て、早ければ夏頃には地裁で命令が下されます。国は教団解散に向けて本気で動いている。裁判で確実に主張が認められるよう、現在は文化庁を中心に証拠集めを徹底的に行っていると思われます」

 ■【未掲載カット】ジャーナリスト・鈴木エイト「解散命令が出ても統一教会問題は終わりではない」のワケ…!

 そう語るのは、長年教団を追及してきたジャーナリストの鈴木エイト氏だ。

 ’22年7月の安倍晋三元首相銃撃事件以来、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への対応は異例のスピードで進められた。年末には被害者救済法が成立、2度の質問権も行使された。

<button class="sc-cpUXGm ckhYIf" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-cpUXGm ckhYIf" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">’22年12月中旬、都内の自宅から出てきた旧統一教会・田中富広会長に直撃。質問に答えることは一切なかった</button>
 ’22年12月中旬、都内の自宅から出てきた旧統一教会・田中富広会長に直撃。質問に答えることは一切なかった(PHOTO:結束武郎)

 勅使河原(てしがわら)秀行・改革推進本部長が盛んに会見を開き、献金・勧誘制度の改革を訴えてはいるが、もはや解散命令は時間の問題とも見られている。教団は信者に「解散にならぬために祈るよう」命じているが、それ以外にどんな対抗策を取っているのか。前出・エイト氏が言う。

 「質問権には収支や財産に関する報告を求める内容が盛り込まれていましたが、教団はそれに正直に答えているとは言い難い。教団には『B帳簿』と呼ばれる裏の帳簿があるとも言われています。今後も、教団にとって不利になるような証拠はなるべく出さないというやり方を続けるでしょう」

 何とか解散を避けるため、「最後の一手」も繰り出してきそうだ。

 「解散命令が下されないよう、『教団として悪質な献金や勧誘を指導したことはない』という従来の主張を繰り返していくはずです。つまり、教団に『使用者責任』はない、と。その一方で、息のかかった政治家に圧力をかけることもしていく。現在も明らかになっていない癒着議員は大勢いますからね」(同前)

 証拠をそろえ、教団の主張を突き崩せるか。政府による追及が鈍ったときには、注意が必要だ。

 ■『FRIDAY』2023年1月20・27日号より

 元稿:講談社 主要出版物  週刊FRIDAY DIGITAL 社会 【話題・旧統一教会を巡る問題】 2023年01月23日 09:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・12.11】:岸田首相の「鈍感力」追い込まれても乗り越えた臨時国会 それでもまだピンチは続く…

2023-01-23 07:45:00 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【中山知子の取材備忘録・12.11】:岸田首相の「鈍感力」追い込まれても乗り越えた臨時国会 それでもまだピンチは続く…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・12.11】:岸田首相の「鈍感力」追い込まれても乗り越えた臨時国会 それでもまだピンチは続く…

 臨時国会が12月10日に幕を閉じた。この間、大臣の更迭が相次ぎ、10月24日に旧統一教会との関係が取りざたされた山際大志郎経済再生相(当時)が更迭されたのを皮切りに、法相軽視発言の葉梨康弘法相(同)、首相に近い存在でもある寺田稔総務相(同)が1カ月間のうちに立て続けに辞任。岸田首相、岸田内閣の支持率は急落した。秋葉賢也復興相にも「政治とカネ」の疑惑が多数浮上し、ほかにも大臣を含む複数の政務三役にもさまざまな疑惑や問題が取りざたされ、一時は「政権の体力がもたない」「首相の求心力も、だだ下がり」と政権基盤の危うさが指摘されたが、国民の目にさらされる国会を閉じることで、政権の失態と疑惑にふたをするような形で乗り越えた形だ。

衆院本会議で答弁する岸田文雄首相(2022年11月21日撮影)

  衆院本会議で答弁する岸田文雄首相(2022年11月21日撮影)

 複数の関係者によると、岸田首相の周辺は、早く臨時国会を閉じたい意向だったという。閉会の手続きが行われた12月10日は土曜日。国会閉会日が週末でも、実際に閉会するのはその前日の平日が通例だ。本来、閑散としている土曜日の国会周辺は10日、普段週末は閉まっている議員会館や会館内の食堂なども開いていた。取材をする側には助かったが、あまり見たことのない光景だった。

 臨時国会を閉会できたのは、旧統一教会の被害者救済法が成立したことが大きいが、そもそもこの救済法について首相は当初、必ずしも積極的ではなかったとされる。安倍晋三元首相の銃撃死に端を発した旧統一教会と自民党の関係が明るみに出てから岸田内閣への風当たりが強まり、旧統一教会と一部閣僚のつながりも発覚したりして、支持率急落にもつながった。

 今、岸田政権に苦境をもたらしている「元栓」=旧統一教会問題をめぐる法整備を最低限の形であっても整えなければ、この先の政権の立場も危うくなる。しかも、野党の圧力に抗しきれず、野党の提案に少しずつ歩み寄る形での成立。追い込まれた末、苦し紛れの対応は、臨時国会でみられた大臣更迭などと同じ、岸田首相のスタイルだった。

 国会で取材をしていると、岸田首相にも疲れが見えたような時があった。岸田首相は実は、首相就任前から「筋肉男子」で知られ、昨年の自民党総裁選でも日々筋トレで鍛えていると明かしている。それでもやはり、首相の座は心身共に疲弊する立場。ただ、閣僚の更迭をはじめ、すべて自分の判断の遅れが原因で自分のピンチを招いた。

 この間の首相には「悪循環」というキーワードがついて回った。自民党関係者は「国会を閉じて仕切り直し、という側面もあるのではないか」と話した。

 一方で、首相と接したことのある複数の関係者からは「全然へこたれていない」「意外に元気」という声が出ていた。ちょっと意外だった。「鈍感力」という言葉も聞いた。

 大臣閣僚更迭の遅すぎる判断にしても、旧統一教会被害者救済法の出遅れ感にしても、身から出たピンチなのだが、もし「鈍感力」で乗り切っていた側面があるとするなら、一連の、どこかズレた対応も何となく納得できる。それが正しい判断かどうかは別として。

岸田首相の防衛費をめぐる増税方針を受けて開かれた自民党政調全体会議は異論が噴出した(2022年12月9日撮影)
岸田首相の防衛費をめぐる増税方針を受けて開かれた自民党政調全体会議は異論が噴出した(2022年12月9日撮影)

 岸田首相が臨時国会は乗り切っても、ここにきて新たな難題が出てきた。防衛費をめぐる約1兆円の増税方針だ。党内の議論が行われていないとして自民党内で異論が噴出。12月9日に政調全体会議に出席した議員からは「唐突だ」「額だけがひとり歩きしている」の言葉が出るなど、首相のおひざ元なのにアウェーの空気だった。最大派閥安倍派の議員の反発が強く、高市早苗安全保障相も、SNSで「真意が理解できない」と疑問を唱えるなど政権全体が一枚岩ではないことも露呈した。

 国政選挙ではないものの、来年の統一地方選を控える中、増税の議論を出すこと自体が「禁じ手」という声も聞いた。すでに首相から発せられた方針でもあるが、このままの状態でどう折り合いをつけるのだろうか。

高市早苗経済安全保障担当相(21年9月撮影)
高市早苗経済安全保障担当相(21年9月撮影)

 閣僚らの疑惑や問題はすべてクリアされたわけではないし、防衛増税という国家全体にかかわる部分での対立構図という新たな火種も出てきた。旧統一教会をめぐる問題への対応もまだ続く。臨時国会は閉じても課題を抱え込んだままの岸田首相は、やっぱりまだピンチにある。「鈍感力」で乗り越えられる局面はそろそろ、なくなりつつあるような気もする。【中山知子】

 中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2022年12月11日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・12.06】:崩壊し始めた公明党は今やられ放題だ

2023-01-23 07:41:30 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【政界地獄耳・12.06】:崩壊し始めた公明党は今やられ放題だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・12.06】:崩壊し始めた公明党は今やられ放題だ

 ★先月29日、防衛費増強の財源について自民党総務会長・遠藤利明は「今の日本を守るというのは、私たちの世代の責任。安易に若い人や子どもたちにつけ回しするのはふさわしくないと、個人的には感じている」と増税容認の姿勢を示したが、政府は自民党内の強い反発や、来年春の統一地方選挙を見越して当面の増税回避で調整に入った。政権人材不足政治的力量低下迷走している。

 ★その中で長年、連立を組む公明党は時に政権をたしなめる役割を果たしてきたが、今はその面影もなく雪崩を打つように崩壊し始めた。憲法改正に等しい安保関連3文書の改定の中で相手のミサイル発射拠点などをたたく「敵基地攻撃能力」を保有した方が抑止力を高めるなどという理屈をこねて公明党は認めた。もう公明党結党理念すら捨てたのではないかと思うほど重大安全保障上転換点合意した。15日に日本会議などが共催し、国会内で開かれる「防衛費GDP比2%以上で反撃能力を」とうたう「防衛力の抜本的強化を求める緊急集会」には公明党外交安全保障調査会長・佐藤茂樹も名を連ねる。

 ★2日、公明党の国交相・斉藤鉄夫は昨年の衆院選の選挙運動費用収支報告書に、宛名やただし書きの記載がない領収書20枚程度を添付していたことを明らかにした。斉藤は20年12月にも政治献金計100万円の寄付を政治資金収支報告書に記載していなかったことが判明しており、2度目の不適切処理となる。4日には同党政調会長・高木陽介がテレビで、廃止原発の建て替えで次世代型原発を建設する「リプレース」について「基本的にはOKと考えていい」と政府方針を容認した。旧統一教会問題や、被害者救済法成立するまではなんでも言うことを聞く公明党。追い打ちをかけるように先週末には国民民主党との連立情報が政界を駆け巡った。公明党やられ放題だ。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2022年12月06日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・01.14】:霞が関にある「日本最後のサミット」になる不安

2023-01-23 07:40:00 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・G7サミット・G20】

【政界地獄耳・01.14】:霞が関にある「日本最後のサミット」になる不安

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・01.14】:霞が関にある「日本最後のサミット」になる不安 

 ★G7サミット(主要国首脳会議)とは、仏、米、英、独、日、伊、加(議長国順)の7カ国ならびに欧州理事会議長及び欧州委員会委員長が参加して、毎年開催される国際会議。今年は日本が議長国になって5月19日から21日に首相・岸田文雄の選挙区、広島で開催される。その地ならしのため首相は欧米5カ国歴訪に出かけ、仏伊英の順に訪れ、マクロン大統領、メローニ首相、スナク首相と会談した。

 ★日仏会談で首相はサミットに向け核兵器による威嚇やその使用を断固として拒否するとしながらも自衛隊と仏軍の共同訓練などを歓迎し、今年前半に外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)の開催を目指す。台湾海峡の平和と安定の重要性も議題に上がった。日伊会談では両国関係を「戦略的パートナーシップ」に格上げ。外務・防衛の当局間協議もスタートさせる。日英会談では自衛隊と英軍が共同訓練などで相互訪問する際の法的地位などを定める「円滑化協定」を締結した。日加会談では中国による東・南シナ海における力による一方的な現状変更の試みに強く反対することで一致した。

 ★いずれもサミットの地ならしは口実で、ウクライナの次は中国だと触れ回り理解を求めた、軍事的歴訪が浮かび上がる。政界関係者が言う。「広島サミットが日本でのサミットの最後になるのではないかという懸念が霞が関にあるのだろう。既にOECD(経済協力開発機構)のさまざまなデータでは日本は先進国の上位とは言えず、近い将来サミットのメンバーから日本が外され中国が加わるという不安だ。経済的・政治的にアジアの盟主は中国に移りつつある。日米はその懸念を対中包囲網に仕立て直しているのではないか。一方、欧州への軍事的アプローチはNATO(北大西洋条約機構)への強いコミットを意識しているのではないか」。この国はどこに行こうとしているのか。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2023年01月14日  07:49:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【鈴木エイト氏】:井上義行議員の山上被告への発言に怒り「逆に甘ったれるなと言いたい」

2023-01-23 07:09:50 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【鈴木エイト氏】:井上義行議員の山上被告への発言に怒り「逆に甘ったれるなと言いたい」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【鈴木エイト氏】:井上義行議員の山上被告への発言に怒り「逆に甘ったれるなと言いたい」

 作家でジャーナリストの鈴木エイト氏が22日、TBS系「サンデージャポン」に生出演。自民党の井上義行参院議員が、山上徹也被告について「甘ったれるな」と発言したことについてコメントした。<button class="sc-cpUXGm ckhYIf" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-cpUXGm ckhYIf" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">鈴木エイト氏</button>

                     鈴木エイト氏(TOKYO-SPORTS)

 朝日新聞の取材で、井上議員は「別の勢力によるテロの可能性だって十分にあり得るはずです」と話し、山上被告について「甘ったれるな」と発言した。

 鈴木氏は「山上被告が行った犯行は許されるべきではない。きっちり法の裁きを受けてもらって」と指摘した上で、「山上被告に関しては、統一教会によって家庭が破壊されたのは確実なこと」と話した。

 鈴木氏の怒りはおさまらず「井上議員は、記事で『大根1本で1週間暮らしたことがある』と答えている。そのことと、統一教会によって家庭が破壊された問題はまったく関係ないのに、なぜそこでそういうマウントをとるのか。そこがまずおかしい」と批判した。

 井上議員は、安倍氏が山上被告に銃撃され死亡した直後の参議院選挙で当選。旧統一教会からの支援があったことが判明し、問題視されていた。

 また鈴木氏によると、昨年の教団幹部会議で、井上議員について「今でも私たち(教団)に対して感謝をしている」、「井上先生はちゃんと私たちとつながっている」という話が出たという。

 鈴木氏は「教団とつながっているような議員が、教団の被害者でもある被告に対してそういう発言をする。逆にこっちが甘ったれるなと井上議員に言いたい」と述べた。

 元稿:東スポ WEB 主要ニュース 社会 【事件・安倍元首相銃撃事件・旧統一教会を巡る問題】 2023年01月22日  11:21:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【関連記事まとめ】:安倍晋三元首相67歳で死去 奈良で街頭演説中に背後から銃撃

2023-01-23 07:08:10 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【関連記事まとめ】:安倍晋三元首相67歳で死去 奈良で街頭演説中に背後から銃撃

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【関連記事まとめ】:安倍晋三元首相67歳で死去 奈良で街頭演説中に背後から銃撃

 自民党の安倍晋三元首相が8日、奈良県橿原市の病院で死去した。67歳だった。安倍氏は同日午前11時半ごろ、参院選の街頭演説を行っていた奈良市の近鉄大和西大寺駅前で街頭演説中、元海上自衛隊員の職業不詳山上徹也容疑者(41)に背後から撃たれた。

安倍晋三元首相(2022年7月6日撮影)
安倍晋三元首相(2022年7月6日撮影)

■安倍晋三元首相死去 67歳、凶弾に倒れ失血死「特定の団体に恨み、つながっていると」容疑者逮捕>>

■【悼む】健康戻った最近は首相時代とは異なる執念感じた 自民党内も変わる>>

■銃声は2発、白煙上がる 容疑者すぐに身柄確保/現場ルポ>>

■首相通算在職日数で歴代最長/年表>>

◆銃撃事件関連記事

■山上徹也容疑者「特定の団体に恨み」 自宅から「爆発する可能性があるものが見つかった」>>

■山上徹也容疑者「私がしたことに間違いありません」手製の銃のようなものを数丁押収>>

■山上徹也容疑者 海自時代は呉基地勤務 20年秋ごろから製造業勤務>>

■自民公認松山三四六氏に脅迫電話「次はおまえだ。ライフルを持っている」銃撃から30分後>>

■搬送時「心肺停止状態」首に2つ銃創、心臓到達する深さ 奈良県立医科大会見>>

■銃撃凶器は自作ショットガンか 弾薬の作製・入手法が問題と識者>>

■凶器は「鉄パイプで自作したショットガン」か SNSに多くの情報集まる>>

■舛添要一氏「銃対応警護のシフトにはなっていない」自身体験踏まえ説明>>

■当初は長野入りの予定だった 7日に日程変更、この日朝の飛行機で関西へ>>

■首から胸にかけて流血 司会者が震える声で「誰か救急車を呼んで!」>>

■現場警護は「背後に車を止め、人が入らないように」自民党奈良県連>>

■銃撃の山上容疑者「安倍元首相に不満があり、殺そうと思って狙った」と供述>>

■ドクターヘリで救急搬送 拳銃で2発銃撃の41歳容疑者は元海上自衛隊員>>

■奈良以外の立候補者の事務所に安倍氏の遊説予定をたずねる不審な電話>>

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【事件・奈良市の近鉄大和西大寺駅周辺で、参院選の街頭演説中だった安倍晋三元首相(67)が銃撃された事案】  2022年07月08日  23:55:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【話題】:国商 最後のフィクサー葛西敬之 著:森 功

2023-01-23 07:05:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【話題】:国商 最後のフィクサー葛西敬之 著:森 功

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【話題】:国商 最後のフィクサー葛西敬之 著:森 功

国商 最後のフィクサー葛西敬之

 ■内容紹介

  安倍晋三射殺で「パンドラの箱」が開き、
  一気に噴出した日本政財界の闇――
  その中心にいたのは、この男だった。
  JR東海に君臨し続けた
  「アンタッチャブルの男」にはじめて迫る。

  「本書が解き明かすのは、鉄道をナショナリズムの道具とするため
  権謀術数を駆使した一人の経営者の半生だ。
  結果としてそれが日本の鉄道にどれほど負の遺産ももたらしたか。
  重い問いが読後にずっしりと残った」
  ーー原武史(政治学者・放送大学教授)

  「国鉄改革を足掛かりに政官財界に人脈を張り巡らせ、官邸やNHKをも操る。
  自らの繁栄こそ国益だと信じた男と、その権勢を後ろ盾とした長期政権。
  この十年の権力の核心に迫る圧倒的ノンフィクション」
  ーー松本創(ノンフィクションライター)
 
  禁断の「革マル取り込み」で
  魑魅魍魎の労働組合を屈服させ、
  30年以上にわたりJR東海に君臨。
  政官界の人事を自在に操り
  安倍晋三最大の後見人となった。
  国を憂い、国を導くその一方で、
  国益をビジネスに結びつける
 「国商」と呼ぶべきフィクサーだった。
  国鉄解体という戦後最大の難事に
  身を捧げた改革の闘士は
 「怪物的黒幕」へといかにして変貌したのか!

 (目次より抜粋)
 ・政策は小料理屋で動く
 ・靖国神社総代と日本会議中央委員という役割
 ・国鉄改革三人組それぞれの闘い
 ・「革マル」松崎明との蜜月時代
 ・覆された新会社のトップ人事
 ・鉄パイプ全身殴打事件
 ・ばら撒かれた「不倫写真」
 ・頼った警察・検察とのパイプ
 ・品川駅開業の舞台裏
 ・名古屋の葛西では満足できない
 ・安倍総理実現を目指した「四季の会」
 ・メディアの左傾化を忌み嫌う理由
 ・傀儡をNHKトップに据えた
 ・「菅さまのNHK」
 ・安倍政権に送り込んだ「官邸官僚」たち
 ・池の平温泉スキー場の「秘密謀議」
 ・杉田官房副長官誕生の裏事情
 ・政治問題化したリニア建設計画
 ・JR東日本とJR東海の覇権争い
 ・安倍と葛西で決めた「3兆円財政投融資」
 ・品川本社に財務省のエースが日参
 ・「最後の夢」リニア計画に垂れ込める暗雲
 ・JR東海の態度に地元住民が激怒
 ・「リニア研究会」という名の利権
 ・安倍晋三への遺言
 ・大間違いだった分割民営化
 ・国士か政商か
 ・覚悟の死

 「権力者には宿命的な不安と恐怖が生まれる。
  夢のためには権力を手放してはならない……」
  (本書「おわりに」より)

  ■著者紹介

   著:森 功(モリ イサオ)

   森 功(もり・いさお) 
   1961年、福岡県生まれ。ノンフィクション作家。岡山大学文学部卒業後、伊  勢新聞社、「週刊新潮」編集部などを経て、2003年に独立。2008年、2009年に2年連続で「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を受賞。2018年には『悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞受賞。『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』『官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪』『ならずもの 井上雅博伝――ヤフーを作った男』『鬼才 伝説の編集人 齋藤十一』など著書多数。

発売日 2022年12月14日
価格 定価:1,980円(本体1,800円)

 元稿:講談社 BOOK倶楽部 主要出版物 【書籍シリーズ・雑誌と既刊紹介】 2023年01月23日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【週末オススメ本ミシュラン 】:「国商」「最後のフィクサー葛西敬之」森功著/講談社

2023-01-23 07:05:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【週末オススメ本ミシュラン 】:「国商」「最後のフィクサー葛西敬之」森功著/講談社

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【週末オススメ本ミシュラン 】:「国商」「最後のフィクサー葛西敬之」森功著/講談社

 「最後のフィクサー葛西敬之」が副題のこの本を読むと、ボンボン的ひ弱さを持った安倍晋三の強固な突っかい棒がJR東海「総帥」の葛西だったんだなということがよくわかる。

 ゴリゴリの右派で中国嫌いの葛西の実像は意外に知られていない。丹念な取材によって著者はそれを明らかにした。

国商最後のフィクサー葛西敬之[森功]

 「ZAITEN(財界展望)」の2017年4月号が「JR東海『葛西敬之』の研究」という特集を組んだが、それによれば、同年2月10日にホワイトハウスで行われた日米首脳会談のニュースを見て、葛西はほくそ笑んだという。

 「安倍さんは気難しいトランプを相手に上手にうちの高速鉄道プロジェクトを売り込んでくれた」

 経済産業省の官僚だった時代から葛西が“使える部下”と思ってきた首相秘書官(当時)の今井尚哉に指南してきた成果が表れたと葛西は満足だったのである。

 「自分の目が黒いうちの開業」に固執したリニア中央新幹線もそうで、後継者の山田佳臣が記者会見で思わず「絶対にペイしない」と漏らしたほど無謀な計画なのに、安倍政権はその採算性を精査しないまま財政投融資の活用を決定し、2016年11月に5000億円が「固定金利0.6%、30年返済据え置き」というタダ同然の条件で実行された。さすがにこれには、経団連幹部から「葛西氏と安倍政権の癒着ぶりは度が過ぎている」と批判の声があがったとか。

 なぜ、葛西が政商を上回る“国商”という存在になっていったか。葛西がその名を知られるようになったのは、国鉄の民営化ならぬ「会社化」を目指す“改革”3人組の1人としてだった。

 表向きは“改革”だが、裏の目的は、それを進めた元首相の中曽根康弘が告白したように、社会党の支持母体だった国鉄労働組合、いわゆる国労潰しだった。

 そのために葛西は、禁じ手ともいうべき動力車労組(動労)を率いていた松崎明と手を組む。松崎は左翼過激派の革マルの副議長だった男である。しかし、民営化後は松崎と対立して、しつこく脅されることになる。

 目的のためには手段を選ばずの葛西の自業自得とも言える経過だった。

 安倍の後見人としての葛西は菅義偉とも親しくなり、菅と共にNHKを支配するようになった。「皆さまのNHKならぬ菅さまのNHK」を実現して国民をマインドコントロールするのに尽力したのは葛西だった。“葛西人事”といわれるその口出しは現在の岸田(文雄)政権にも及んでいる。最大の黒幕の正体がこの本であらわになった。 

  ★★★(選者・佐高信)

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 教養 【BOOKS】  2023年01月22日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【考察】:葛西敬之 国鉄を改革した男はいかにして「国商」になったか

2023-01-23 07:05:30 | 【経済・産業・企業・IT・ベンチャー・起業・インバウンド(訪日外国人客)事業】

【考察】:葛西敬之 国鉄を改革した男はいかにして「国商」になったか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考察】:葛西敬之 国鉄を改革した男はいかにして「国商」になったか

 JR東海元名誉会長 息のかかった官僚を次々と官邸に送り込み政権を裏から支配し、 安倍晋三の後見人とも呼ばれた財界の大物――

 〈今年5月、一人の男がこの世を去った。「最後のフィクサー」と呼ばれた、東海旅客鉄道(JR東海)元名誉会長の葛西敬之である。彼の足跡、政治家との交わりなど、そのすべてを描いた渾身のノンフィクション『国商 最後のフィクサー葛西敬之』が12月14日に刊行された。同書の著者である、ノンフィクション作家・森功氏がレポートする〉

’14年、ケネディ元駐日米大使(左端)とともにリニアに試乗した安倍元首相。リニア開通は葛西(右端)にとって見果てぬ夢だった

 この十数年、日本を動かしてきた人物は? 仮にそんなアンケート調査をすれば、憲政史上最長の政権を築いた元首相の安倍晋三が1位ではないだろうか。’06年9月26日からきっちり1年で終わった第1次政権から’12年12月26日、首相に返り咲いた。1次政権と’20年9月16日までの第2次政権を足し合わせると、首相在位は8年半におよぶ。おまけに安倍は事実上、女房役だった官房長官の菅義偉を後継指名した。安倍・菅のコンビで10年近く政権に居座り続けたことになる。

 安倍と菅は自民党内の勢力を押さえ込み、霞が関の高級官僚たちを人事で震え上がらせてきた。過去の首相たちも自らの権力強化に力を注いできたが、安倍ほどの力を持てなかった。巷間(こうかん)言われてきた通り、その歪な官邸一強支配が長期政権の礎になってきたのは間違いない。

 なぜ、安倍はこれほど長く強大な権力を維持できたのか。しかし実のところ、本当の理由は解明されていない。

 その答えが、東海旅客鉄道(JR東海)元名誉会長の葛西敬之(よしゆき)の存在である。安倍晋三の財界応援団「四季の会」を主宰し、政権の後ろ盾になってきた。永田町や霞が関では知らない者がないほどの大物経営者である。

 もっともJR東海の葛西といっても、一般には馴染みが薄いかもしれない。それは、政治家と異なり、マスコミの露出が少なかったからだろう。文字通り、葛西は安倍・菅政権における黒幕にほかならない。

 かつて日本にはときの政権と通じ、政策に乗ってビジネスを展開してきた黒幕が数多く存在してきた。日頃はほとんど表舞台に立たない。が、時折その姿を現し、話題を呼ぶ。田中角栄の盟友と称された「国際興業」社主の小佐野賢治や中曽根康弘のブレーンだった「伊藤忠商事」元会長の瀬島龍三たちの顔が思い浮かぶ。彼らは政権のフィクサーとして、国の政策に大きくかかわり、時代を彩った。葛西もまた歴史に残るそんな黒幕の一人であり、もはやこの先現れない最後のフィクサーだといえるかもしれない。

 ◆「安倍さんを励まし続けた」

 葛西敬之は紛れもなくこの十数年来、日本を動かしてきた。安倍・菅政権の裏側にいて、数多くの政策にかかわり、それが国策となったと言って差し支えあるまい。

 国鉄官僚時代は「国鉄改革三人組」の一人として、’87年4月の国鉄分割民営化を成し遂げ、その後、JR東海の社長や会長を歴任してきた。葛西は中国嫌いの反共、保守・右翼思想の論客として知られる。靖国神社の「崇敬者総代」や「日本会議」の中央委員を務めてきた。安倍はそんな葛西の保守思想を仰ぎ見て頼り、葛西もそれに応えた。

 「葛西さんは第1次安倍政権をつくろうと四季の会のメンバーを動かし、安倍さんは総理になりました。ところが、持病の潰瘍性大腸炎が悪化し、政権を投げ出してしまった。葛西さんはそこから安倍さんを励まし続けた。『ステロイドを服用しているので辛い』と安倍さんが四季の会に出てきてこぼしていたのを思い出します」

 そう語る四季の会のメンバーもいる。安倍はアサコールという特効薬のおかげで病状が回復し、葛西とともに政権カムバックに向けて走り出す。それもまた、葛西の支えがあればこそだった。

 そうして’12年12月、再び首相となった安倍は、第1次政権の轍を踏まないよう肝に銘じた。第2次安倍政権で目指したのが、徹底した官邸機能の強化とマスコミ対策である。安倍は信頼できる官僚たちを首相官邸に呼び寄せ、政策立案を託した。「総理の分身」となり、アベノミクスを取り仕切った政務秘書官の今井尚哉をはじめ、「官邸の守護神」と異名をとって官房副長官と内閣人事局長を兼務した元警察官僚の杉田和博、さらに杉田の後輩の北村滋は内閣情報官や国家安全保障局長に就いた。彼らは「官邸官僚」と政官界で恐れられる。

 実はそんな官邸官僚たちは、葛西が大事にしてきたブレーンでもあった。つまり葛西は安倍のみならず官邸官僚たちも従え、おかげで安倍は一強の名をほしいままにし、安定政権を築けたのである。
葛西敬之は国を舞台にビジネスを展開した。ときの首相に国策を指南する「国商」といえる。

 奇しくも今年、日本を動かしてきた葛西と安倍の二人が相次いで命を落とした。そこから岸田文雄政権の迷走が始まった。

(文中敬称略)

’92年、副社長時代の葛西。左は竹下登元首相。社長、会長と権力の階段を登るごとに政権への影響力も強めていった
 
12月14日刊行の本書では、名経営者とされてきた葛西のフィクサーとしての実像が初めて明かされる
 
 『FRIDAY』2022年12月23日号より
  • 取材・文:森 功 ノンフィクション作家

 元稿:講談社 主要出版物  週刊FRIDAY DIGITAL 【社会・事件】 2022年12月15日 07:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【検証⑤】:「今のNHKは税金を使って国益に適わない放送をしている」‟安倍政権のフィクサー“JR東海・葛西敬之が剛腕を振るった「NHK改革」における‟大誤算”

2023-01-23 07:04:50 | 【経済・産業・企業・IT・ベンチャー・起業・インバウンド(訪日外国人客)事業】

【検証⑤】:「今のNHKは税金を使って国益に適わない放送をしている」‟安倍政権のフィクサー“JR東海・葛西敬之が剛腕を振るった「NHK改革」における‟大誤算”

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証⑤】:「今のNHKは税金を使って国益に適わない放送をしている」‟安倍政権のフィクサー“JR東海・葛西敬之が剛腕を振るった「NHK改革」における‟大誤算”

 発売即話題騒然の問題作『国商 最後のフィクサー葛西敬之』(森功著)の見せ場の一つが、安倍政権のフィクサー葛西敬之がNHKを支配しようとした一部始終だ。天皇として君臨していたとはいえ、あくまで一企業であるJR東海のトップだった葛西氏が、なぜ国民全員の持ち物ともいえる公共放送NHKを支配できたのか。その裏側を明かす。         『国商 最後のフィクサー葛西敬之』連載第3回後編

 ■前編記事【「安倍政権最大の後見人」が‟メディアの左傾化“をここまで忌み嫌った「根深い理由」…JR東海・葛西敬之はこうしてNHKを支配した】

 10年11月、アサヒビール元会長の福地茂雄のあとを受ける新たなNHK会長選びが始まった。次期会長候補として有力だったのは、葛西の腹心であるJR東海副会長・松本正之と元慶應義塾塾長の安西祐一郎の二人だった。前編に引き続き、NHKの会長選びにおける葛西の動きをお伝えする。

 ◆傀儡をトップに据えた鶴の一声

 NHKの会長候補になるためには、まず経営委員会のメンバーによる推薦が必要となる。その上で、経営委員による候補者投票がおこなわれ、12人のメンバーのうち9人が賛成すれば、次期会長に選任される。

 安西と松本のどちらを選ぶか――。当初、会長選びは安西でほぼ決まりかけていたという。だが、それが葛西の一声でひっくり返るのである。

 NHKの会長として下馬評にのぼった二人のうち、安西については古森の後任の経営委員長になった福山通運社長の小丸成洋(しげひろ)が、「信頼できる人物だ」と太鼓判を押していた。原則として委員長の票も他のメンバーと同様一票に過ぎない。

 ◆まさかのスキャンダル

 しかし、やはり委員長の推薦には重みがある。なにより良心ある経営委員には、葛西・松本というJR東海ラインに対する警戒感があった。いきおい安西が会長候補の最右翼となったという。ところが、その安西に経費や待遇問題が持ち上がったのである。NHK経営委員だったある法人の役員が、2011(平成23)年当時の経営委員会の出来事を思い出し、こう語った。

 「あのときはずいぶん経営委員会が揉めましてね。安西さんのスキャンダルがスポーツ紙にすっぱ抜かれ、会長就任を辞退する羽目になりました。経営委員会では早急に次の会長候補を推薦しなければならない。代わる会長は誰が適任か、となったところ、古手の経営委員だった北原(健児・元読売新聞政治部記者)さんがおもむろに携帯電話を取り出し、電話をかけ始めたのです。電話の相手が葛西さんでした」

 2010年12月、NHKの次期会長候補として浮上した安西の言動がスポーツ紙に漏れ、次期会長レースが大荒れになった。

「東京の会長社宅を用意できるか」
「公用車や接待費はどうなっているのか」

 安西は会長に選任される前からNHK職員に執拗に尋ね、NHK局内の顰蹙(ひんしゅく)を買っていたという。当時の経営委員が振り返った。

 「あのときは、『こうなったら、経営委員会として人柄を判断しなければならない』 と委員ほぼ全員集まって安西さんのお話を聞きました」

 ◆葛西と旧知の間柄の記者

 すると、あろうことか安西は慶大のゼミ生に「今度NHKの会長になる」とコンパで自慢げに話していたことまで判明したのである。先の元経営委員はこう言葉を足した。

 「経営委員会では選考中の会長人選案について極秘扱い。なのに、学生に漏らしているなんて、考えられませんでした。こんな軽い人ではNHKの会長は務まらない。しかも、それがスポーツ紙にすっぱ抜かれる始末ですからね。とうぜん女性の経営委員から安西さんの会長就任へ反対意見が相次ぎました」

 揉めた末、経営委員長の小丸が慶大まで行って安西に頭を下げ、安西の会長就任辞退となり、緊急の経営委員会が開かれた。そこで、安西に代わる会長候補は誰が適任か、と議題にのぼり、その場で、経営委員の一人である元読売新聞政治部記者の北原健児が改めて松本を推薦したのである。

 北原は葛西と旧知の間柄で、もとより葛西と打ち合わせ済みだったのだろう。経営委員会の席上、携帯電話を取り出して葛西に電話をかけ、松本のNHK会長就任について了解を取り付けた。

 「電話はアリバイ作りのセレモニーのような感じだった」

 当時の経営委員はそう話した。

 ◆葛西の目論見通り

 葛西は元来、国策としての公共放送のあり方に独自の見解を展開してきた。当人が表だってNHKに介入したのがこのときだ。会長人事を巡るこのときの迷走は、3月8日付の経営委員会議事録にも、〈新会長任命に至るまでの過程についての検証と総括〉と題されて次のように総括されている。

 〈経営委員会は、平成23年1月15日、指名委員会の審議を経て松本正之新会長任命を議決しました。しかし、ここに至るまでの過程に対する多くの厳しいご批判を真摯に受け止め、監査委員会からの「新会長任命に至るまでの過程についての調査報告書」(以下、監査委員会調査という)も踏まえて、経営委員会として検証を行うとともに今後の改善に向け総括を行いました。

 何よりもまず、安西祐一郎慶応義塾大学前塾長に対しましては、いったん会長就任を要請しながら今度は辞退を促すかのような受け止めをされても致しかたない事態となり、結果としてご名誉を大きく傷つけ、大変なご迷惑をおかけしました。心から深くお詫び申し上げます。また、国民、視聴者の皆様に対しましてもご迷惑、ご心配をおかけし、深くお詫び申し上げます〉

 福山通運社長の小丸成洋は11年1月まで経営委員長を務めた。このときNHK会長になったのがJR東海副会長の松本である。もとより松本のNHK会長就任は、かねてよりの葛西の要望でもあった。

 経営委員会が混乱を極めるなか、葛西裁定により決着がついたのである。葛西の目論見通り、JR東海の松本がNHK会長に決まり、とうぜんのごとく局内で松本は葛西の傀儡会長と目された。またJFE社長の數土は、松本会長時代の2011年4月、NHKの経営委員長に就任し、12年5月までその任に就いた。

 ◆腹心の思わぬ反抗

 松本は国鉄時代から葛西を支えてきた。尖鋭的な労働組合に対する労使交渉などで手腕を発揮してきた葛西の腹心中の腹心だ。すでに自民党から民主党内閣に移っていたが、松本をNHKに送り込むにあたっては、民主党政権下にあってなお、保守タカ派の財界人の思惑が働いたといえる。

 NHK局内では、葛西の肝いりで乗り込んできた松本の会長就任を警戒した。だが、結果的に葛西の目算が狂ったというほかない。松本はかつての上司である葛西の思いどおりには動かなかった。その一例がNHKの副会長人事だった。

 「諸星衛(まもる)さんを副会長にどうか」

 複数のNHK関係者によれば、葛西はNHK会長に就任した早々の松本にそう打診したという。諸星はNHKの天皇と呼ばれ、自民党との太いパイプを誇る海老沢の最側近の元理事として知られる。政界遊泳術にも定評があった。

 早稲田大学政治経済学部からNHK入りした茨城県出身の諸星は、出身県、大学の学部、最初の赴任地、いずれも海老沢と同じだ。おまけにNHKでは、海老沢のあとを追うように政治部長や理事を歴任している。エビジョンイルと呼ばれた海老沢に対し、諸星は「小エビ」と局内で揶揄された。海老沢の後継会長確実といわれながら05年、ボスの海老沢失脚とともに同じ憂き目に遭う。関連会社のNHKインターナショナルに更迭された。

 NHKインターナショナル理事長はアガリポストだ。当人にとっては、葛西の送り込んだ松本会長体制が復権のチャンスに映ったのであろう。政界における諸星のパイプは、政治部時代に番記者を務めてきた中曽根康弘ルートだとされる。実際、副会長としてカムバックすべく猟官運動を繰り返したようだ。NHKの中枢幹部が明かす。

 「諸星さんはアサヒビールの福地会長のときも中曽根元首相に頼んで副会長の椅子を狙ったといわれています。福地さんがそれを断ったのでダメでしたが、次に諸星さんの頼った相手が杉田和博さんでした。杉田さんは中曽根内閣の後藤田官房長官秘書官で、諸星さんとはそのころからの付き合いだったのでしょう」

 ◆「今のNHKはけしからん」

 折しも松本が会長に就いた11年といえば、自民党が政権を奪回する前年にあたる。葛西の応援する安倍が総裁選に名乗りを上げるために準備していた時期にも重なる。好機と見た諸星が葛西・杉田ラインを使って副会長として復権しようと狙っていたのは、そうした人脈の上に成り立ってきた行動なのだろう。

 しかし、その諸星副会長人事について、松本は元上司である葛西の申し出を断った。副会長をはじめとしたNHKの理事、役員選びは会長の専権事項である。11年1月25日に正式に会長に就任した松本は、そこから2週間かけ、候補者を中心に個人面接を繰り返した。

 むろんNHKインターナショナル理事長の諸星も面接の対象となる。が、松本は諸星の猟官運動を快く思わなかったようだ。松本は副会長にNHKエンタープライズの小野直路(なおじ)を選んだ。小野は1960年からNHK総合テレビで放送されてきた教養番組「自然のアルバム」を担当し、制作畑で政治色のない無色透明な人物だった。むしろそこが気に入ったのかもしれない。松本の副会長選びは、公共放送のトップとしての覚悟を決めた結果であり、葛西の言いなりにならなかった、とNHK内部で松本本人の株があがった。

 葛西にとってこの副会長選びは腹立たしい出来事だったに違いない。葛西は警察庁の国家公安委員や財務省の財政制度等審議会など、いくつもの政府委員を兼任してきた。NHKの松本会長体制の終盤、葛西はある政府審議会の会合が終わると、隣に座っていた委員の一人にぶちまけた。

 「今のNHKはけしからん。税金を使って国益に適わない放送を垂れ流している」

 それを聞いて隣席の政府委員は思わず葛西をたしなめた。

 「いや松本会長はよくやってらっしゃいますよ。それにNHKは税金で賄われる国営放送ではなく、受信料で運営されている公共放送ですから」

 葛西は財界や政府の関係機関の会合で松本批判を繰り返し、それが松本の耳にも届いた。国鉄改革から剛腕を振るってきた葛西につかえてきた松本は、その強引なやり方も熟知している。NHK人事に関する葛西からの直接の指令を嫌がり、やがて葛西からかかってくる電話にも出なくなったという。

 発売即話題騒然の問題作

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【検証④】:安倍政権が政界を牛耳る「最後のフィクサー」の“野望”に3兆円を注ぎ込むまでの「全内幕」

2023-01-23 07:04:40 | 【経済・産業・企業・IT・ベンチャー・起業・インバウンド(訪日外国人客)事業】

【検証④】:安倍政権が政界を牛耳る「最後のフィクサー」の“野望”に3兆円を注ぎ込むまでの「全内幕」

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証④】:安倍政権が政界を牛耳る「最後のフィクサー」の“野望”に3兆円を注ぎ込むまでの「全内幕」

 安倍・菅政権の「フィクサー」として政界を牛耳っていたJR東海名誉会長の葛西敬之。ついにはリニア中央新幹線のために、財政投融資3兆円が注ぎ込まれることになる。融資なので返済するとはいえ、市場金利より安く抑えられていることを思えば、金利分の国家のカネがJR東海につぎ込まれた、と見ることもできる。
ジャーナリスト森功氏の新刊『国商 最後のフィクサー葛西敬之』では、安倍と葛西によって「3兆円財投」が決まるまでの政権内部の動きが、生々しく明かされている。

             『国商 最後のフィクサー葛西敬之』連載第2回後編

 ■前編に引き続き、第二次安倍政権時代のある官邸関係者の証言をみていく。

 ◆官邸の介入

 情勢が変わったのは、やはり官邸が介入してからだ、とこう続けた。

 「ある日、安倍首相自身が、『経済政策の大きな目玉としてリニアの大阪延伸を早めてほしい』と自民党の稲田(朋美)政調会長を訪ね、依頼したのです。安倍首相が葛西さんに直接伝えればいいようにも感じましたが、その前の根回しのつもりなのかもしれないし、あるいはまず葛西さんの意向を確かめたかったのかもしれません。それで、稲田さんが早期大阪延伸案を葛西さんに投げた。といっても稲田さんには葛西さんとのパイプがなく、経産官僚があいだをつないだと聞いています。葛西さんは宇宙開発に関心があり、宇宙政策委員会という内閣府の審議会にも参加していて、窓口になってきた片瀬(裕文元経産審議官)という親しい経産官僚がいるんです」

 ◆3兆円を捻り出す「3つのやり方」

 ここから官邸や自民党は、大阪までの工事を一挙に進めるために3兆円が必要になる、と試算した。むろん財務省としては想定外の“予算”であり、決して乗り気ではなかった。実のところ、当初財務省で3兆円を捻り出す方法は、財投の活用だけではなく、3通り検討されたという。

 一つは「整備新幹線並みの公共事業予算に組み入れる方法」、もう一つが「税制上の特別な措置」、そして「財投」だ。本来、鉄道の建設事業認可は国交省所管のはずだが、3兆円の捻出方法を説明するため、財務省の官房長だった岡本が葛西のいる品川のJR東海東京本社を何度も訪ねた。

 「リニア計画を予算化するには、国会で審議しなければなりません」
 「税制の優遇措置をするにも、税法の改正案を国会へ提出しなければなりません」

 岡本は葛西にそう説明した。財投以外の2案はどちらも国会審議を経なければならないため、注目を浴びて批判の矛先がJR東海に向かいかねない。残るは財投しかない。官邸関係者は財投決定までの内幕を明かした。

 「そこにも課題はあります。かつての財投は使い道がないので無理やり貸し付けてきましたが、今はなぜ必要かという説明責任が政府にあります。本来は、現状のまま名古屋までの開通を先行させてJR東海にやってもらったほうがいい。でも、この問題については官邸がらみで稲田政調会長まで介入してきている。国交省は何も口を出さない。それで、気心の知れている財務省の岡本さんが葛西さんのところへ説明に通ったのです。葛西さんに選択肢を与え、向こうに決めてもらうという形になった。その答えは財務省経由ではなく、稲田政調会長を通して安倍総理に直接返ってきたと聞いています」

 ◆「稲田政調会長が一所懸命やってくださった」

 そうして葛西は財投しか方法がないと決めたのだという。その真意は、安倍政権の経済政策をバックアップするためだったのだろうか。あるいは首相のメンツを重んじた結果だろうか。

 財投の投入に関しては、国鉄改革の取材の流れで、初代JR東海社長の須田寛にも尋ねたことがある。須田は苦笑いしながら、現在の3兆円の財投投入について評価した。

 「無利子ではありませんが、昔の8%と比べたら平均0・8%なんてないようなものです。JRはコロナで大減収になっていますけど、財投を活用した借入金を使用して工事を進めることができるので、工事を止めずに済んだ。そういう意味でも非常に意味があったのです。稲田政調会長が一所懸命やってくださったというのは聞きました」

 もっとも、葛西が財投を受け入れた背景は資金繰りの事情だけではない。財投を使った3兆円の融資を申請した16年の春、葛西は病魔に襲われた。命を奪った間質性肺炎である。あまり知られていないが、難病指定されているこの病気は、実は国鉄の動労委員長だった仇敵の松崎明からも命を奪っている。

 そんな恐ろしい病気にかかって余命5年を宣告された時期が、まさに財投申請の半年ほど前の出来事なのである。自らの余命を知らされた葛西は、焦り始めていたのではないだろうか。

 一方、リニア中央新幹線の終点となる大阪では、日本維新の会が2025年の大阪・関西万博とカジノIRの同時オープンをぶち上げてきた。結果的にカジノ計画はうしろにずれ込んだが、安倍は政権発足以来ずっと維新の会の政策を後押ししてきた。リニア計画の前倒しとともに大阪の政策は、行き詰まりを見せ始めたアベノミクスの起爆剤とも位置付けられた。

 財投受け入れは、支援してきた首相を助ける有効な一手――。限られた命を告げられた葛西敬之には、そう映ったのではないだろうか。

 ■森功著『国商 最後のフィクサー葛西敬之』講談社より12月14日発売!

 

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【検証③】:政界を牛耳る「最後のフィクサー」JR東海・葛西敬之が安倍晋三と密談して国から「3兆円」を引っ張るまでの一部始終

2023-01-23 07:04:30 | 【経済・産業・企業・IT・ベンチャー・起業・インバウンド(訪日外国人客)事業】

【検証③】:政界を牛耳る「最後のフィクサー」JR東海・葛西敬之が安倍晋三と密談して国から「3兆円」を引っ張るまでの一部始終

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証③】:政界を牛耳る「最後のフィクサー」JR東海・葛西敬之が安倍晋三と密談して国から「3兆円」を引っ張るまでの一部始終

 安倍・菅政権の「フィクサー」として政界を牛耳っていたJR東海名誉会長の葛西敬之。ついにはリニア中央新幹線のために、財政投融資3兆円が注ぎ込まれることになる。融資なので返済するとはいえ、市場金利より安く抑えられていることを思えば、金利分の国家のカネがJR東海につぎ込まれた、と見ることもできる。
ジャーナリスト森功氏の新刊『国商 最後のフィクサー葛西敬之』では、安倍と葛西によって「3兆円財投」が決まるまでの政権内部の動きが、生々しく明かされている。

             『国商 最後のフィクサー葛西敬之』連載第2回前編

 ◆ブレーンは財務省の事務次官ライン

 葛西は数多くの政府審議会の委員となり、霞が関の高級官僚たちと政策勉強会を兼ねた懇親会を開いてきた。なかでも葛西の大事にしてきた省庁が財務省であり、財務官僚には葛西を取り巻くブレーンが少なくない。ざっとあげれば、元国税庁長官の牧野治郎にはじまり、勝(かつ)栄二郎や香川俊介、岡本薫明(しげあき)といった事務次官ラインが葛西と懇親を深めてきた。

 1980(昭和55)年6月から82年6月まで2年間、防衛庁に出向して経理局会計課に勤めた牧野は思想的に葛西と近く、主計局総務課時代に公共事業担当として旧国鉄の窓口となる。その後、牧野は97年7月に主計局総務課長に就任し、24兆円にのぼる旧国鉄の債務処理を担った。

 JR東日本社長の松田昌士やJR西日本社長の井手正敬は、政府の主張したJRの債務負担法案に反対した。彼らは、株式を上場している民間企業が旧国鉄時代の債務を背負うのは株主に対して理屈が立たない、と主張した。

 ◆葛西の歯に衣着せぬ過激な発言

 ちなみにJR本州3社の株式上場は、JR東日本が93年10月、JR西日本が96年10 月、JR東海が97年10月という順番だ。その3社のなかで最後に上場したJR東海の葛西だけが、政府案に賛成した。JRによる債務負担は、国の財政をあずかる財務省にとっても好都合だ。結果、JR側の負担は政府案の半額にあたる1800億円で決着した。

 また75年大蔵省入省の勝は小泉純一郎政権時代、2年先輩の牧野に葛西を紹介され、国鉄改革を進めた自民党代議士の野呂田芳成(ほうせい)とも知り合いだったことから葛西と親しくなっていく。

 勝は民主党の菅直人内閣や野田佳彦内閣で財務事務次官となり、後輩次官となる香川を葛西に引き合わせ、さらに岡本へと省内の葛西人脈が引き継がれていった。

 勝は民主党政権で活動を止めていた「財政制度等審議会」(財政審)復活の声が高まったことを受け、事務次官退官の置き土産として復活後の財政審入りを葛西に働きかけた。

 財政審は政府予算や決算をはじめとする国の財政全般の審議をする財務大臣の諮問機関だ。勝から香川、岡本と葛西人脈が引き継がれていった財務省では、岡本が第二次安倍政権で財政審担当の主計局次長となる。

 葛西はその財政審で歯に衣着せぬ過激な発言をして政府に対する影響力を増していった。岡本は葛西が催した朝食会や夜の会合に呼ばれ、付き合いを深めていった。

 リニア新幹線に対する財投投入は、その岡本が官房長のときに決まる。むろんそれは関西出身の国会議員に迫られたからではない。第二次安倍政権時代のある官邸関係者が打ち明けてくれた。

 「早くから関西の自民党議員たちが、『リニアは大阪まで一気通貫で早く造るべきだ』と言い出してきたのはたしかです。しかしそれは前々からあった話でした。JR東海の副社長だった金子慎(しん)さんが自民党の集まりに呼ばれ、『財投は受け入れられません』と弁明していた記憶があります。大阪の早期開業についてJR東海は自民党議員に押し切られたわけではなく、むしろその逆。のらりくらりとかわしていました」

 ■記事後編【安倍政権が「最後のフィクサー」の“野望”に3兆円を注ぎ込むまでの「全内幕」】に続きます。

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【検証②】:「安倍政権最大の後見人」JR東海・葛西敬之が安倍晋三よりも昵懇だった“意外な政治家の名前”

2023-01-23 07:04:20 | 【経済・産業・企業・IT・ベンチャー・起業・インバウンド(訪日外国人客)事業】

【検証②】:「安倍政権最大の後見人」JR東海・葛西敬之が安倍晋三よりも昵懇だった“意外な政治家の名前”

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証②】:「安倍政権最大の後見人」JR東海・葛西敬之が安倍晋三よりも昵懇だった“意外な政治家の名前”

 2022年は、この10年のあいだ日本を動かしてきた「二人の大物」が続けざまに死んだ年として、後世語られるかもしれない。一人は安倍晋三。もう一人が、安倍のブレインにして安倍政権の「フィクサー」と呼ばれた、JR東海名誉会長の葛西敬之だ。

 講談社から12月14日に発売される本格ノンフィクション、

『国商 最後のフィクサー葛西敬之』では、硬派のジャーナリスト森功氏が、そんな葛西の知られざる素顔に迫る。JR東海は日本を代表する広告主のため、葛西については新聞テレビはもちろん、文春砲を筆頭とする週刊誌メディアもこれまで触れることができなかった。タブーの扉が、いま開く。   
                                                 『国商 最後のフィクサー葛西敬之』連載第1回後編

 ◆政界の黒幕と呼ばれてきた大物財界人

 現首相の岸田文雄は葛西の訃報が流れた明くる5月28日、山梨県都留(つる)市にあるリニアの実験線を視察した。もとよりあらかじめスケジュールに入っていたのだろう。岸田は記者団を前に、未着工区間である名古屋~大阪間の環境影響評価(アセスメント)を進める、と次のように述べた。

 「(リニア中央新幹線の)全線開業の前倒しを図るため、来年から着手できるよう、沿線自治体と連携しつつ指導、支援していく」

 超電導リニアは、葛西の悲願であった。享年81。日本国有鉄道の民営化を成し遂げた「国鉄改革三人組」の一人と称された。国鉄民営化以降、JR東海を率いた葛西は近年、政界の黒幕と呼ばれてきた大物財界人である。

 ◆安倍のカムバックを強力に後押し

 葛西は2度首相の座に就き、日本の憲政史上最長となった安倍晋三政権における最大の後見人と目されてきた。それゆえ政界とのつながりが深いようにイメージされてきたかもしれない。だが、実のところはそうでもない。

 国鉄の民営化に奔走した頃は、自民党の運輸・鉄道族議員たちを動かした。半面、懇意の政治家はそう多くはない。最も篤(あつ)く結ばれてきた国会議員は、自民党と民主党を渡り歩いた与謝野馨(かおる)だ。与謝野との縁で安倍と知り合い、互いの親米、保守タカ派の思想が共鳴し合い、安倍を首相にしようと支援するようになった。

 葛西は小泉純一郎が安倍に政権を譲る少し前に国家公安委員に選ばれ、教育再生会議のメンバーとしてときの内閣との結びつきを深めていく。自民党が下野したあとの民主党政権時代にも、東日本大震災に見舞われた政府の政策に関与していった。葛西は福島第一原発事故により、経営危機に陥った東京電力の経営・財務調査委員会ならびに原子力損害賠償支援機構運営委員会の委員に就任する。そこでも独特の持論を展開した。

 「社会インフラである電力事業を政府の役人に任せきりではろくなことにならない」

 脱原発や電力自由化の気運が高まるなか、葛西はそこに異を唱え、むしろ原発再稼働の旗を振るようになる。そうして安倍の政権カムバックを強力に後押しし、実際にそれを実現させた。

 ◆閣僚や官僚の人事も葛西の指示だった

 第二次安倍政権の発足にあたり、安倍の側近として旧知の官邸官僚を送り込んだ。その一人が警察庁出身の杉田和博であり、経産省出身の今井尚哉(たかや)だった。警察庁でもっぱら警備・公安畑を歩んできた杉田は、国鉄改革時代から極左の労働組合運動と対峙してきた葛西にとって頼りになる友人といえた。

 また、今井は第一次安倍政権時代に事務担当の首相秘書官を務め、政権の奪還に汗をかいてきた。葛西が信を置く経産官僚の一人でもあり、交友を重ねてきた。ときに葛西は安倍から内閣の主要閣僚や官僚人事の相談を受け、アドバイスしてきたといわれる。

 葛西の悲願だった超電導リニアの実現は、安倍政権の経済政策アベノミクスにおける成長戦略の目玉に位置付けられた。リニア事業はここからまさに政治と一体化したビジネスとなる。財投という政府の資金を使うことになったJR東海は工事を急いだ。

 そして葛西と政権との蜜月は、安倍のあとを引き継いで首相に就いた菅義偉にも受け継がれる。岸田政権が誕生したあとも、葛西の影がさまざまな場面でちらついてきた。

 奇しくも岸田が参議院選挙に臨んだ投票日2日前の7月8日、安倍は奈良県近鉄大和(やまと)西大寺(さいだいじ)駅前で応援演説をしている最中に凶弾に見舞われ、命を落とした。葛西の死からわずかひと月半後の出来事である。この10年のあいだ、葛西と安倍の二人は日本の中心にいて、 この国を動かしてきた。それは疑いようのない事実であろう。

 一国の首相が「憂国の士」と敬愛してやまない葛西は、財界のなかでも類を見ない愛国者に違いない。半面、日本という国を舞台にビジネスを展開し、政府や政策を操ろうとしてきた。政策の表舞台に立たない黒幕だけにその実像はほとんど伝えられなかった。最後のフィクサーと呼ばれる。

 講談社から12月14日に発売される、

 『国商 最後のフィクサー葛西敬之』は、葛西敬之の知られざる素顔に迫るノンフィクションである。

 ■森功著『国商 最後のフィクサー葛西敬之』講談社より12月14日発売!

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【検証①】:安倍晋三を裏で操った「最後のフィクサー」JR東海・葛西敬之の知られざる正体…安倍が「国士」と称えた男が最期に抱えていた“爆弾”

2023-01-23 07:04:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【検証①】:安倍晋三を裏で操った「最後のフィクサー」JR東海・葛西敬之の知られざる正体…安倍が「国士」と称えた男が最期に抱えていた“爆弾”

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【検証①】:安倍晋三を裏で操った「最後のフィクサー」JR東海・葛西敬之の知られざる正体…安倍が「国士」と称えた男が最期に抱えていた“爆弾”

 2022年は、この10年のあいだ日本を動かしてきた「二人の大物」が続けざまに死んだ年として、後世語られるかもしれない。一人は安倍晋三。もう一人が、安倍のブレインにして安倍政権の「フィクサー」と呼ばれた、JR東海名誉会長の葛西敬之だ。

 講談社から12月14日に発売される本格ノンフィクション、

 『国商 最後のフィクサー葛西敬之』では、硬派のジャーナリスト森功氏が、そんな葛西の知られざる素顔に迫る。JR東海は日本を代表する広告主のため、葛西については新聞テレビはもちろん、文春砲を筆頭とする週刊誌メディアもこれまで触れることができなかった。タブーの扉が、いま開く。 
            『国商 最後のフィクサー葛西敬之』連載第1回前編

 ◆安倍が死ぬ1ヵ月半前に世を去った「フィクサー」

 葛西敬之(かさいよしゆき)が死の床についた。5月25日朝に息絶えたという。27日になって東海旅客鉄道(JR東海)が公表し、多くの人が新聞、テレビで訃報に接したが、ごく親しい知人は少し前から病状を知っていたようだ。安倍晋三もまた、その一人かもしれない。真っ先に国会内でこう哀悼の意を発表した。

 「濃密なおつきあいをさせていただき、本当に残念で、さみしい気持ちです。(故人は)ひとことで言えば国士で、常に国家のことを考えている人だった。安倍政権では有識者会議のメンバーとして集団的自衛権の行使を可能とする解釈の変更について、取りまとめをおこなっていただいた。先見性と実行力のある方で、心からご冥福をお祈りしたい」

 ◆死を覚悟していた

 唐突な死のように見える。だが、本人はすでに死を覚悟していたに違いない。実は葛西は6年前に間質性肺炎を発症し、余命宣告を受けていたという。訃報に接したあるJR関係者はこの間の事情について冷静に打ち明けた。

 「葛西さんは主治医から5年の命だと告げられていたと聞きます。余命はご本人も自覚されていました。死の宣告より、1年長く命がもったということでしょう。ご家族にもある程度の心構えがあったのではないでしょうか」

 葛西の命を奪った間質性肺炎は、肺の間質部分に炎症や線維化病変などが起きる疾患の総称である。病気の原因は多岐にわたり、現代医学でも解明できていない。皮膚や筋肉、関節、血管、骨などのたんぱく質に慢性的な炎症が広がる膠原病(こうげんびょう)、あるいは眩しい光を受けて目が痛くなるようなサルコイドーシスと呼ばれる疾患のあとに発症するとされる。

 原因が特定できない患者も数多くいる。原因を特定できない症状は特発性間質性肺炎(IIPs)と呼ばれ、難病指定されている特発性肺線維症(IPF)など7疾患に分類される。IPFと診断された後の平均生存期間は3~5年と報告されている。

 葛西は恐ろしい爆弾を抱えたまま病魔と闘ってきた。6年前にそう診断されたとなれば、間質性肺炎に見舞われたのは2016(平成28)年以前となる。

 奇しくもJR東海はその2016年の11月、リニア中央新幹線の建設費として国交省所管の独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(鉄道・運輸機構)に総額3兆円の財政投融資による長期借り入れを申請している。

 あれほど徹底的に政府の介入を嫌ってきた葛西が、なぜ旧国鉄時代に赤字の元凶と呼ばれた財投を受け入れたのか。ずっと謎だったが、それは当人の病気と無縁ではないように感じる。葛西は財投の受け入れと同時に、それまでの東京~名古屋間の開通を優先する方針から一転、東京~大阪間の全線開通の前倒しを表明した。

 ■記事後編『「安倍政権最大の後見人」JR東海・葛西敬之が安倍晋三よりも懇意にしていた“意外な政治家の名前”』に続きます。

●葛西敬之年表

●『国商 最後のフィクサー』章扉デザインを特別公開!

 

 ●葛西敬之ギャラリー

リニアを視察したレイモンド・フラット米国運輸長官と(2010年)phto by gettyimages
 
インドのシャルマ商工大臣(左)らとの会談の場にて photo by gettimages
葛西の「最後の夢」だったリニア photo by getyyimages
山梨県立リニア見学センター photo by gettyimaes
山梨県立リニア見学センター photo bygettyimages

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【HUNTER2023.01.16】:これが「コロナ治療薬」?冗談でしょう

2023-01-23 05:27:50 | 【感染症(1類~5類)・新型コロナ・エボラ・食中毒・鳥インフル・豚コレラ】

【HUNTER2023.01.16】:これが「コロナ治療薬」?冗談でしょう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER2023.01.16】:これが「コロナ治療薬」?冗談でしょう 

 新型コロナウイルスのワクチンを開発できなかった日本の製薬会社が、ついに治療薬の開発に成功したという。塩野義製薬が北海道大学と共同で開発した「ゾコーバ」である。昨年11月下旬に厚生労働省が治療薬として緊急承認し、医療機関への供給が始まった。

 本来なら、「これで一安心」と祝福したいところだが、この「コロナ治療薬」、どうもおかしい。コロナ患者の治療にあたっている医師たちがほとんど使っていないのだという。理由はハッキリしている。あまり効き目がないからだ。

 厚生労働省や塩野義製薬の発表資料をよく読むと、このコロナ治療薬「ゾコーバ」は1日1回服用すると、鼻水やせき、発熱などの症状が7日間ほどでなくなり、服用しない場合に比べて症状が1日早く治まるのだという。それって、個人差あるいは誤差の範囲内ではないのか。

 おまけに、この薬は「軽症や中程度の症状の患者用」で、重症化するリスクが高い患者には向かないのだとか。これでは、医師が処方したがらないのも当然だろう。12月30日付の朝日新聞によると、この薬の供給が始まってから1カ月ほどで処方されたのは7,700人余り。毎日20万人前後のコロナ患者が確認されていることを考えれば、「ほとんど使われていない」と言っていい。

 そんな薬を厚生労働省は塩野義製薬と事前に「100万人分購入する」と契約し、緊急承認した後、さらに100万人分、合計で200万人分も購入する契約を結んだ。常日頃、厚生労働省の仕事ぶりに首をひねっている筆者としては「また、税金の無駄遣いになるのではないか」と疑いたくもなる。

 新型コロナウイルスの感染症対策が急務なのは言うまでもない。従って、昨年5月に法律を改正して治療薬の「緊急承認制度」を作ったことまでは理解できる。「ゾコーバ」はその緊急承認制度が適用された第1号の治療薬である。

 だが、薬の調達は処方される量に応じて確保する、というのが常道ではないか。どの程度使われるか分からないうちから、「200万人分買います」と約束して税金を投入する必要がどこにあるのか。

 ましてや、塩野義製薬の「ゾコーバ」は日本国内で治療薬として緊急承認されただけで、アメリカなどでは治療薬として承認されていない。「効き目があるかどうか分からない」ような薬を承認しないのは当たり前だろう。

 コロナの感染が広がってから、政府は国産ワクチンの開発を支援するため、2020年度の補正予算に2,577億円、2021年度の補正予算に2,562億円を計上し、合わせて5,139億円の税金を投入した。にもかかわらず、国産のワクチンは開発できず、米英の大手製薬会社のワクチンを使うはめになった。5,000億円余りの補助金はムダ金になったと言うしかない。

 国産のコロナ治療薬の開発にも多額の税金が投じられている。その結果が「症状を1 日短縮するだけの治療薬」の開発である。しかも、それを気前よく購入する契約を結んだ。日本の医療を担う厚労省の幹部たちは、恥ずかしくないのだろうか。

 塩野義製薬のコロナ治療薬の開発経過を調べていて気になるのは、早い段階から政治家がうごめいている気配があることである。自民党の甘利明・元幹事長は去年の2月4日、この治療薬の薬事承認の手続き中に「(塩野義製薬の薬は)日本人対象の治験で副作用は既存薬より極めて少なく、効能は他を圧している。外国承認をアリバイに石橋を叩いても渡らない厚労省を督促中だ」と自身のツイッターに書き込んだ。

 治験の結果もまだ明らかになっていない段階で「効能は他を圧している」と書き込む神経にあきれる。塩野義製薬側から伝えられた情報をうのみにして発信したのだろう。政財官がどのように癒着しているか、問わず語りにその一端を語ってしまった、といったところか。

 ああ、また私たちの貴重な税金が政治家と企業、官僚の談合で消えていく。

(長岡 昇:NPO「ブナの森」代表)

長岡 昇(ながおか のぼる)
 山形県の地域おこしNPO「ブナの森」代表。市民オンブズマン山形県会議会員。朝日新聞記者として30年余り、主にアジアを取材した。論説委員を務めた後、2009年に早期退職して山形に帰郷、民間人校長として働く。2013年から3年間、山形大学プロジェクト教授。1953年生まれ、山形県朝日町在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・医療・新型コロナウイルスの感染拡大】  2023年01月16日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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