路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【独占インタビュー前編】:谷口真由美、大阪府知事選挑戦の理由「吉村さんと大将戦で維新政治を検証したい」

2023-03-24 08:13:10 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【独占インタビュー前編】:谷口真由美、大阪府知事選挑戦の理由「吉村さんと大将戦で維新政治を検証したい」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【独占インタビュー前編】:谷口真由美、大阪府知事選挑戦の理由「吉村さんと大将戦で維新政治を検証したい」

 法学者で、ラグビー協会の理事も務めた谷口真由美さんが、大阪府知事選への挑戦を決めた。これまで何度も打診がありながらも政治の世界には入らないと固辞してきた谷口さん。なぜ今回は受けることにしたのか、ジャーナリストの浜田敬子さんが谷口さんにオンラインで独占インタビューした。

撮影/浜村達也

 挑戦を決意した背景には、大阪で10年以上続いた「維新政治」で本当に暮らしはよくなったのか、住民は幸せになったのかを検証したいという強い思いがある。

 日本は女性の政治参画が世界でも最下位クラスだ。ジェンダーギャップ指数の政治分野で日本は146カ国中139位。谷口さんはこの状況を変えるためにも、自ら挑む姿を女性たちに見てもらい、女性の政治参画の背中を押したいと話す。

 前後編にてお届けする前編は、決意した背景についてお届けする。

 ◆最初の要請は大阪市長選だった

 ーー元大阪府副知事や経済人が中心となって立ち上げた政治団体「アップデートおおさか」から要請される形で、大阪府知事選への挑戦を決められました。これまで何度も首長や国政選挙で出るよう要請されてきましたが、その度に固辞して来られました。今回はなぜ決意されたのですか。

 谷口真由美(以下、谷口):私はこれまで選挙で名前があがるたびに、ずっと絶対政治家にはならない、選挙には出ないと言ってきたので、「あの人はもう無理や」と私の元に来る前に話が止まっていることが多かったんですね。
「アップデートおおさか」の方はそんな噂も顧みず、突っ込んで来られました。大阪市長選に出てくれませんかと。2022年11月末ごろでした。「そんな気はないです」と答えたら、今度は年が明けて知事選でも市長選でもどちらかに、という話があったんです。

撮影/浜村達也

 ◆吉村さんはロックスター並。出るなら大将戦

 ーー日本維新の会代表でもあった松井一郎・大阪市長が退任するので市長選は新顔同士の争いになります。そちらの方が戦いやすかったのではないですか? 知事選には現職の吉村洋文知事が出馬予定です。

松井一郎大阪市長と吉村洋文知事 Photo by Getty Images

 谷口:今大阪の世論調査を見ると、吉村さんは「ロックスター並の」支持率です。確かに吉村さんとの戦いになると厳しいと思います。

 ただ、大阪は昔から市と府の二重行政が問題視され、「府市合わせ(不幸せ)」という言葉まであります。それが都構想という動きにもなりました。私が仮に市長になると、また吉村府政との「不幸せ」の構図がクローズアップされるだろうと思いました。

 確かに市長選の方がチャンスはあるかもしれない。でも戦うなら大将戦で、と思ったんです。出るからには勝つつもりで戦いますが、もし落ちても、橋下(徹)さん以来大阪で続いてきた「維新政治」を問い直し、検証することはできます

 ◆「維新政治」とは

 ーー谷口さんから見た「維新政治」とは?

 谷口:最初はやんちゃなお兄さんの集団というイメージでした。地元で生きてきて、大阪を変えたいというパワーもあった。それまでの大阪府政や市政を既得権益と見なしてガンガン批判する姿は喝采を浴びました。でもそれも10年以上続けばどうしても既得権益側になってしまう

 維新は常に「仮想敵」を作って徹底的に攻撃するというスタイルです。だから大阪では維新に対抗するということは怖いという空気もあり、「問う側」「検証する側」が弱体化していきました。維新政治に不安や疑問を持つ人たちの受け皿が大きな力を持ち得なかった。

 私は当時の大阪維新の会が国政に進出するのを見て、2012年にインターネット上のグループ「全日本おばちゃん党」を立ち上げました。おばちゃん党は2019年には解散しましたが、維新が大阪の行政を担うようになって、本当に大阪の暮らしは良くなったのかという思いは常にありました。私自身、シングルマザーとして2人の子どもを育ててきているので、特に子育てや教育の公の分野で予算が削られてきたのを実感しているんです。

ロックスター並みの支持率という Photo by Getty Images
 
 ◆必要な人に必要な支援を淡々とやればいい

 ーー再選の出馬にあたって、吉村さんは公立・私立を問わず所得制限なしで、高校を完全無償化するなど発表しています。

 谷口選挙前に大盤振る舞いするなら、なんでもっと普段せえへんの?と思います。私は大判振る舞いでなく、必要な人に必要な支援を淡々とやればいいと思うんですよ。日々の暮らしがカツカツな人もたくさんいますけど、中間層の人も意外と教育費とかで苦労してます。大阪でおばちゃんってひとつのコンテンツですけど、困ってる人を置いてかないんですよ。  

――コロナ禍で大阪の病床逼迫や保健所数の少なさなどが指摘されました。

 谷口:2008年に橋下さんが府知事になって「日本一スリムな自治体を作る」と言って徹底的に公務員を削減した結果、保健所の人口当たりの職員数は全国で一番少なくなりました。コロナによる死者数は全国ワーストです。パブリックという概念があまりにも壊されてしまったと感じてます。

2007年に大阪府知事選に出馬表明、2008年に府知事となった橋下徹氏 Photo by Getty Images
 
 ◆維新だからできたものもある。だからこそ議論したい

 ――谷口さんを擁立している団体、アップデートおおさかの人たちも維新政治を変えたいと思っているということですか。

 谷口:4年前よりそういう空気を大阪では感じます。それはコロナ対策が大きかったと思います。大阪は死者数が全国で最も多い。東京よりも多いんです。橋下時代から徹底して大阪は府市立病院の改革という名の下に削減してきました。それがコロナになって病床逼迫の一因にもなっています。コロナ病床だけでなく、産婦人科も減っています。私の周りでは1人目でお世話になった産婦人科に2人目、3人目、と思ったらなくなっていたという人も少なくない。

 もちろん維新だったからできたものもあるとは思うし、全てを全否定している訳ではない。 地域政党だった良さもあったと思います。でも国政でも存在感を出そうとするあまりに、本当に地域のことを考えているのかなと思う場面も増えてきたと感じてます。

 こういう指摘をすると、維新はすぐにファイティングポーズを取るんですが、そやなくて、ちゃんと議論や対話をしましょうと言いたいんですね。選挙に出れば、大阪をどうしていくのか、維新の顔である吉村さんと議論ができると思ったんですね。

 私が大事にしているのが、フランスの哲学者ヴォルテールの言葉なんです。「私はあなたの意見には反対だ。だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」。選挙とはそういう場やと思っているんです。

全世界で病床数が足りなくなった Photo by Getty Images 

 ◆知事選の争点のひとつ「IR構想」

 ――もう一つ、今回の知事選の争点になるのが、IR構想です。アップデートおおさかはカジノを含むIR構想に慎重という立場ですね。IRに対する姿勢は、谷口さんも同じですか。

 谷口:個人的にはとてもじゃないですが、賛成できません。当初大阪の経済界はIR誘致には賛成でした。国際展示場を作ったはいいけれど、国際会議は京都や東京、今ではシンガポールに取られ、誘致できない。だからカジノも含んだ複合施設を作ればいいと。

 しかし、計画を見たらかなり杜撰で、本当にこれで人が来るのか、移動手段は大丈夫なのか、また多額の税金を投入して回収できないのでは、と様々な点が懸念される。今想定されている業者との契約も自治体には不平等に思える。だったら、もう一度IRの情報を全て開示してメリットデメリットを明らかにした上で住民投票で決めるという方向は、私は間違っていないと思います。

 ◇府知事選への挑戦を決めた経緯を語る谷口氏。しかしジェンダーギャップ指数女性、日本は世界146カ国中139位で、女性が選挙に挑むのは大きなハードルがあるとも言われている。その点はどうだったのか。そして家族の反対などはなかったのか。詳しくは後編「大阪府知事選に挑む谷口真由美が受けた罵詈雑言「女性が選挙に出る怖さと意味」」にてお伝えする。

 

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース メディアと教養 【政治・選挙・大阪府知事選挙・担当:浜田 敬子 ジャーナリスト】  2023年02月08日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【政界地獄耳・03.17】:意識... | トップ | 【独占インタビュー後編】:... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】」カテゴリの最新記事