【HUNTER・12.02】:混乱続く兵庫県|苦しい斎藤知事側の言い訳
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・12.02】:混乱続く兵庫県|苦しい斎藤知事側の言い訳
選挙期間中に発信されたSNS上の投稿によって公職選挙法違反の疑いが持たれている斎藤元彦兵庫県知事事。知事本人と代理人の弁護士が記者会見で疑惑を否定したが、混迷は深まるばかりだ。
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疑惑は、兵庫県西宮市に本社を置く「株式会社merchu」の代表取締役・折田楓氏が斎藤知事の選挙戦でSNS展開の「監修者」だったとnoteで舞台裏を明かしたことが発端。公職選挙法では、選挙期間中はウグイス嬢などへの報酬支払いの範囲が限られているが、折田氏はnoteで「仕事」としてSNS展開をしたことを詳細に説明していた。
しかし、記者会見した斎藤知事は「公職選挙法等法令に抵触するような行為はしていないというのが私の認識」「70万円は支払ったが、ポスターの代金」と発言。代理人の奥見司弁護士も、折田氏への依頼が「選挙のポスター、チラシのデザインや制作、公約スライドなどの政治活動。これに対価を支払うことは、買収ではなく公職選挙法に違反することはない」「折田氏の選挙期間中の活動は、選挙ボランティアであり報酬支払はない」と説明した。
そして折田氏のnoteについては、「盛っているところがある。noteで記載されているようなSNS戦略を依頼したということや広報全般を任せたということは事実でない」とその内容を否定。折田氏側のSNS投稿と知事側の主張が真っ向から対立する状況となった。
会見で奥見弁護士は、斎藤氏陣営から折田氏側への支払いの「請求書」と「振込・振替明細帳票」を公開。内訳は、以下の5件で、計65万円に消費税を加えた71万5千円を支払ったとしている。
・メインビジュアル企画・制作10万円
・チラシデザイン制作 ※特急料金15万円
・ポスターデザイン制作 ※特急料金5万円
・公約スライド制作 ※特急料金 30万円
・選挙公報デザイン制作 ※特急料金5万円
折田氏のnoteには斎藤知事のプロフィール写真を新たに撮影したとあるのだが、何故かその代金は含まれていない。
またnoteには《斎藤さんへの世の中の見方を変えていく上で重要だったのが、ハッシュタグ「#さいとう元知事がんばれ」です》《斎藤陣営が公式として運用していたのは、以下のX本人アカウント、X公式応援アカウント、Instagram本人アカウント、YouTubeです》《私のキャパシティとしても期間中全神経を研ぎ澄ましながら管理・監修できるアカウント数はこの4つが限界でした》ともあるが、奥見弁護士も、斎藤知事が9月29日午後5時半に折田氏の事務所を訪れた際に「SNSの利用についての話もございました」と語っている。
メインビジュアルや公約スライドなどは、選挙になればさらに使用頻度が多くなるもので、当然、SNS展開でも欠かせない。知事選告示後に利用されるのは明らかだ。この点について奥見弁護士は、斎藤知事が折田氏から説明を受けた時「斎藤知事がどの程度のSNSを、どういう利用の仕方があるのか皆目、理解されてなかった」として、斎藤知事自身のSNSについての認識が乏しかったという見解を示した。だが、この話は怪しい。
斎藤知事は当選会見で、「SNSを通じた選挙戦を、ご支援いただきながら広げた」と述べており、SNSに関する認識が乏しかったとは思えない。また、兵庫県の複数の職員は「斎藤知事はSNSに非常に詳しいはずで、県議会でもそう説明している」と首をかしげる。
内部告発問題が表面化する直前、今年2月の兵庫県議会で斎藤知事は、人権啓発施策の一つとしてSNSの「規制」を前提にした条例制定を目指すとして、「情報技術の進化により、誰もが気軽にインターネット上での情報発信ができる時代になりましたが、それに伴って、誤情報の拡散や誹謗中傷など、負の側面が深刻化しています。能登半島地震においても悪質な誤情報が拡散されました。こうした状況を踏まえ、インターネット上の人権侵害の抑止や情報リテラシーの向上を図るため、SNSによる誹謗中傷等を抑止する条例の制定を検討いたします」述べていたからだ。
同県議会で知事は、SNSの活用法について「(不妊治療について)SNSなどを通じて、若い世代への情報発信を強化」とも発言していたが、その後、内部告発問題で県政は大混乱し条例制定はうやむやに――。県議会関係者の間からは、斎藤知事と泉房穂前明石市長との「対立」がSNS上で炎上したことが条例制定の背景にあるのではないかという意見も出ていた。
「やはり表現の自由との兼ね合いで、SNSを条例で制限するのはどうかと疑問視する意見があった。斎藤知事には、悪口を書かれたくない一心で条例を作りたいのではないかとの保身の思いも見え隠れしていた」(ある県職員)
現在のところ、SNSに関する条例は制定されていない。条例設置を持ち出したのは斎藤知事。今になって「SNSには詳しくない」という言い訳は到底通用しない。
折田氏への報酬は、選挙期間中のSNS展開を含んだものではないのか――神戸学院大学の上脇博之教授は次のように指摘する。
「斎藤知事と奥見弁護士が記者会見をして公職選挙法違反ではないと主張した。折田氏はまったくしゃべらない。斎藤知事側が折田氏をしゃべらせずに、都合のいいストーリー作りをしていると感じます。折田氏は社員まで動員して、選挙期間中も応援したという。そんなことをボランティアでやれば会社は倒産します。斎藤知事側の主張は完全に崩壊しています」
教授は近く、斎藤知事側を公職選挙法違反の疑いで刑事告発するという。
斎藤知事が公職選挙法で立件されれば失職となる可能性が生じる。しかも騒ぎの発端となった内部告発問題については、県議会の百条委員会が継続しており、SNSの問題も俎上に乗るのが確実。兵庫県の混乱は当分続く見通しだ。
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【社会ニュース・選挙・兵庫県知事選挙の公選法に抵触疑惑】 2024年12月02日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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