【主張①・01.04】:正念場の日本経済 新たな成長産業の創出を 賃上げ継続で好循環目指せ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・01.04】:正念場の日本経済 新たな成長産業の創出を 賃上げ継続で好循環目指せ
日本経済が再生に向け正念場を迎えている。そのことを明確に物語るニュースが昨年末に飛び込んできた。自動車大手のホンダと日産自動車による経営統合交渉である。
バブル崩壊後、日本経済は「失われた30年」といわれる低迷期に入った。そうした中でも世界的な競争力を維持し、日本経済を牽引(けんいん)してきたのが自動車産業だ。
エンジン技術を武器に、日本車は低燃費や高い信頼性で消費者に支持されてきた。だが、車を制御するソフトウエア技術の重要性が増している。電動化など「100年に1度」とされる自動車産業の大変革期を迎え、日本車の優位性は相対的に低下している。
次世代半導体の支援法案を議論する有識者会議で挨拶する武藤容治経済産業相(中央)=東京都千代田区
◆変革乗り切る戦略描け
米中の新興メーカーが価格競争力や開発スピードの速さで電気自動車(EV)市場を席巻している。両社が経営統合を迫られているのは、単独では太刀打ちできないとの危機感の表れにほかならない。
既存事業の勝者が新事業への参入で後れを取ることを「イノベーションのジレンマ」という。過去に多くの企業がこの〝罠(わな)〟にはまってきた。
両社に限らず、国内自動車メーカーは、これまでの成功体験にとらわれることなく、大変革期を乗り切る大胆な戦略を描き実行に移してほしい。
問題は、自動車に続く成長産業が見当たらないことだ。
かつて世界市場で輝きを放っていた日本企業の多くが存在感を失った。日本企業の競争力の衰えは、国力低下と軌を一にする。日本経済の再生には新たな成長産業の創出が不可欠だ。
期待されるのは、最先端半導体の国産化を目指し、政府も支援する「ラピダス」である。昨年12月には生産に不可欠な重要装置の搬入が始まった。今年4月に試作ラインを稼働し、令和9年の量産開始に向け大きな一歩を踏み出す。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2025年01月04日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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