【社説・12.28】:2025年度予算案 財政健全化へ努力続けよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.28】:2025年度予算案 財政健全化へ努力続けよ
増え続ける歳出に歯止めをかけることを考えねばならない。物価高対策などに迫られ、拡大圧力が強まる状況ではあるが、緩んだ財政規律を締め直す財政健全化への努力を忘れてはならない。
政府は27日、2025年度予算案を閣議決定した。一般会計の歳出総額は115兆5415億円となり、当初予算ベースで過去最大を更新した。
社会保障費や防衛費のほか、日銀の利上げに伴う国債の利払いが増えたことなどが大きな要因だ。利払い費を算出する想定金利を2%に引き上げた。
税収は78兆4400億円を見込み、6年連続で最高を更新した。
不足する財源を補うために、歳出の4分の1に当たる28兆6490億円を国債の発行で賄う。国債の新規発行額が当初予算で30兆円を下回るのは、08年度以来17年ぶりとなる。税収見込みが過去最高になったためだ。
ただ発行額は依然多く、借金依存体質から抜け出せていない。
国債の返済費と利払い費を合わせた国債費が膨らみ、硬直した財政状況が長期化しかねない。
政府は国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を25年度に黒字化する目標で、達成できるかが焦点だ。
防衛費は過去最大となり、8兆7005億円を計上した。23~27年度の5年間で、総額約43兆円を投入する防衛力抜本的強化の3年目に当たる。
気になるのは、反撃能力(敵基地攻撃能力)に活用する長射程ミサイルの配備を25年度に始めることだ。長射程ミサイルには、米国製巡航ミサイル「トマホーク」導入に向けた費用も含まれる。
反撃能力はかねて、日本が国是とする専守防衛との整合性が問われてきた。周辺諸国との緊張も高めかねない。
防災・復興費も注目される。石破茂首相肝いりの防災庁の26年度設置に向け、内閣府防災部局の予算は146億円と、24年度当初より倍増した。定員も現状から倍増し、220人とした。復興庁予算は10年ぶりに増額した。
能登半島地震の教訓を踏まえて、避難所の環境改善を図る。予備費対応だったプッシュ型支援を予算化し、27億円を確保した。事前防災対策も強化する。
高齢化に伴い社会保障費も過去最大を更新し、38兆2778億円となった。生活保護費は物価高を考慮して、1人当たり月千円の特例加算を、25年10月から1500円に増額する。
社会問題になった闇バイトの対策には17億円を充て、取り締まり能力や、ネット上の有害情報の対策を強化する。卑劣な犯罪の根絶につなげねばならない。
国民生活にしっかり目配りする一方で、不要な支出は抑えていくことが肝心だ。
元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月28日 06:00:00 これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。
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