【社説②・03.06】:兵庫百条委報告 知事は責任の重大さ自覚せよ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.04】:兵庫百条委報告 知事は責任の重大さ自覚せよ
告発者を 貶 め、公益通報制度を 蔑 ろにする行為が許されないのは当然である。知事は非を認め、長引く混乱に終止符を打たねばならない。
兵庫県の斎藤元彦知事がパワハラなどの疑惑を内部告発された問題で、県議会は百条委員会の調査報告書を了承した。
報告書は、斎藤氏らが公益通報制度に基づく措置を取らず、いち早く独自の調査で告発者を特定し、懲戒処分にした対応は「告発者潰し」にあたると判断した。
斎藤氏は告発を「うそ八百」だと主張していたが、告発者への不利益な取り扱いを禁じた公益通報者保護法に違反する可能性が高いと結論づけた。職員への 叱責 についても「パワハラと言っても過言ではない」と指摘した。
報告書は法的拘束力がないとはいえ、民意を代表する議会の結論である。斎藤氏は自分の行為の誤りを率直に認め、責任の取り方を行動で示すべきだ。
にもかかわらず、斎藤氏は告発者への対応は「適切だった」と、いまだに従来通りの主張を続けている。これでは、再び同じような事態が起きても、また告発者潰しをやると言っているに等しい。
県の最高権力者がこの姿勢で、県職員と信頼関係を築き、円滑に業務を遂行できるのか。告発者を保護するルールを設けるなど、なすべきことはあるはずだ。
斎藤氏はこれ以上、正当性を訴え、人ごとのような対応を続けるべきではない。事態をどう収拾させるか、考えるべき時である。
県政の混乱から間もなく1年になるが、異常な状況は一向に収まらない。告発した元県幹部は昨年7月、斎藤氏を陥れた「黒幕」とSNSで 誹謗 中傷されていた元県議は今年1月、それぞれ死亡した。いずれも自殺とみられている。
斎藤氏が再選した出直し選ではSNS上に真偽不明の情報が拡散した。日本維新の会に所属していた県議2人が「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首に、元県議らを中傷する文書などを渡したことが一因だとされる。
2人はいずれも百条委のメンバーだった。議会に対する信頼の失墜も深刻な状況にある。
出直し選を巡っては、知事側のPR会社が公職選挙法違反の容疑で神戸地検と県警の強制捜査を受けている。知事の支持派と反対派の「分断」は深まる一方だ。
今夏には、東京都議選や参院選が控えている。再び兵庫県のような状況が生まれぬよう、政府も課題の解決を急ぐ必要がある。
元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月06日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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