【金口木舌・11.19】:「泡盛文化を継ぐ」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌・11.19】:「泡盛文化を継ぐ」
古酒作りに失敗した。約15年前に甕(かめ)に詰めた泡盛が大幅に減った。途中、数回飲んでつぎ足す「仕次ぎ」を試したが、封が甘かったか。甕の漏れか。いずれにしても残念な結果だ
▼泡盛は瓶でも熟成される。なぜ甕貯蔵かというと、容器内の空気量と甕に含まれるミネラル分が鍵らしい。酸化と化学変化が熟成を促す。先人が築いた貯蔵法。独自の酒造法とも言える。「古酒を育てる」奥深さの一つだ
▼ユネスコの評価機関は泡盛など日本の「伝統的酒造り」を無形文化遺産に登録するよう勧告した。麴(こうじ)菌を使った独特の技術などが選定理由のよう。とりわけ黒麹菌を使う泡盛は固有の文化を築いた
▼発酵学第一人者の小泉武夫さんによると、世界でも極めて珍しい菌という。クエン酸が生み出され、腐敗を抑える。亜熱帯の地で酒造りを確立した先人の知恵がここにも
▼登録は12月に正式決定の見込み。琉球料理など「沖縄の伝統文化」登録の運動にも弾みがつく。小泉さんは登録の目的を「文化の継承と保護」と提唱する。泡盛は世界に誇れる文化となろう。そんなことを思い浮かべながら、「仕次ぎ」の再挑戦を考えている。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2024年11月19日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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