【天風録・12.28】:年内入試
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・12.28】:年内入試
「受験」は春の季語である。憧れの大学を目指し、若者はこの時季、年末年始返上で勉学に打ち込むことが当たり前だった。その光景に何やら変化が起きている
▲12月までに合否が分かる「年内入試」の合格者が2023年度に全体の半数を超えた。春どころか、正月前に合格を手に入れ、安心したい若者が増えているのだろうか。初詣で合格祈願の絵馬を掛ける姿を見かけることも、心なしか減った気がする
▲大学側にも早めに入学者を確保したい思いが透ける。出生数は大学定員の約64万人に近い水準まで既に落ち込んでいる。定員割れに危機感を募らせるのは当然で、就職時に批判を集めた「青田買い」が入試でも加速しそう
▲東洋大が今月行った、新しい年内入試が物議を醸した。面接、小論文ではなく学力テストで事実上選考し、併願も認める。定員の35倍に当たる2万人が志願したが、文部科学省は「学力試験による選考は2月以降」と原則の徹底を求める方針という
▲国公立中心の一般入試はこれから本番を迎える。受験を終えた年内入試組に負けず、一般入試組も頑張ってもらいたい。双方が交じる教室で、授業を続ける高校の先生たちにもエールを送る。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2024年12月28日 07:00:00 これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。
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