《社説①・10.22》:相次ぐ闇バイト強盗 凶行加担の危険性認識を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・10.22》:相次ぐ闇バイト強盗 凶行加担の危険性認識を
インターネット上の「闇バイト」募集に応じた結果、凶悪犯罪に加担させられる。その危険性の認識を広く共有する必要がある。
8月下旬以降、住宅を狙った強盗事件が関東地方で相次いでいる。窓を割って侵入し、住人を粘着テープで縛り、暴行するといった手口が目立つ。
横浜市では75歳の男性が殺害され、千葉県市川市の女性は連れ去られて監禁された。
ネット交流サービス(SNS)で集められた若者が、指示役の命令に従って実行したのが特徴だ。
横浜の事件で逮捕された容疑者は短期間で稼ぐことができるアルバイトをSNSで探し、犯罪とは無関係と強調する「ホワイト案件」との投稿を見て応じたという。
途中で闇バイトだと気づいたが、身分証明書で個人情報を把握されており、「家族に危害が加えられるのが怖くて抜け出せなかった」と警察に供述したとされる。
お金欲しさで深く考えずに行動すれば、取り返しのつかない結果を招く。犯罪に手を染める前に警察に相談すべきだ。警察庁は、連絡してきた人を保護するよう、全国の警察に通達を出している。
新たな被害を防ぐためにも、指示役の検挙が不可欠だ。
指示役は実行役との連絡に、秘匿性の高い通信アプリを使っていた。やり取りが残りにくく、手がかりを得るのが難しい。
悪質な訪問営業をするリフォーム業者の顧客情報が利用され、被害者たちの家が狙われた疑いもある。警察は徹底的な捜査で全容を解明すべきだ。
2022~23年にも、「ルフィ」などと名乗る指示役による同様の広域強盗事件があった。警察は「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」と位置づけ、取り締まりを強化してきた。
捜査体制を整え、ネット上の闇バイト情報に目を光らせている。ただ、手口は巧妙化しており、対策の不断の見直しが求められる。
強盗被害に遭わないため、住宅の防犯も大切だ。玄関や窓に複数の鍵を付けたり、防犯器具を活用したりするのが有効という。
高齢化とデジタル化が進む中での新たな犯罪である。人々が安全に暮らせるよう、社会全体で取り組みを進めなければならない。
元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年10月22日 02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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