【社説②・12.24】:臨時国会閉幕へ 公開の熟議まだ足りぬ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・12.24】:臨時国会閉幕へ 公開の熟議まだ足りぬ
臨時国会はきょう、会期末を迎える。
衆院選の結果を受けた30年ぶりの少数与党の国会だ。丁寧な審議が大前提となり、政策活動費の全廃や本年度補正予算案の修正など、一定の成果につながったのは確かだろう。
ただ、その合意形成は、与党と一部野党との水面下での個別協議が中心となり、経過が分かりにくい唐突な決着と映ることもあった。これでは従来の「数合わせ」と変わらず、開かれた議論とは到底言えまい。
焦点の政治とカネの問題を巡っては、自民党派閥裏金事件の真相究明が進まず、平成の改革以来の課題である企業・団体献金の禁止がまた先送りされた。
重要なのは国民の目線に立った政策論争だ。年明けの通常国会では、与野党ともに政治の信頼回復を強く意識し、さらに熟議を深めなければならない。
石破茂首相は「丁寧」「真摯(しんし)」「謙虚」を掲げ、国会論戦にも低姿勢で臨んだ。自民党も1強時代の強引さを改め、できるだけ野党の意見を取り入れようとした姿勢は評価できる。
だが、実態はキャスチングボートを握る国民民主党をいかに取り込むかの議論に偏重していたと言わざるを得ない。国民民主党との協議が行き詰まると、今度は日本維新の会にも声を掛けるなどご都合主義が透けた。
政策テーマとして、国民民主党が訴えた所得税非課税枠「年収103万円の壁」の引き上げばかりが注目されたのもバランスを欠く。内政外交の重要課題は山積しており、野党第1党の立憲民主党の主張も合わせ、もっと広範な議論が必要だった。
野党の側も政策実現を目指すなら、財源論まで含め総合的に示す責任がある。与党の都合に巻き込まれるだけで終わらないしたたかな議論をすべきだ。
衆参両院での政治倫理審査会には、多くの裏金議員が出席したが、通り一遍の審査で終わった。ただ出席すればみそぎになるとの考えは大間違いだ。目的はあくまで実態解明である。
旧安倍派幹部だった萩生田光一元政調会長は、裏金づくりが20年前から行われていたと証言し「過去にさかのぼって分かる人たちがもう少し説明する必要がある」と指摘した。
当時派閥会長だったのは森喜朗元首相だ。やはり関係者の参考人招致や証人喚問を実現しなければならない。
首相は就任前に展開した持論を封印したままで終わった。通常国会では選択的夫婦別姓や日米地位協定の改定などについて踏み込んだ議論をすべきだ。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月24日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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