路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説①・03.11】:東日本大震災14年 復興への道筋より確かに

2025-03-11 04:05:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【社説①・03.11】:東日本大震災14年 復興への道筋より確かに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.11】:東日本大震災14年 復興への道筋より確かに 

 2万2千人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災から14年となった。
 
 東京電力福島第1原発事故で住民が離散した福島県の被災地の傷は今も深い。約2万人が県外での避難を続けたままだ。
 
 津波被害が甚大だった岩手、宮城両県の沿岸部では未利用の造成地が目立ち、新しい地域づくりの模索が続く。
 復興はなお途上だ。平穏な日常を突然奪われ、苦難を強いられてきた被災者と被災地が取り残されてはならない。
 国は支援のあり方や実効性を不断に検証し、古里再生の道筋を確かなものにすべきだ。

 ■安全と安心の確立を

 住民の帰還は原発が立地する福島県双葉、大熊両町やその近隣自治体で伸び悩みが目立つ。居住人口は大熊町は900人で震災前の8%、双葉町は181人で2.5%にとどまる。
 復興庁が昨秋行った住民意向調査では、戻らない理由に「避難先に生活基盤ができている」ことを挙げる世帯が多かった。
 県内の10を超す市町村に出た避難指示は解除まで長い歳月を要し双葉町は人が住めるまで11年半近くかかった。避難の長期化が復興に影を落としている。帰還困難区域も広大に残る。
 明るい兆しもある。目立ち始めている移住者の存在だ。
 双葉町の隣、浪江町に暮らす武田純枝さん(53)は5年前、子の大学卒業を機に東京・八王子から移り、震災遺構「請戸(うけど)小学校」で来館者の対応に当たる。ゼロからまちをつくろうとする雰囲気と、豊かな自然が気に入っているという。
 ただ、今も地震があるたびに住民の大半が避難準備を始める。「原発事故は続いている」と実感させられるという。
 帰還を望む住民が戻ることができ、移住者もさらに定着するよう、国は安全で安心な地域づくりを支えてもらいたい。

 ■双葉町長の発言重い

 だが今、地域の行方を左右する重大な問題が浮上している。双葉、大熊両町にまたがる中間貯蔵施設が予定通り原状回復されるかどうかが見通せない。
 原発事故後、放射性物質に汚染された表土をはぎ取る除染作業が福島県を中心に行われた。
 そこで出た除染土が搬入されたのが中間貯蔵施設だ。量は東京ドーム約11杯分と膨大で、復興の妨げにもなっている。
 この扱いに関し伊沢史朗双葉町長が「町内で再生利用する」との考えを先月表明した。
 45年までに県外で最終処分する。これが法律の定めだ。だが期限が20年後に迫っても実現のめどは立っていない。
 国は放射性物質の濃度の低い土を道路などに再生利用する方針だが、首都圏で計画した実証実験は住民の反対で頓挫した。
 このままでは県外処分の実現が危うい―と、追い込まれての苦渋の発言だろう。
 伊沢氏は「地元が利用することで議論を喚起し、福島第1の電気を利用した首都圏の人に理解を広げたい」と狙いを語り、「犠牲になった自治体がそのままでいいのか」とも強調した。
 地元との約束を守ることは国の責務だ。痛みをなし崩しに押しつけることは許されない。
 元をただせば、事故は原発安全神話に寄りかかった東電が起こした。最高裁は旧経営陣の刑事責任を認めなかったが、東電は地域をなお苦しめている現実に向き合い続けねばならない。

 ■地域の絆が鍵を握る

 岩手県陸前高田市の広田半島にある広田町長洞(ながほら)地区は半農半漁の約60戸の集落だ。震災では津波で28戸が家を失った。
 注目すべきは、住民が行政に先立って行動を起こしたことである。仮設住宅の建設場所や集団移転先を話し合いで決め、地権者との交渉も行った。
 今では地域は「長洞元気村」と名付けられ、震災前とほぼ同じ顔ぶれが暮らす。ボランティアなどで縁ができた各地の支援者に地元の海産物を送る事業はなりわいの一助になっている。
 元気村事務局長の村上誠二さん(68)は「住民が絆を保ち、生き生きと暮らせる地域を目指してきた」と振り返る。
 とはいえ被災地全体を見渡せば、さまざまな課題がある。土地区画整理などの大型事業が盛んに行われたが人口減は続く。
 約3万戸整備された災害公営住宅では入居者の孤独死が相次ぎ、空き室も目立つ。宮城県民主医療機関連合会の県内調査では多くが困窮を訴え、重度のうつが疑われる人も7%いた。
 こうした問題は行政主導で事業を進めた地域でより顕著に見られる。国や自治体のけん引は必要だとしても住民合意が不十分では後々まで支障を来す。人口減時代に合わない過大な事業規模のツケが出た面もあろう。
 行政は復興の方向を常に点検し、教訓は能登半島地震の被災地を含め共有する必要がある。
 巨大地震はいずれ来る。事前防災、発生直後の緊急時、復旧・復興期の各段階に合わせた備えを確実にしておきたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月11日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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