路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【HUNTER・01.21】:現職自衛官が実名・顔出しで国を提訴

2025-01-24 07:05:30 | 【裁判(最高裁・高裁・地裁、裁判員制度・控訴・冤罪・再審請求、刑法39条】

【HUNTER・01.21】:現職自衛官が実名・顔出しで国を提訴

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・01.21】:現職自衛官が実名・顔出しで国を提訴

 射撃訓練で難聴になった陸上自衛官が国に賠償を求めた裁判の口頭弁論が1月中旬、札幌地裁で始まった。原告の男性自衛官は名前と顔を隠さずに地元報道の取材に応じ、「法律を知らずに声を上げられない隊員がたくさんいる」「国は安全配慮義務を果たして欲しい」と訴えている。被告の国は請求の棄却を求めて争う考え。

 ■訓練で難聴に ― 組織の安全配慮義務違反追及

 昨年7月に国を訴える裁判を起こしたのは、陸上自衛隊北部方面総監部(札幌市中央区)に勤務する中村俊太郎・1等陸尉(50)。1993年に入隊した中村さんは、長年にわたる射撃訓練で難聴を発症。21年には公務災害の認定に到ったが、自衛隊からは充分な配慮を受ける機会がなく、適切な健康診断も受診できなかったという。

 訴状によると、入隊直後の機関銃訓練では号令外の動作に足蹴りをしてくる指導者がおり、耳栓が外れてもつけ直すことができなかった。翌年から参加した84ミリ無反動砲の訓練では射撃時の爆風で耳栓が飛ばされることもしばしばだったが、下半身にも衝撃波でズボンが裂けるほどの痛みがあり、耳栓を気にする余裕がなかったという。そもそも隊から支給される耳栓は粗悪品が多く、自費で市販品を手配せざるを得ない状況。現在も手離せない補聴器の購入費53万円はのちに国から支給して貰うことができたが、当初は隊員が自腹で用意するのが当たり前と思っていたという。

 現場で難聴を防止する取り組みが不充分だったのみならず、必要な検査を受ける機会も乏しかった。耳鳴りなどを訴える隊員に医療受診や公務災害申請を促すような配慮はなく、被害防止のマニュアルも不在。騒音業務に伴って必要と定められている「特別な健康診断」も適切に行なわれていなかった。

 中村さんがこうした状況に疑問を覚え、組織内外の友人・知人らに相談を寄せ始めたのが23年6月ごろ。実情を知った人たちは「安全配慮義務違反では」「国民に真実を知らせるべき」「自衛隊がそんなことでは国民が困る」などと驚き、組織内の同僚や後輩たちからも「訴えないと自衛隊が変われない」などの声が上がったという。中村さん自身も「問題に気がついているのに何もしないのは『責任の不履行』ではないか」と考えるに到り、今回の提訴に踏み切った。

 今まさに難聴に悩んでいる自衛官は中村さんが把握できるだけで50人ほどおり、しかしながら公務災害の認定に到ったのはそのうち4人しかいないという。提訴の目的は、こうした被害の周知と再発防止をはかることにある。

 「防衛省や陸幕は、現場の隊員の多くが法律に詳しくないのをよいことに安全配慮義務を果たしていません。なぜ特別健康診断を実施しないのか。なぜ予防教育に力を入れないのか。なぜ充分な装備品を用意しないのか。国はこれらの背景をあきらかにした上で、被害の実態を調査して国民に説明すべきです」

 ハラスメント被害を受けた自衛官の家族や退職後の元隊員が実名を明かして組織を訴えたケースはこれまでにもあるが、現職の自衛官自身が顔と名前を晒して裁判を起こすのは珍しい。当初半年間ほど非公開の弁論準備手続きで進められた裁判は年が明けた1月14日午前、札幌地方裁判所(小野瀬昭裁判長)で最初の口頭弁論を迎えた。被告の国は指摘される安全配慮義務違反などを否定、難聴の原因は本人の安全管理・健康管理の過失にあると主張し、訴えの棄却を求めている。

 「難聴の隊員たちも見た目は健康なので、問題があかるみに出にくい」と、原告の中村さん。次回弁論は2月20日午後、札幌地裁で開かれる。

 なお札幌ではハラスメント通報を理由に不利益な取り扱いを受けたという現職自衛官の裁判も始まっており(既報)、2月26日にはこれの3回目の口頭弁論が設けられることになっている。(小笠原淳)

【小笠原 淳 (おがさわら・じゅん)】
ライター。1968年11月生まれ。99年「札幌タイムス」記者。2005年から月刊誌「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に、地元・北海道警察の未発表不祥事を掘り起こした『見えない不祥事――北海道の警察官は、ひき逃げしてもクビにならない』(リーダーズノート出版)がある。札幌市在住。

 元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【裁判・射撃訓練で難聴になった陸上自衛官が国に賠償を求めた裁判の口頭弁論】  2025年01月21日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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