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【社説】:DNA型捜査データ 保管基準の法制化急げ

2022-01-31 06:02:50 | 【警視庁・警察庁・都道府県警察本部・警察署・刑事・警察官・警部・監察官室・...

【社説】:DNA型捜査データ 保管基準の法制化急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:DNA型捜査データ 保管基準の法制化急げ 

 容疑者本人や現場の遺留物から採取したDNA型を保管する警察庁のデータベース(DB)管理に、厳正な運用を求めた。妥当な判決だと言えよう。

 捜査時に取られたDNA型などのデータ抹消を名古屋市の男性が求めていた裁判で、名古屋地裁は男性の訴えを認めた。

 男性は暴行容疑で逮捕、起訴されたものの無罪が確定。無罪確定者のデータ保管はプライバシー侵害だと主張していた。

 地裁は無罪確定者のデータ保管には「具体的な必要性が示されるべきだ」と指摘。「国家公安委員会規則に基づいて運用している」とする警察の主張を退けた。公権力に恣意(しい)的に運用させないことを憲法上の権利だと位置付けた。

 犯人逮捕への重要な手掛かりになるDNA型は「究極の個人情報」である。にもかかわらず、日本ではデータ保管や抹消に関わる法が未整備なままだ。判決を機に、政府は明確なルール作りを急ぐ必要がある。

 DBに登録されたDNA型情報は、2020年末時点で141万件ある。国家公安委員会規則は、対象者の死亡時か「保管する必要がなくなったとき」にDBから抹消しなくてはならない、と定めている。

 だが実際の運用は警察次第。男性のように無罪や不起訴処分になった人のデータは抹消されずに残っているという。

 判決は公安委規則を「甚だ曖昧」とし「DNA型などには、みだりに使用されない一定の保護法益が認められるべきだ」とした。「すべて国民は個人として尊重される」という憲法13条を根拠に、警察が抹消したのかどうかも分からない現状では「国民の行動を萎縮させかねない」と指摘した。当然である。

 男性は「犯罪予備軍のような扱いを受けることは納得できない」と話したという。警察は重く受け止めなくてはならない。

 悪用されるとどうなるか―。危険な事例が隣国にあった。中国の新疆ウイグル自治区では住民のDNA型や指紋などが「健康診断」と称して採取されているという。集めたデータによって犯罪が捏造(ねつぞう)される恐れも否定できまい。そんな息苦しい社会を招かないためにも、明確なルールと厳正な運用が必要だ。

 一方で、DNA型のDBが難事件の解決に大きな力を発揮しているのも事実だろう。

 福山市では昨年秋、01年の明王台主婦殺害事件の容疑者が逮捕された。現場に残されていた犯人のDNA型がDBに登録されており、これが別件で捜査対象になった男のDNA型と一致したことが決め手になった。

 安心できる社会の実現は、凶悪事件の解決が重要である。DNA型鑑定のように時代とともに進歩する科学捜査は歓迎すべきだ。そのためには、日進月歩の捜査手法を法令で裏付けることも欠かせない。

 欧米では1990年代から法整備が進んでいる。ドイツは殺人や性犯罪などに条件を絞り、保管の是非も裁判所が判断する仕組みだ。カナダはデータと名前などの個人情報を切り離して運用しているという。

 いずれも科学捜査の手法を採り入れながら人権や個人情報に配慮する内容だ。日本も国民の理解が得られるよう十分に議論し、厳格で時代に即した法制化を実現しなければならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月31日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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