【主張②・03.06】:兵庫の百条委報告 知事は責任をどう考える
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・03.06】:兵庫の百条委報告 知事は責任をどう考える
極めて重い調査結果である。斎藤元彦兵庫県知事の疑惑を巡り、県議会の調査特別委員会(百条委)が報告書をまとめ、議会で了承された。
報告書は斎藤氏のパワハラ疑惑などを「一定の事実」と認定した。告発者を特定、処分した県の対応は公益通報者保護法に反する可能性が高いと指摘し、「客観性、公平性を欠いており、大きな問題があった」と総括した。
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定例会見で文書問題についての質問に答える兵庫県の斎藤元彦知事
日本の地方自治は首長と議会の二元代表制である。地方自治法に基づき県議会に設置した百条委の判断を斎藤氏は真摯(しんし)に受け止めなくてはならない。
ところが斎藤氏は、5日の記者会見で「議会側から一定の見解が示されたことはしっかり受け止める必要がある」と述べる一方、県の一連の対応は「適切だった」と語り、パワハラ疑惑も「業務上必要な指導」と、従来の主張を繰り返した。
これで理解を得られるのかは疑問だ。斎藤氏は県民が納得できる説明を尽くし、自らの責任を明確にすべきではないか。その上で特別職を含むハラスメント防止条例の制定など、再発防止策も急ぐ必要がある。
県議会の各党各会派も報告書を踏まえ、斎藤氏とどう向き合うのか態度を示すべきだ。
県政の混乱と分断は依然憂うべき状況にある。告発者の男性は百条委の証人尋問を前に死亡した。百条委委員だった県議はSNSでの誹謗(ひぼう)中傷を理由に県議を辞職し、死亡した。いずれも自殺とみられている。
百条委は斎藤氏を含む延べ34人から聴取し、専門家の意見も聞いた。報告書は、告発文書の存在を把握した時点で、県は作成者ではなく文書内容を調査すべきであり、第三者に調査を委ねる必要があったとした。
百条委を巡っては非公開の証人尋問の内容が県議から流出するなどの失態もあった。百条委の意義を示すため、県議会の責任で委員や運営のあり方を検証し、見直すことも必要だ。
疑惑を巡ってはSNSで真偽不明の情報が飛び交い、知事選も混乱した。今国会提出の公職選挙法改正案の付則で、SNSでのデマや誹謗中傷の拡散、2馬力選挙への対応が検討課題とされた背景の一つもここにある。斎藤氏や議会は、県政の混乱に国民の厳しい視線が向いていることを自覚してほしい。
元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月06日 05:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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