路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【小社会・01.01】:やなせさんと巳年

2025-01-04 05:05:25 | 【第二次世界大戦・敗戦・旧日本軍・広島、長崎原爆投下・国策犠牲・戦後補償

【小社会・01.01】:やなせさんと巳年

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小社会・01.01】:やなせさんと巳年

 2025年が明けた。ことしは漫画家、やなせたかしさん夫妻をモデルとするNHK連続テレビ小説「あんぱん」も楽しみ。終戦直後に在籍した高知新聞も含め、どう描かれるだろう。

 昨夏、ある研修でやなせさんが残した1枚の絵を見せてもらった。従軍した中国戦線、終戦の日。兵隊7人が小川の堤を一列で走っている。ためてきた食料を敵に食べられるぐらいなら食べ尽くせ、と命令された。満腹になっても、走っておなかをすかせては食べた。戦争の愚かさ、不条理を描いた風刺という。

 終戦で「正義はある日突然逆転する」とも思い知った。「逆転しない正義は献身と愛」という思想は、身を削って空腹の人を助けるアンパンマンが生まれた土台として知られる。

 やなせさんは12年前、一回り前の巳(み)年の秋に亡くなった。その年の本紙連載「オイドル絵っせい」にはこうある。「それにしても最近の世界の動きは不気味だなあ。もう戦争と天災はカンベンしてほしいとつくづく思う」

 ことしは戦後80年。世界ではいまもウクライナや中東で、惨禍が再現されている。「専守防衛」の形骸化が進む日本の周辺も穏やかでない空気がある。天災の方も、やなせさんの没後も熊本地震や能登半島地震が続き、教訓は増えていく。人々の備えは十分だろうか。

 巳年。蛇は脱皮を繰り返すことから再生や成長を象徴するという。教訓を生かした再生、成長の年になれば。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【小社会】  2025年01月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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